バリュー株ETFどうでしょう VTI,VOO,VTV,VOOV,VTWV,VIG,VYM,VFH,VDE,VPUの10年トータルリターンを徹底比較!

なみ

こんにちは、なみです。

1月5日に公表された2021年12月のFOMC議事によると、急激に進むインフレ対策としてFRBは2022年3月にも利上げに動く可能性を示し、さらに早期に保有資産の縮小を始める見込みとなっています。

このような状況を受け、米国の株式市場は2022年中の複数回の利上げを織り込みつつあり、高PERのハイテク株を中心にグロース株が売られ、バリュー株が買われるセクター・ローテーションの動きが最近活発化してきた印象です。

バリュー株は、割安株とも呼ばれ、企業価値に比べて株価が割安に放置されている銘柄のことを言い、企業の業績(売上や利益)の成長率が高い、または今後高い成長が見込まれる銘柄であるグロース株とは相対的な分類として認識されています。

インフレや金利の上昇局面はグロース株よりもバリュー株が優位というセオリーがあり、今後さらにバリュー株に投資家の注目が集まってくるものと考えられます。

ただこのバリュー株、具体的にどんなセクターかというと、以下の参考記事にも記載ある通り、金融、エネルギー、公共事業、さらには不動産、素材、一般消費財など景気敏感セクターが多く該当します。

私自身としては、これまでVTIやVOOの幅広いセクターを網羅したETFや、QQQ,VUGなどのグロースETFを中心に買い増しを進めてきたのですが、特にグロースETFについては利上げに対する市場の反応が気になる以上、しばらくは手を出しづらいなあと感じています。

そのため今後、バリュー株ETFに投資の軸足を移していきたいとは思うんですが、このバリュー株ETF、現在どんな銘柄があって、どのETFが長期的にパフォーマンスがいいんでしょう? よくわかりませんよね。

そこで本記事では、米国株のバリュー株ETFを中心に、VTI,VOOV,VUG,VGT,VIG,VWO,VYM,VEA,VGKの計10銘柄を取り上げ、2012年1月から2022年1月までの約10年間のトータルリターンを比較してみました。

ちなみにこれらETFの2022年1月時点の資産総額は、以下の通りです。

資産総額ランキング(2022/1/13時点、Bloombergより)

1位  VTI  バンガード・トータルストックマーケットETF 2923.62億ドル

2位  VOO バンガード・S&P500 ETF 2729.14億ドル

3位  VTV バンガード・バリューETF 956.67億ドル

4位  VIG バンガード・連続増配株ETF 678.98億ドル

5位  VYM バンガード・ハイディビデンドイールドETF 440.02億ドル

6位  VFH バンガード・ファイナンシャルズETF 125.79億ドル

7位  VDE バンガード・エナジーETF 68.99億ドル

8位  VPU バンガード・ユーティリティーズETF 54.85億ドル

9位  VOOV バンガード・S&P500バリューETF 27.14億ドル

10位 VTWV バンガード・ラッセル2000バリューETF 11.83億ドル

トップ2のVTI,VOOの資産総額は抜けてます。続く3位に今回の主役であるバリューETFのVTV、4,5位に連続増配株ETFのVIG、高配当株ETFのVYMが入ってます。あとは特定のセクターに投資するETFであるVFH,VDE,VPU、最後にバリュー株に市場を絞り込んだVOOV,VTWV。バリュー株の中でさらに市場を絞った銘柄はあまり人気がないようで、この中では資産総額としては小さいですね。

各銘柄の特徴だけでなく、値動きや配当の時系列データ、最終的なトータルリターンまで、様々な切り口から比較していますので、

個別銘柄はよくわからないし、米国株式ETFに挑戦してみようかな。
でも配当とか成長性ってどんな感じなんだろう?

今後はバリュー株が良いって聞くけど、ETFならどの銘柄に投資したらいいんだろう?

という投資初心者の皆さんにとって非常に参考になる内容かと思います。

この記事でわかること
・米国株式ETF10銘柄の特徴
・10銘柄それぞれに10年間投資したときの元本と累積配当額の推移
・10銘柄の価格の変動度合
・配当再投資あり、なし時のトータルリターン
・結局どれが一番儲かりそう?

