こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)電通グループ【4324】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った電通グループの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・電通グループは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)電通グループ【4324】 の基本情報
・設立年月日 1906年12月27日
・上場年月日 2001年11月30日
・業種 サービス業
・特色 広告代理店国内首位。世界大手。2013年英イージス買収で海外拡大。2020年1月に持株会社に移行。
・資本金 100億円
・従業員数 (単独)147人 (連結)72,918人
・株価 4,496円(2023.9.16)
・単元 100株
・決算 12月末日
持株会社で、グループ全体の成長持続および競争力強化に向けた各種環境の整備と支援、ならびにグループガバナンスの推進を行っており、dentsu(グループ総体)は、国内に約160社、海外に約750社の企業集団で構成されています。
日本最大の広告代理店で「広告界のガリバー」の異名を持ち、海外の広告会社を積極的に傘下に収めることにより規模が拡大、近年では広告代理店グループとして世界5位の規模となっています。
強みは多様性と総合力。リアルとデジタル、精緻な分析と卓越したクリエイティビティ、プロデュース力が強みなんだそう。
an invitation to the never before.
電通グループは、多様な視点を持つ人々とつながりながら、かつてないアイデアやソリューションを生み出し、社会や企業の持続的な発展を実現するために存在しています。
社会・企業・生活者全体のより良いエコシステムのために、中長期で価値を生み出し続けることを使命とし、かつてないアイデアとソリューションで、変化するビジネス環境に新たな視点を持ちこみ、未来を創造していくことを目指されています。
ではここからは、(株)電通グループに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
サービス業100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆1888億円(7位) |
売上高 | 1兆2438億円(4位) |
営業利益 | 1176億1700万円(3位) |
経常利益 | 1009億800万円(5位) |
純利益 | 598億4700万円(5位) |
営業利益率 | 9.5%(35位) |
純利益率 | 4.8%(47位) |
総資産 | 3兆6117億円(3位) |
負債 | 2兆6141億円(3位) |
サービス業の中で売上高は4位、総資産は3位。利益率もまずまず高く、純利益率は4.8%の47位。広告代理店として国内最大手です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2022年12月期の決算短信によると、
流動資産:2兆3174億円
流動負債:2兆176億円
固定負債:7684億300万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.15倍で基準未達、
②は、固定負債7684億円 > 純流動資産2998億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2019年と2020年が大きな赤字ですね。コロナ禍で世界の広告市況が悪化したことを受け、過去の海外買収で膨らんだのれんの減損で1400億円超の損失を計上した影響とのこと。基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 665億700万円 |
2015年3月 | 798億4600万円 |
2015年12月 | 726億5300万円 |
2016年12月 | 835億100万円 |
2017年12月 | 1054億7800万円 |
2018年12月 | 903億1600万円 |
2019年12月 | -808億9300万円 |
2020年12月 | -1595億9600万円 |
2021年12月 | 1083億8900万円 |
2022年12月 | 598億4700万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = -94.7%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 241.49円 | |
2015年3月 | 276.89円 | 3年平均:257.5円 |
2015年12月 | 254.05円 | |
2016年12月 | 292.84円 | |
2017年12月 | 373.11円 | |
2018年12月 | 320.39円 | |
2019年12月 | -287.92円 | |
2020年12月 | -571.19円 | |
2021年12月 | 388.79円 | 3年平均:13.6円 |
2022年12月 | 223.33円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、きっちり配当が出ており、基準達成です。じわじわ増配していますし、配当利回りも向上している点も好感が持てますね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 27円/株 | 1.1% |
2011年3月 | 29.5円/株 | 1.37% |
2012年3月 | 31円/株 | 1.18% |
2013年3月 | 32円/株 | 1.15% |
2014年3月 | 33円/株 | 0.84% |
2015年3月 | 55円/株 | 1.07% |
2015年12月 | 75円/株 | 1.12% |
2016年12月 | 85円/株 | 1.55% |
2017年12月 | 90円/株 | 1.88% |
2018年12月 | 90円/株 | 1.83% |
2019年12月 | 95円/株 | 2.52% |
2020年12月 | 71.25円/株 | 2.32% |
2021年12月 | 117.5円/株 | 2.87% |
2022年12月 | 155.25円/株 | 3.75% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは17.18倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.29倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も22.16で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆2438億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2019年と2020年赤字 |
④収益成長性 | × | -94.7% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.75% |
⑥株価収益率 | △ | 17.18倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.29倍 |
財務状況と収益安定性/成長性、株価収益率の4項目で基準未達となり、
(株)電通グループは割安株には該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して負債の割合がかなり高いことと、2019年,2020年に赤字が出てますからね。仕方ありません。
マーケティング、テクノロジーとコンサルティングの融合が進む自社の事業ドメインを「人起点の変革」と捉え直し、卓越したクリエーティビティとテクノロジーの力で新たなソリューションと社会的インパクトを生み出す企業へと進化していく。
高度化・複合化する顧客課題に対し、保有するユニークで多岐に渡るケイパビリティを組み合わせて統合的解決を実現する「Integrated Growth Solutions」を事業戦略の核に据え、顧客の事業変革を支援する事業を強化していくとのこと。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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