第6回 米国ETFのパフォーマンス対決 2021年9月最新版!VT,VTI,VOO,VUG,QQQ,VIG,VWO,VYM,HDV,AGG,SPXL,SOXLの10年トータルリターンを徹底比較

こんにちは、なみです。

今回は2021年9月までの最新実績に基づき、米国インデックス株式ETFからVT,VTI,VOO,VUG,QQQ,VIG,VWOの7銘柄、高配当株ETFからVYM,HDVの2銘柄、債券ETFからAGGの1銘柄、そしてさらに今回は新たにレバレッジETFのSQXL,SOXLの2銘柄を加えた計12銘柄を取り上げ、2011年9月から2021年9月までの約10年間のトータルリターンを比較します。

いずれも米国を代表するETF達。それぞれコンセプトや構成銘柄は様々で個性豊かで優秀な銘柄ばかりです。トータルリターンだけでなく、元本と配当それぞれの推移や再投資の有無による違いなど、様々な観点からパフォーマンス比較を行っています。

各銘柄の特徴だけでなく、値動きや配当の時系列データ、最終的なトータルリターンまで、様々な切り口から比較していますので、そろそろ投資信託だけでなく、米国ETFに挑戦にしてみようという方や、米国ETFに興味はあるんだけど、どの銘柄に投資したらいいのかわからない!という投資初心者の皆さんにとって非常に参考になる内容です。

また今回はレバレッジETFを2銘柄を評価対象に加えましたので、レバレッジありなしでどの程度違うのかも確認いただけます。コロナショックによる暴落やその後の急回復期において、インデックスETFや高配当株ETF、債券ETF、レバレッジETFのそれぞれが暴落時に受ける影響やその後の回復スピードなど、パフォーマンスの違いがイメージいただけますので、よろしければご覧ください。

目次

結論

まず結論から。2011年9月から2021年9月までの10年間における”再投資あり”でのトータルリターンは以下の通りとなりました。なお、計算簡略化のため、購入手数料や為替手数料、売却時に発生する税金は無視していますので、実際のリターンはもう少し低くなります。

今回新たに評価対象に加えたレバレッジETFが桁違いのパフォーマンスを示し、SOXLが10688%で1位SPXLが2581%で2位となりました。他銘柄と比べるとインフレが過ぎてちょっと別次元ですね(笑)

3位以降はグロース株ETFが相変わらずの強さを示し、QQQが788%で3位で、VUGが563%で4位となりました。SOXL,SPXLの数字が高すぎてアレですけど、これでも十分な高パフォーマンスです。 

続く5位はVTIで436%。過去の検討結果と同様、S&P500指数に連動する大型株が中心のVOOや、米国の連続増配株に投資するVIGよりも小型株も含む米国株に投資するVTIの方が若干リターンの面で上回る結果となりました。また全世界の株式を投資対象とするVTと比較すると150%も上回っており、相変わらず米国株式の強さが目立ちますね。一方、VTはリターン面では高配当ETFと同じ位となりました。

あと、中国株などを投資対象とする新興国株ETFであるVWOは債券ETFのAGGよりちょっと良い程度、投資対象としての成長性ではまだまだなのかもしれません。

高配当株ETFはいずれも米国インデックスやグロースETFに劣る結果となり、VYMで324%、HDVで252%なのでVTの286%と同程度ながら配当によるキャッシュフローの向上がある点は大きなメリットです。

債券ETFのAGGは最下位、その代わり安定性は抜群なのでここは致し方なしですね。

では、この結論に至るまでの調査内容を順番にご紹介したいと思います。

銘柄紹介

まず、今回比較した12銘柄について簡単にご紹介します。

インデックス/グロース株ETF

インデックス/グロース株ETF代表は、VT,VTI,VOO,VUG,QQQ,VIG,VWOの7銘柄です。

VT

正式名称:バンガード・トータル・ワールド・ストックETF
インデックス:FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(米国を含む先進国および新興国約47ヵ国の大型・中型・小型株約8,000銘柄で構成される指数)
資産総額:239億ドル
経費率:0.08%

VTI

正式名称:バンガード・トータル・ストック・マーケットETF
インデックス:CRSP USトータル・マーケット・インデックス(米国株式市場の投資可能銘柄のほぼ100%をカバーする指数)
資産総額:2910億ドル
経費率:0.03%

VOO

正式名称:バンガード・S&P500 ETF
インデックス:S&P500指数(米国で時価総額の大きい主要500社で構成する時価総額加重平均型の株価指数)
資産総額:2758億ドル
経費率:0.03%

