こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである三菱自動車工業(株)【7211】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った三菱自動車の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・三菱自動車は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
三菱自動車工業(株)【7211】 の基本情報
・設立年月日 1970年4月22日
・上場年月日 1988年12月5日
・業種 輸送用機器
・特色 日産の事実上傘下、ルノー含め3社連合。新車開発や部品調達など協業拡大。東南アジアで稼ぐ。
・資本金 2,843億円
・従業員数 (単独)13,671人 (連結)28,428人
・株価 449.3円(2024.2.18)
・単元 100株
・決算 3月末日
日本の自動車メーカーの一社であり、自動車と金融、2つの事業セグメントを通じて事業を展開しており、自動車事業は、普通・小型乗用車、軽自動車を生産しているほか、一部SUV(パジェロ等)を生産、販売しています。金融事業は、自動車のリース事業、販売金融等の事業を行っています。
日産自動車とフランスのルノーと共にルノー・日産・三菱アライアンスを構成しており、日本国内での登録台数シェアは、2017年で0.9%、2018年で1.1%と控えめであるものの、PHEVでは「アウトランダー」「エクリプスクロス」によって2022年は65%のトップシェアを獲得しています。2009年に世界初の量産型電気自動車)となる『i-MiEV』を発売したメーカーでもあります。
2016年10月に日産自動車が筆頭株主となっています。
モビリティの可能性を追求し、活力ある社会をつくります
三菱グループの三綱領である「所期奉公」「処事光明」「立業貿易」の精神を受け継ぎ、”Drive your Ambition”をこれから進む道を示す決意、メッセージとし、大きな志を持つことで生まれる、独創的で存在感のある商品・サービスを通じて、世界中の顧客とともに成長していくことを目指されています。
ではここからは、三菱自動車工業(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
輸送用機器94社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 6680億2200万円(13位) |
売上高 | 2兆4581億円(11位) |
純利益 | 1687億3000万円(8位) |
純利益率 | 6.9%(7位) |
総資産 | 2兆3436億円(13位) |
輸送用機器の中で売上高は11位、総資産は13位。利益率も上位で、純利益率は6.9%の7位、国内大手自動車メーカーの一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆4749億円
流動負債:1兆73億円
固定負債:3637億5800万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.46倍で基準未達、
②は、固定負債3637億円 < 純流動資産4676億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動負債の割合が高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2017年と2020年、2021年が赤字です。特に赤字幅の大きかった2021年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、主力市場の東南アジアで販売が低迷したとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 1046億6400万円 |
2015年3月 | 1181億7000万円 |
2016年3月 | 725億7500万円 |
2017年3月 | -1985億2400万円 |
2018年3月 | 1076億1900万円 |
2019年3月 | 1328億7100万円 |
2020年3月 | -257億7900万円 |
2021年3月 | -3123億1700万円 |
2022年3月 | 740億3700万円 |
2023年3月 | 1687億3000万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -113.3%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 156.6円 | |
2015年3月 | 120.16円 | 3年平均:116.9円 |
2016年3月 | 73.8円 | |
2017年3月 | -164.11円 | |
2018年3月 | 72.22円 | |
2019年3月 | 89.26円 | |
2020年3月 | -17.32円 | |
2021年3月 | -209.88円 | |
2022年3月 | 49.76円 | 3年平均:-15.6円 |
2023年3月 | 113.38円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2013年と2021年、2022年が無配ですね。残念ながら基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2013年3月 | 0円/株 | 0% |
2014年3月 | 25円/株 | 2.31% |
2015年3月 | 16円/株 | 1.47% |
2016年3月 | 16円/株 | 1.9% |
2017年3月 | 10円/株 | 1.49% |
2018年3月 | 17円/株 | 2.23% |
2019年3月 | 20円/株 | 3.4% |
2020年3月 | 10円/株 | 3.27% |
2021年3月 | 0円/株 | 0% |
2022年3月 | 0円/株 | 0% |
2023年3月 | 5円/株 | 0.96% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは4.78倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.73倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も3.49で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高2.5兆円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | × | 2017年,2020年,2021年赤字 |
④収益成長性 | × | -113.3% |
⑤配当 | × | 2013年,2021年,2022年無配 |
⑥株価収益率 | ◎ | 4.78倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.73倍 |
財務状況と収益安定性/成長性、配当の4項目で基準未達となり、
三菱自動車工業(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動負債の割合が高く、10年中3年が赤字、成長性も低く、無配もありということであれば仕方ありません。
「三菱自動車らしい」商品及び顧客に体感いただく機会の提供を通じ、顧客に自信を持って当社グループ商品を選んでいただける長期的な信頼関係を構築しながら、一つ一つの取組みを着実に実行し、「100年に一度」と言われる自動車業界大変革の時代に挑戦していく。
三菱自動車ではこれまで、限られた開発資源で幅広い地域とセグメントをカバーしようとした結果、定期的な商品力強化が不足する、あるいは商品ライフが長期化するといった課題があり、モデルの経年化が進む中、工場の稼働率を維持するために、価格訴求で販売台数を確保する傾向があったとのこと。
最近は脱炭素化、電動化へが流れが加速する中、電動車の先駆者としてこの流れを捉えてPHEVに注力し、エクリプスクロスPHEV、アウトランダーPHEVと順次投入し、市場での存在感を高めておられます。
「三菱自動車らしさ」を「環境×安全・安心・快適」と再定義し、戦略的な新車攻勢に取り組むとのこと。時代の流れに乗って、今後は期待できそうな気がしますね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
👇👇👇ブログランキングに参加中 👇👇👇
👇押していただけると励みになります 👇
コメント