また投資をするにあたっては、ETFの値上がりによる含み益を狙うのか、はたまた配当がたくさん欲しいのか、あまり価格変動はない方がいいのか、皆さんの理想とするパフォーマンスって人それぞれだと思うんです。

今回の検証結果を見ていただければ、各種ETFの投資対象や値動き、配当利回りなどの特徴が大まかに把握できると思います。そのため、どの銘柄に投資すれば皆さんの求めるパフォーマンスが実現できそうか、イメージしていただけるかと思いますので、よろしければご覧ください。

目次

まずは10年のトータルリターンを比較

まず結論から。10年のトータルリターン比較からいきます。 2012年1月から2022年1月までの10年間における”再投資あり”でのトータルリターンは以下の通りとなりました。なお、計算簡略化のため、購入手数料や為替手数料、売却時に発生する税金は無視していますので、実際のリターンはもう少し低くなります。

トータルリターンではバリュー系だけでなくグロース株も含むVOO,VTIが有利で、VOOが433%で1位、VTIが432%で僅差の2位となりました。やはりグロース株も含む分、他のバリュー株系ETFと比べるとリターン面では優秀な数字になりますね。 

続く3位は金融に特化したVFHで408%、4位が連続増配株のVIGで369%、大型バリュー株に投資するVTVが5位で340%となりました。これでも10年で3~4倍ですから立派な成績ですね。

下位グループは、S&P500に特化したVOOVが323%、高配当株のVYMが316%、ラッセル2000に特化したVTWVが294%、公共事業に特化したVPUが266%と続き、エネルギーに特化したVDEはまさかの元本割れ96%となりました。

では、この結論に至るまでの検証結果を順にご紹介していきます。

銘柄紹介

まず、今回比較した10銘柄について簡単にご紹介します。

VTI

正式名称:バンガード・トータル・ストック・マーケットETF
インデックス:CRSP USトータル・マーケット・インデックス(米国株式市場の投資可能銘柄のほぼ100%をカバーする指数)→アメリカ全体に投資します!
資産総額:2924億ドル
経費率:0.03%
構成銘柄トップ5:
 1.アップル 5.55%
 2.マイクロソフト 5.31%
 3.アマゾン 3.23%
 4.テスラ 1.96%
 5.アルファベット 1.83%

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VOO

正式名称:バンガード・S&P500 ETF
インデックス:S&P500指数(米国で時価総額の大きい主要500社で構成する時価総額加重平均型の株価指数)→アメリカの大企業に投資します!
資産総額:2729億ドル
経費率:0.03%
構成銘柄トップ5:
 1.アップル 6.67%
 2.マイクロソフト 6.39%
 3.アマゾン 3.93%
 4.テスラ 2.39%
 5.アルファベット 2.20%

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VTV

正式名称:バンガード・バリューETF
インデックス:CRSP USラージキャップ・バリュー・インデックス(米国の大型バリュー株をカバーする指数)→アメリカの大型バリュー株に投資します!
資産総額:957億ドル
経費率:0.04%
構成銘柄トップ5:
 1.バークシャー・ハサウェイ 2.87%
 2.JPモルガン 2.77%
 3.ユナイテッドヘルス 2.45%
 4.J&J 2.40%
 5.P&G 2.05%

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VOOV

正式名称:バンガード・S&P500バリューETF
インデックス:S&P500バリューETF(S&P500のバリュー株をカバーする指数)→S&P500のバリュー株に投資します!
資産総額:27億ドル
経費率:0.1%
構成銘柄トップ5:
 1.バークシャー・ハサウェイ 3.01%
 2.JPモルガン 2.79%
 3.バンクオブアメリカ 1.93%
 4.ファイザー 1.77%
 5.ディズニー 1.55%

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VTWV

正式名称:バンガード・ラッセル2000バリューETF
インデックス:ラッセル2000バリューETF(ラッセル2000のバリュー株をカバーする指数)→ラッセル2000のバリュー株に投資します!
資産総額:12億ドル
経費率:0.15%
構成銘柄トップ5:
 1.AMCエンターテイメント 1.19%
 2.エイビス・バジェット 0.91%
 3.メーシーズ 0.61%
 4.Ovintiv 0.59%
 5.STAGインダストリアル 0.49%

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VIG

正式名称:バンガード・米国増配株式ETF
インデックス:NASDAQ USディビデンド・アチーバーズ・セレクト・インデックス(10年以上連続して増配の実績を持つ米国普通株で構成される指数)→アメリカの着実に配当を出し続ける企業に投資します!
資産総額:679億$
経費率:0.06%
構成銘柄トップ5:
 1.マイクロソフト 5.03%
 2.ホームデポ 3.58%
 3.JPモルガン 3.56%
 4.ユナイテッドヘルス 3.53%
 5.J&J 3.45%

