こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)ファーストリテイリング【9983】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったファーストリテイリングの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・ファーストリテイリングは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)ファーストリテイリング【9983】 の基本情報
・設立年月日 1963年5月1日
・上場年月日 1994年7月14日
・業種 小売業
・特色 世界3位のSPA(製造小売業)大手。「ユニクロ」は中国、東南アジアが成長柱。欧米強化中。「ジーユー」も展開。
・従業員数 (単独)1,707人 (連結)59,871人
・株価 40,600円(2024.8.14)
・単元 100株
・決算 8月末日
株式会社ユニクロや株式会社ジーユーなどの衣料品会社を傘下にもつ持株会社。カジュアル衣料品の「ユニクロ」を中心として、衣料・靴などの小売店舗を展開する企業群を傘下に有しています。
世界のカジュアル衣料品の企業の中での売り上げはZARAを擁するインディテックス(スペイン)、H&M(スウェーデン)に次ぐ第3位、時価総額は世界1位です。
以前、台湾に旅行した時も台北に大きなお店がありました。
経営者である柳井正代表取締役会長兼社長のもと、ZARA、GAPに代表されるような世界的な衣料品企業を目指し、積極的に海外展開およびM&Aを行いグループを拡大されています。
服を変え、常識を変え、世界を変えていく
本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供すること、独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指すことをグループミッションとして掲げられています。
ではここからは、ファーストリテイリングに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
小売業352社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 12兆4529億円(1位) |
売上高 | 2兆7665億円(3位) |
純利益 | 2962億2900万円(1位) |
純利益率 | 10.7%(3位) |
総資産 | 3兆6841億円(3位) |
小売業の中で売上高、総資産とも3位。利益率もかなり高く、純利益率は10.7%の3位、カジュアル衣料品業界では国内では抜けたトップかつ世界3位です。さすがですね。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年8月期の決算短信によると、
流動資産:2兆1766億円
流動負債:7292億6000万円
固定負債:7010億7200万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.98倍で基準達成、
②も、固定負債7010億円 < 純流動資産1.4兆円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定負債いずれも少なく、きれいな財務状況です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられており問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年8月 | 745億4600万円 |
2015年8月 | 1100億2700万円 |
2016年8月 | 480億5200万円 |
2017年8月 | 1192億8000万円 |
2018年8月 | 1548億1100万円 |
2019年8月 | 1625億7800万円 |
2020年8月 | 903億5700万円 |
2021年8月 | 1698億4700万円 |
2022年8月 | 2733億3500万円 |
2023年8月 | 2962億2900万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +217.1%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年8月 | 243.83円 | |
2015年8月 | 359.8円 | 3年平均:253.6円 |
2016年8月 | 157.1円 | |
2017年8月 | 389.9円 | |
2018年8月 | 505.9円 | |
2019年8月 | 531.06円 | |
2020年8月 | 295.05円 | |
2021年8月 | 554.37円 | |
2022年8月 | 891.76円 | 3年平均:804.1円 |
2023年8月 | 966.09円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年8月 | 76.67円/株 | 1.99% |
2011年8月 | 60円/株 | 1.24% |
2012年8月 | 86.67円/株 | 1.42% |
2013年8月 | 96.67円/株 | 0.91% |
2014年8月 | 100円/株 | 0.92% |
2015年8月 | 116.67円/株 | 0.71% |
2016年8月 | 116.67円/株 | 0.96% |
2017年8月 | 116.67円/株 | 1.11% |
2018年8月 | 146.67円/株 | 0.85% |
2019年8月 | 160円/株 | 0.77% |
2020年8月 | 160円/株 | 0.76% |
2021年8月 | 160円/株 | 0.66% |
2022年8月 | 206.67円/株 | 0.76% |
2023年8月 | 290円/株 | 0.87% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは34.12倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは5.82倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBRも198.58で基準未達です。ちょっとこれは高すぎますね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高2.8兆円 |
②財務状況 | 〇 | 問題なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +217.1% |
⑤配当 | 〇 | 利回り0.87% |
⑥株価収益率 | × | 34.12倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 5.82倍 PER×PBRもNG |
株価収益率、株価純資産倍率の2項目で基準未達となり、
(株)ファーストリテイリングは割安株に該当しません!
という結果となりました。
株価が高い以外はきっちり基準をクリアできているのですが、良い会社であるがゆえに既に株価が上がりきっている印象ですね。仕方ありません。
あらゆる人々の快適な日常生活に欠かせない「服のインフラ」として、世界中のお客様から最も愛されるNo.1ブランドになる。
世界最高水準の技術力をもつパートナーと力を合わせ、これからもお客様の生活をより快適で豊かにするLifeWearをつくり続け、世界で最もお客様に支持される企業になりたいという想いのもと、次の10年で売上を現在の3倍以上の10兆円に成長させるという意欲的な目標を掲げられています。今後も世界のユニクロに期待です。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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