VUG

正式名称:バンガード・米国グロースETF
インデックス:CRSP US Large Cap Growth Index(1株あたり利益の将来の成長率、過去3年間の成長率、1株当たり売上の過去3年間の成長率、総資産に対する投資比率および、総資産利益率より算出される指数)
資産総額:903億ドル
経費率:0.04%

QQQ

正式名称:インベスコQQQトラスト・シリーズ1
インデックス:ナスダック100指数(ナスダックに上場する、金融銘柄を除く、時価総額上位100銘柄の時価総額加重平均によって算出される株価指数)
資産総額:1549億$
経費率:0.2%

VIG

正式名称:バンガード・米国増配株式ETF
インデックス:NASDAQ USディビデンド・アチーバーズ・セレクト・インデックス(10年以上連続して増配の実績を持つ米国普通株で構成される指数)
資産総額:665億$
経費率:0.06%

VWO

正式名称:バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF
インデックス:FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックス(世界の新興諸国の大型株・中型株・小型株をカバーする指数)
資産総額:825億$
経費率:0.1%

高配当株ETF

高配当株ETF代表は、VYM,HDVの2銘柄です。

VYM

正式名称:バンガード・米国高配当株式ETF
インデックス:FTSEハイディビデンド・イールド指数(平均以上の配当を出す普通株で構成される株価指数)
資産総額:407億ドル
経費率:0.06%

HDV

正式名称:iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF
インデックス:モーニングスター配当フォーカス指数(財務の健全性が高く、持続的に平均以上の配当を支払うことのできる質の高い米国籍企業75銘柄で構成される株価指数)
資産総額:60億ドル
経費率:0.08%

債券ETF

債券ETF代表は、AGGの1銘柄です。

AGG

正式名称:iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETF
インデックス:ブルームバーグ・バークレイズ米国総合債券インデック ス(米国の投資適格債券市場全体における銘柄から構成される指数)
資産総額:860億ドル
経費率:0.04%

レバレッジETF

レバレッジETF代表は、SOXL,SPXLの2銘柄です。

SOXL

正式名称:ディレクション・デイリー・セミコンダクター・ブル3X
インデックス:フィラデルフィア半導体(SOX)指数の3倍の値動きを目指す
資産総額:38億ドル
経費率:0.95%

SPXL

正式名称:ディレクション・デイリー・S&P500・ブル3X
インデックス:S&P500指数の3倍の値動きを目指す
資産総額:29億ドル
経費率:0.95%

計算条件

以下の条件でパフォーマンスを算出しました。

・検証期間は、2011年9月をスタートとし、2021年9月までとした。

・2011年9月1日に1万ドルを一括投資したと仮定した。

・各月の基準価格は、その月の1日の終値とした。

・配当を再投資する場合、配当受け取り直後にその月の基準価格で全額を再投資したものとした(小数点以下の口数でも購入できるものとした)。

・配当に対し、日本で20.315%が課税されたものとし、残りを受取額とした(米国での現地税10%は確定申告ですべて取り戻したものと仮定)。

・購入手数料と為替手数料は無視した。

・レバレッジETF(SOXL,SPXL)の配当は無視した。

元本の推移

2011年9月に1万ドルを一括投資したときの、元本の推移は以下の通りとなりました。

えっと、レバレッジETFのSOXLとSPXLの上昇率が高すぎてやばいです。縦軸をフルレンジにすると他の10銘柄が見えません(笑)。特にSOXLはとんでもない振れ幅と上昇率となっています。レバレッジ恐るべし。。

元本については、SOXL >>>>> SPXL >>> QQQ >> VUG >> VTI ≒ VOO > VIG > VYM > VT > HDV >> VWO > AGG の順になりました。

1位のSOXLはとんでもないですね。2011年9月の1万ドルが106.9万ドルになってますので100倍超えの成長となっています。そして続く2位のSPXLは25.8万ドル。25倍なのでこれでも十分すごいです。

レバレッジETF以外ではQQQが抜けた伸びを示しています。2017年あたりから頭一つ抜け出ており、その後もトップを独走しています。4位はVUG。2018年頃から徐々に抜け出し、5位以下には大きな差をつけています。上位4銘柄は特にコロナショック以後の回復度合いが大きいです。

5位グループは団子状態で、VTIとVOO,VIGの順ですがあまり差はありません。VYMとVT、HDVがそれに続く8,9,10位で、米国のみを投資対象としたインデックス系とは少し差のある結果となりました。

VWOは凹凸はあるものの10年間で価格の伸びがほとんどなく、成長がみられません。債券ETFのAGGほぼ変動なく抜群の安定性を示しています。

累積配当金の推移

次に、2011年9月に1万ドルを一括投資したときの累積配当金の推移は以下の通りとなりました。なお、レバレッジETFも配当金はごくわずかあるのですが、上記の通り元本の変動が大きすぎるため計算上はものすごい額の配当が入ることになりややこしいので、今回は評価対象外としました。