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VYM

正式名称:バンガード・米国高配当株式ETF
インデックス:FTSEハイディビデンド・イールド指数(平均以上の配当を出す普通株で構成される株価指数)→アメリカの高い配当を出す企業に投資します!
資産総額:440億ドル
経費率:0.06%
構成銘柄トップ5:
 1.JPモルガン 3.55%
 2.ホームデポ 3.21%
 3.J&J 3.09%
 4.P&G 2.65%
 5.バンクオブアメリカ 2.48%

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VFH

正式名称:バンガード・ファイナンシャルズETF
インデックス:MSCI USインベスタブル・マーケット金融インデックス(米国の金融セクターの大型株、中型株、小型株をカバーする指数)→アメリカの金融のセクターに投資します!
資産総額:126億ドル
経費率:0.1%
構成銘柄トップ5:
 1.JPモルガン 9.14%
 2.バークシャー・ハサウェイ 7.06%
 3.バンクオブアメリカ 6.49%
 4.ウェルズファーゴ 3.78%
 5.ブラックロック 2.65%

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VDE

正式名称:バンガード・エナジーETF
インデックス:MSCI USインベスタブル・マーケット・エネルギー・インデックス(石油・ガス製品の探査、生産、精製のための建設または準備を手掛けるエネルギーセクター内の、大・中・小規模の米国企業をカバーする指数)→アメリカのエネルギーセクターに投資します!
資産総額:69億ドル
経費率:0.1%
構成銘柄トップ5:
 1.エクソンモービル 20.33%
 2.シェブロン 17.52%
 3.コノコフィリップス 7.54%
 4.EOGリソーシズ 4.08%
 5.パイオニアナチュラルリソーシズ 3.32%

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VPU

正式名称:バンガード・ユーティリティーズETF
インデックス:MSCI USインベスタブル・マーケット・ユーティリティーズ指数(あらゆる時価総額規模の米国電力・ガス株式をカバーする指数)→アメリカの公共事業セクターに投資します!
資産総額:55億ドル
経費率:0.1%
構成銘柄トップ5:
 1.ネクステラエナジー 15.92%
 2.デュークエナジー 6.98%
 3.サザン 6.05%
 4.ドミニオンエナジー 5.38%
 5.エクセロン 4.82%

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計算条件

以下の条件でパフォーマンスを算出しました。

・検証期間は、2012年1月をスタートとし、2022年1月までとした。

・2012年1月1日に1万ドルを一括投資したと仮定した。

・各月の基準価格は、その月の1日の終値とした。

・配当を再投資する場合、配当受け取り直後にその月の基準価格で全額を再投資したものとした(小数点以下の口数でも購入できるものとした)。

・配当に対し、日本で20.315%が課税されたものとし、残りを受取額とした(米国での現地税10%は確定申告ですべて取り戻したものと仮定)。

・購入手数料と為替手数料は無視した。

元本の推移

まず最初に投資した元本が10年間の間にどうなったのかを確認します。2012年1月に1万ドルを一括投資したときの、元本の推移は以下の通りとなりました。

元本については 、VOO ≒ VTI > VFH > VIG > VTV > VOOV > VTWV ≒ VYM > VPU ≫ VDE の順になりました。

1位2位のVOOとVTIがほぼ同等、3.76万ドル、3.73ドルといずれも4倍近い成長率です。2020年3月のコロナショック以降からの伸びがすごいですね。特に構成銘柄に組み込まれているハイテク銘柄の影響が大きいです。

3位のVFHはコロナショック以前は単独トップだったものの、コロナショックで一旦下落、2020年の立ち上がりはVOO,VTIに見劣ったものの、2021年以降の勢いが素晴らしく、2022年1月現在では3.46万ドルと1,2位に近い水準になっています。

4位5位は手堅いVIGが3.1万ドル、5位がVTVが2.77万ドル、6位はVOOVの2.69万ドル、さらに7位はVTWVの2.47万ドルとなりました。5~7位はどれもバリュー株ETFですけど、元本の成長率という点では大型株、S&P500、ラッセル2000の順となっています。

