こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるソフトバンクグループ(株)【9984】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったソフトバンクグループの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・ソフトバンクグループは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
ソフトバンクグループ(株)【9984】 の基本情報
・設立年月日 1981年9月3日
・上場年月日 1994年7月22日
・業種 情報・通信
・特色 孫正義氏創業。傘下にベンチャー投資のビジョンファンド、通信会社、英半導体設計アーム。
・従業員数 (単独)-人 (連結)65,352人
・株価 7,878円(2024.8.14)
・単元 100株
・決算 3月末日
携帯電話等の電気通信事業者やインターネット関連会社等を傘下に置く日本の持株会社。
先端IT企業などに投資するビジョン・ファンドや、ARMホールディングスを母体に半導体設計やプロトタイプ半導体の研究開発にも着手しています。
ソフトバンク【9434】はソフトバンクグループ【9984】の子会社。両方とも日経225に入っているってすごいですよね!
創業者である孫正義氏の企画会社「ユニゾンワールド」と明賀義輝氏の経営総合研究所の共同出資によって、1981年に日本ソフトバンク株式会社として創立され、パーソナルコンピュータ用パッケージソフトの流通業を開始、その後出版事業に進出したり、通信システム事業で大きな利益を上げ、急速に成長していきました。
情報革命で人々を幸せに
ビジョンには、「世界の人々から最も必要とされる企業グループ」を掲げ、情報革命のパイオニアとしてコミュニケーションを変え、テクノロジーを通じて、世界中の人々がより幸せで充実した生活を送ることを目指されています。
ではここからは、ソフトバンクグループに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
情報・通信業100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 11兆5489億円(2位) |
売上高 | 6兆7565億円(2位) |
純利益 | -2276億4600万円(100位) |
純利益率 | -%(-位) |
総資産 | 43兆9363億円(1位) |
情報・通信業の中で売上高は2位、総資産は1位。利益率については昨年度が赤字のため算出不可ながら、情報・通信業でNTT、KDDIと並ぶトップ企業の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2024年3月期の決算短信によると、
流動資産:11兆4413億円
流動負債:14兆202億円
固定負債:19兆4667億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.82倍で基準未達、
②も、固定負債19兆円 > 純流動資産-2.6兆円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2020年と2022~2024年が赤字です。特に赤字の大きかった2022年は中国の配車サービス大手や韓国の通販会社など投資先の株価が大きく下がり、投資損失が発生したとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2015年3月 | 6683億6100万円 |
2016年3月 | 4741億7200万円 |
2017年3月 | 1兆4263億円 |
2018年3月 | 1兆389億円 |
2019年3月 | 1兆4111億円 |
2020年3月 | -9615億7600万円 |
2021年3月 | 4兆9879億円 |
2022年3月 | -1兆7080億円 |
2023年3月 | -9701億4400万円 |
2024年3月 | -2276億4600万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -258.4%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | 281.1円 | |
2016年3月 | 201.24円 | 3年平均:375.3円 |
2017年3月 | 643.5円 | |
2018年3月 | 476.83円 | |
2019年3月 | 648.79円 | |
2020年3月 | -463.58円 | |
2021年3月 | 2635.59円 | |
2022年3月 | -999.44円 | |
2023年3月 | -628.95円 | 3年平均:-594.6円 |
2024年3月 | -155.39円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 2.5円/株 | 0.22% |
2011年3月 | 2.5円/株 | 0.15% |
2012年3月 | 20円/株 | 1.63% |
2013年3月 | 20円/株 | 0.92% |
2014年3月 | 20円/株 | 0.51% |
2015年3月 | 20円/株 | 0.57% |
2016年3月 | 20.5円/株 | 0.76% |
2017年3月 | 22円/株 | 0.56% |
2018年3月 | 22円/株 | 0.55% |
2019年3月 | 22円/株 | 0.41% |
2020年3月 | 44円/株 | 1.16% |
2021年3月 | 44円/株 | 0.47% |
2022年3月 | 44円/株 | 0.79% |
2023年3月 | 44円/株 | 0.85% |
2024年3月 | 44円/株 | 0.49% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、昨年度が赤字なので現在のPERは算出不可であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.95倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRは算出不可なので基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高6.8兆円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2020年,2022~2024年赤字 |
④収益成長性 | × | -258.4% |
⑤配当 | 〇 | 利回り0.49% |
⑥株価収益率 | × | 算出不可 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 0.95倍 PER×PBRが算出不可 |
財務状況、収益安定率/成長性、株価収益率/純資産倍率の5項目で基準未達となり、
ソフトバンクグループ(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定いずれの負債も多く、赤字が10年中3年、昨年も大きな赤字が出ており厳しいですね。仕方ありません。
投資ファンド、半導体開発のアーム、ソフトバンクを最重要事業と認識し、特に浮き沈みの大きい投資ファンドについては、データとAIを活用した成長可能性の大きなテクノロジー企業に対し投資を行い、中長期的視点から投資成果を最大化することを目指す。
国内事業を担い、安定した収益源であるソフトバンク(株)グループについては、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、通信キャリアの枠を超え、情報・テクノロジー領域のさまざまな分野で積極的に事業を展開することで、企業価値の最大化を目指すとのこと。今後に期待です。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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