累積配当金は、HDV > VYM >> VIG > VTI > VOO > VT >> VWO > AGG > VUG > QQQ の順となりました。

高配当株ETFがその名の通り上位2位を占め、HDV,VYMの順となりました。

インデックスETF系では、配当面ではVIGとVTI,VOO,VTの順になりました。いずれも配当の印象はないですが、そこそこの配当もあります。下位グループはVWO,AGG,VUG,QQQの順となり、やはりグロース株ETFは配当は期待できないですね。

配当再投資しないときのトータルリターン

配当を再投資しなかったときの累積配当+評価額の推移は以下の通りとなります。

例によってレンジを変えたバージョンも以下に示します。

配当を再投資せずそのまま受け取った場合、その累積配当額と元本評価額の推移は、
SOXL >>>>> SPXL >>> QQQ >> VUG >> VTI ≒ VOO > VIG > VYM > VT > HDV > VWO > AGG の順となりました。

やはり、レバレッジ系 > グロース株系 > インデックス株系 > 高配当株系 > 新興国株 ≒ 債券系 の順ですね。やはりグロース系の強さとレバレッジの破壊力が際立つ結果となりました。

配当再投資したときのトータルリターン

次に、配当をすべて再投資した場合の評価額の推移は以下の通りとなりました。

縦軸拡大版は以下の通りです。

配当をすべて再投資した場合、その累積配当額と元本評価額の推移は、
SOXL >>>>> SPXL >>> QQQ >> VUG >> VTI ≒ VOO > VIG > VYM > VT > HDV > VWO > AGG の順とで、配当再投資なし時と全く同じ順になりました。

配当再投資って、なんか複利の効果が実感できそうな気がするのですが、こうやってシミュレーションしてみるとトータルリターンに及ぼす影響はそこまで大きくないようです。リターンに対する影響という点ではETF価格の成長性が支配的ということになります。もっとも今回は10年間での検証なので、もう少し長期間で検証すれば差が出る可能性はありますが。

この結果は、配当再投資にそこまでこだわる必要はない、ということを示しているのかもしれません。それよりも配当を日々の生活資金に充てるなど、キャッシュフローの向上に活用しても問題ないと考えます。

まとめ

以上、米国ETFのパフォーマンス対決として、日本でも人気のETF12銘柄について、2011年9月から10年間のトータルリターンを比較してみました。

今回の検証結果をまとめると、下表の通りとなります。

今回新たに評価対象として入れたレバレッジETFの桁違いの破壊力が実感できる結果となりました。そしてQQQをはじめとするグロース株ETFがやはり強く、グロースかつレバレッジのSOXLはもう手が付けられない爆発力を示しており、10年で100倍超えというとんでもないリターンとなりました。

SOXLとSPXLの間にも思った以上に差はあり、半導体とS&P500の投資対象の違いでもパフォーマンスに大きな差が生じています。レバレッジETF以外でもQQQは10年で7.9倍と高いリターンが得られており、インデックス系や高配当株とはパフォーマンス面で大きく差があることが確認できました。

そんなレバレッジETF、右肩上がりのチャートの中では素晴らしいパフォーマンスを示していますが、やはり変動幅の大きさは気になりますね。今回の検証期間の中でもコロナショックのタイミングでは評価額がSOXLは1/3、SPXLは半分弱まで落ち込んでいますし、この商品に全資産を全力投入してた日には恐らく暴落時は恐ろしいことになることが容易に想定され、精神衛生上非常によろしくないです。

また暴落があった際、すぐに株価が回復するかどうかはわかりませんし、例えば10年とかの長期間に渡って株価が低迷してしまった場合、もし資金が必要になっても売却するわけにもいかず、どうしようもなくなりますよね。

私自身はレバレッジETFの爆発力に大きな魅力は感じるものの、上記理由からポートフォリオには組み込んでいません。今のところそこまでリスクは取りたくないですし、ある日突然資産が半分とか、さすがに耐えられる気がしません。

最近、金融庁からもレバレッジ型のETFは短期投資用に設計された商品であり、長期投資用に設計された商品ではないので、誤った売買を行うと思わぬ損失につながる可能性があり注意が必要との旨のアナウンスがあったように、もしレバレッジETFをご自身のポートフォリオに組み込むのであれば、コアにS&P500インデックスなどの王道のETFにしっかり投資しつつ、あくまでサテライト的位置づけでレバレッジETFを組み込むべきと考えます。

以上、皆さんのご参考になれば幸いです。

*関連リンクです

https://namiheinc.com/post-1162/1162/

https://namiheinc.com/post-1031/1031/

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