あとは8位がVYMの2.45万ドル、9位がVPUの2.05万ドル。9位までがしっかり10年で元本が2倍以上成長しているということ。さすが米国株ですね。ただ最下位のVDEは0.77万ドルとまさかの元本割れ。2014年以降ずっと離れた最下位で、コロナショックからの立ち上がりもまだまだ以前の水準に戻せておらず低迷しています。

累積配当金の推移

次に、保有するETFから配当金がどれだけ入ってくるのかを確認します。 2012年1月に1万ドルを一括投資したときの累積配当金の推移は以下の通りとなりました。

累積配当金は、VYM > VPU > VTV > VOOV > VFH > VIG > VTI ≒ VOO > VTWV > VDE の順となりました。

高配当株ETFであるVYMがその名の通り抜けた1位となり、以下2位がVPU、3位がVTVの順となりました。公共事業セクターのVPUが2位なのは意外ですね。

以下4位がVOOV、5位がVFH、6位がVIGの順。5位のVFHは元本成長率も良い上に配当もそこそこもらえるようです。下位グループはVTI,VOO,VTWV、ほんとVTIとVOOは元本成長、配当いずれもそっくりなパフォーマンス。あとはVDEはここでも最下位。思った以上にエネルギーセクター、厳しい印象です。

バリュー株ETFの比較ではVTV(大型),VOOV(S&P500),VTWV(ラッセル2000)の順で、元本成長率と同様、VTVが最も優秀という結果になりました。

価格変動率の比較

次に前回のバンガード社ETFの比較と同様、価格変動率を比較しました。これはある月の評価額から、その前後2か月を含めた5か月移動平均の差をとったものを評価額の変動幅とし、それを5か月移動平均で割ってその月の変動率とします。さらに、毎月の変動率から標準偏差σを算出し、その3倍(3σ:ある事象が99.7%の確率で発生する範囲)を、その銘柄の変動率3σとした独自の指標です。

価格変動率3σとは

 ①対象銘柄のある月の価格を中心に、前後2か月を含めた5か月の移動平均を算出

 ②対象銘柄のある月の価格から、①で算出した5か月移動平均を引いて価格の変動幅を算出

 ③②で算出した変動幅を①の移動平均で割り、100をかけて変動率(%)を算出

 ④毎月の変動率から標準偏差σを算出し、その3倍をその銘柄の変動率3σとする

ややこしいと思われる方はスルーしてください。要は、最後に出てきた変動率3σが小さいほど日々の値動きが安定していて、心に優しい銘柄ってことです。

今回の10銘柄それぞれで算出した変動率3σは以下の通りとなりました。
なお変動率3σが小さいほど良いと評価しています。ボラティリティが大きい方が好きな変わり者の方は逆から読んでください。

値動きの安定性という点では連続増配株ETFのVIGが1位になりました。連続増配という手堅さが現れた結果でしょうね。続く2位が公共事業セクターのVPU。確かに手堅い印象ですね。3位はVYM。手堅く配当を出し続けられる企業というのはやはり株価変動の影響も受けにくいということでしょうか。

続く4~7位はVTV,VOO,VOOV,VTIと大型株系がきています。VOOやVTIがいますので標準はこのあたりということになります。S&P500のVOOより小型株を含むVTIの方が若干ばらつきが大きいというイメージ通りの結果ですね。

さらに下位の8,9位はVTWV,VFHとなり、バリュー株ETFの中でもやはり大型株のVTVより小型株中心のラッセル2000の方が変動が大きい結果となっています。金融セクターのVFHは下から2位。変動という点ではかなり大きいですね。

最下位はここもVDE。元本成長率、累積配当、価格変動の最下位3冠となりました。

配当再投資しないときのトータルリターン

ここからは10年間投資した後のトータルリターンを評価してきます。まず、配当を再投資しなかったときの累積配当+評価額の推移は以下の通りとなりました。

配当を再投資せずそのまま受け取った場合、その累積配当額と元本評価額の推移は、
VOO ≒ VTI > VFH ≫ VIG > VTV > VOOV > VYM > VTWV ≫ VPU ≫≫ VDE の順となりました。

1位のVOOが4.1万ドル、2位のVTIが4.0万ドル、3位のVFHが3.8万ドル、4~8位が3万ドル前後、少し離れた9位のVPUが2.5万ドル、大幅に離れた最下位がVDEで0.97万ドルとなりました。

順位付けすると、インデックス株系 > 金融 > 連続増配株 > バリュー株 > 高配当株 > 公共事業 > エネルギー の順ですね。VOO,VTIに続くパフォーマンスを示すのが金融セクターETFという結果になりました。

配当再投資したときのトータルリターン

次に、得られた配当をすべて再投資した場合の評価額の推移は以下の通りとなりました。

配当をすべて再投資した場合、その累積配当額と元本評価額の推移は、
VOO ≒ VTI > VFH > VIG > VTV > VOOV > VYM > VTWV > VPU ≫ VDE の順になりました。配当再投資なし時と全く同じ順ですね。

1位のVOOが4.33万ドル、2位のVTIが4.32万ドル、3位がVFHで4.1万ドル、4~8位が3.5万ドル前後、以下徐々に低下し、最下位のVDEに至っては0.96万ドルと元本割れの上、配当再投資する方が再投資しないときよりも少ないという困った結果となりました。

ここでも、インデックス株系 > 金融 > 連続増配株 > バリュー株 > 高配当株 > 公共事業 > エネルギーの順となり、VOO,VTIに続くパフォーマンスを示すのが金融セクターETFという結果になりました。

配当再投資の効果を確認すると、1位のVOOは再投資ありなしで3千ドルの差、配当額の多い7位のVYMでは2千ドルの差が出ています。配当再投資した場合、10年で5~10%上乗せのイメージですね。これを大きいと思うか小さいと思うか。どうでしょうか。

私自身は、配当再投資にそこまでこだわる必要はないと考えています。それよりも配当を日々の生活資金に充てるなど、キャッシュフローを向上させ、生活の満足度を上げる方が重要ではないかと思います。

まとめ

以上、バンガード社のETFのパフォーマンス対決として、日本でも人気の10銘柄について、2012年1月から10年間のトータルリターンを比較してみました。

今回の検証結果をまとめると、下表の通りとなります。

今回の検証では、VOO,VTIがトータルリターンでワンツーフィニッシュとなりました。この要因は圧倒的な元本成長率。VOO,VTIともGAFAMをはじめとするハイテク株の構成比率が高いのでこれに引っ張られたということですね。ある意味予想通りとはいえ、やっぱり元本成長率の順がほぼそのままトータルリターンの順になっています。片や配当利回りではこの2銘柄はワースト2。累積配当額でも下位ですので、トータルリターンを求めるのであれば配当面は気にせず、元本成長率を重視するのが最適ということになります。

今回のテーマであるバリュー株ETFの比較(VTV,VOOV,VTWV)という点では、いずれも今回の10銘柄の中では中位であり、大型株、S&P500、ラッセル2000の順に元本成長率、配当ともにパフォーマンスが優秀という結果となりました。

セクター別の比較では、バリュー株の多いセクターとされる金融、エネルギー、公共事業に特化したETFの評価では、かなり特徴的な結果が得られました。特に、金融セクターであるVFHの優秀さが際立つ結果となりました。ただ、VFHの弱点として価格変動が大きく、安定性には欠けるということもわかりました。

さらに、思った以上に悪い結果となったのがエネルギーセクターであるVDE。元本成長率、累積配当額、変動率どれも最下位という逆三冠王となりました。インフレに強いと言われはいますが、今回の結果からは基礎的な戦闘力が他銘柄より劣ると考えざるを得ません。

その他トピックスとしては、
・公共事業セクターはリターンは地味だが、配当が高く、安定性も高い
・配当を重視するならやっぱりVYM
・安定性を重視するならVIG
・バリュー株を買うなら大型株のVTV
・リターン面も考慮するとVIG,VTVあたりがバランス良好

以上、米国株式ETFであるVTI,VOO,VTV,VOOV,VTWV,VIG,VYM,VFH,VDE,VPUの計10銘柄を取り上げ、各銘柄の特徴と、2012年1月から2022年1月まで10銘柄それぞれに10年間投資したときの元本と累積配当額の推移、価格の変動度合い、配当再投資あり、なし時のトータルリターンを比較してみました。

どうでしたか?個人的にはセクターETFの結果が思ったよりそれぞれの特徴が出ていて面白かったです。特に金融セクターがなかなか優秀であることと、エネルギーセクターが「うーん」であるのがわかったことが大きな収穫ですね。

今後2022年3月ころから開始されると予想されている利上げに向け、QQQやVUGなどのハイテクグロースETFにとっては厳しい状況なることが予想されますので、今後グロース株に代わる投資先としてVFHがかなり有望と判断し、今後様子を見ながら購入していきたいと考えています。

皆さんのご参考になれば幸いです。

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