こんにちは、なみです。
皆さん!米国株式ETFの投資を楽しんでますか?
このところようやく米国株の下げ止まり、底打ちの声が聞こえはじめましたね。まだ半信半疑ですけど、確かに年初の右肩下がりの勢いは少し収まってきた感はあります。
そんな状況下、そろそろ米国株の買い時かな、と思われている方も多いんじゃないでしょうか。もちろん私もその一人です。
そんなわけで、ここ数年でパフォーマンスが良い米国株ETFは何か?について、最新のデータで比較しました。
本記事では、米国の人気ETFであるVT,VTI,VOO,VUG,QQQ,VIG,VTV,VYM,HDV,SPYDの計10銘柄を取り上げ、2017年7月から2022年7月までの5年間のトータルリターンを比較してみました。
VT,VTI,VOOといった王道インデックスETFから、VUG,QQQのようなハイテク中心のグロースETF、さらにはバリュー株や高配当株ETF銘柄まで個性豊かな銘柄を検討対象としています。
各銘柄の特徴だけでなく、値動きや配当の時系列データ、最終的なトータルリターンまで、様々な切り口から比較していますので、
そろそろ投資信託からステップアップして、米国株式ETFに挑戦にしてみようかな。
米国株式ETFに興味はあるんだけど、どの銘柄に投資したらいいのかわからない!
という投資初心者の皆さんにとって非常に参考になる内容かと思います。
この記事でわかること
- 米国株式ETF10銘柄の特徴
- 10銘柄それぞれに5年間投資したときの元本と累積配当額の推移
- 10銘柄の価格の変動度合い
- 配当再投資あり、なし時のトータルリターン
- 結局どれが一番儲かりそう?
投資をするにあたっては、ETFの値上がりによる含み益を狙うのか、はたまた配当がたくさん欲しいのか、あまり価格変動はない方がいいのか、皆さんの理想とするパフォーマンスって人それぞれだと思うんです。
今回の検証結果を見ていただければ、米国株ETFの各銘柄の投資対象や値動き、配当利回りなどの特徴が大まかに把握できると思います。そのため、どの投資すれば皆さんの求めるパフォーマンスが実現できそうか、イメージしていただけるかと思いますので、よろしければご覧ください。
まずは5年のトータルリターンを比較
まず結論から。5年のトータルリターン比較からいきます。 2017年7月から2022年7月までの5年間における”再投資あり”でのトータルリターンは以下の通りとなりました。なお、計算簡略化のため、購入手数料や為替手数料、売却時に発生する税金は無視していますので、実際のリターンはもう少し低くなります。
最近元気ないとはいえ、依然としてリターン面ではハイテク、グロース系が強いですね。QQQが207%で1位、VUGが184%で2位となりました。直近5年では他のインデックスETFより一段高いリターンが得られています。
続く3位はVOOで169%、僅差の4位がVIGで168%、さらに5位がVTIで163%。S&P500指数に連動する大型株が中心のVOOや、米国の連続増配株に投資するVIG、米国株全体に投資するVTIがほぼ同等という結果なりました。
下位グループは、バリュー株を投資対象とするVTVが152%、高配当株を投資対象とするVYMが148%,HDVが140%、全世界の株式を投資対象とするVTが138%、最下位は高配当株ETFの一つSPYD。そこまで悪いわけではないですが136%となっています。
では、この結論に至るまでの検証結果を順にご紹介していきます。
銘柄紹介
まず、今回比較した10銘柄について簡単にご紹介します。
VT
正式名称:バンガード・トータル・ワールド・ストックETF 通称”オルカン”
インデックス:FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(米国を含む先進国および新興国約47ヵ国の大型・中型・小型株約8,000銘柄で構成される指数)→世界全体に投資します!
資産総額:227億ドル
経費率:0.07%
構成銘柄トップ5:
1.アップル 3.31%
2.マイクロソフト 3.04%
3.アマゾン 1.49%
4.アルファベット 1.04%
5.アルファベット 0.95%
VTI
正式名称:バンガード・トータル・ストック・マーケットETF
インデックス:CRSP USトータル・マーケット・インデックス(米国株式市場の投資可能銘柄のほぼ100%をカバーする指数)→アメリカ全体に投資します!
資産総額:2580億ドル
経費率:0.03%
構成銘柄トップ5:
1.アップル 5.56%
2.マイクロソフト 5.08%
3.アマゾン 2.43%
4.アルファベット 1.74%
5.テスラ 1.57%
VOO
正式名称:バンガード・S&P500 ETF
インデックス:S&P500指数(米国で時価総額の大きい主要500社で構成する時価総額加重平均型の株価指数)→アメリカの大企業に投資します!
資産総額:2590億ドル
経費率:0.03%
構成銘柄トップ5:
1.アップル 6.55%
2.マイクロソフト 5.98%
3.アマゾン 2.9%
4.アルファベット 2.04%
5.アルファベット 1.88%
VUG
正式名称:バンガード・米国グロースETF
インデックス:CRSP US Large Cap Growth Index(1株あたり利益の将来の成長率、過去3年間の成長率、1株当たり売上の過去3年間の成長率、総資産に対する投資比率および、総資産利益率より算出される指数)→アメリカの大型成長企業に投資します!
資産総額:731億ドル
経費率:0.04%
構成銘柄トップ5:
1.アップル 12.66%
2.マイクロソフト 11.57%
3.アマゾン 5.53%
4.アルファベット 3.95%
5.テスラ 3.57%
QQQ
正式名称:インベスコQQQトラスト・シリーズ1
インデックス:ナスダック100指数(ナスダックに上場している時価総額が最大規模の非金融企業100社を含む指数)→アメリカのハイテク企業を中心に投資します!
資産総額:1,675億ドル
経費率:0.2%
構成銘柄トップ5:
1.アップル 13.12%
2.マイクロソフト 10.24%
3.アマゾン 6.55%
4.テスラ 4.45%
5.アルファベット 3.57%
VIG
正式名称:バンガード・米国増配株式ETF
インデックス:NASDAQ USディビデンド・アチーバーズ・セレクト・インデックス(10年以上連続して増配の実績を持つ米国普通株で構成される指数)→アメリカの着実に配当を出し続ける企業に投資します!
資産総額:622億$
経費率:0.06%
構成銘柄トップ5:
1.ユナイテッドヘルス 4.21%
2.J&J 4.08%
3.マイクロソフト 3.87%
4.P&G 3.04%
5.JPモルガン 2.89%
VTV
正式名称:バンガード・バリューETF
インデックス:CRSP USラージキャップ・バリュー・インデックス(米国の大型バリュー株をカバーする指数)→アメリカの大型バリュー株に投資します!
資産総額:967億ドル
経費率:0.04%
構成銘柄トップ5:
1.ユナイテッドヘルス 2.99%
2.バークシャー・ハサウェイ 2.93%
3.J&J 2.90%
4.エクソンモービル 2.24%
5.P&G 2.14%
VYM
正式名称:バンガード・米国高配当株式ETF
インデックス:FTSEハイディビデンド・イールド指数(平均以上の配当を出す普通株で構成される株価指数)→アメリカの高い配当を出す企業に投資します!
資産総額:452億ドル
経費率:0.06%
構成銘柄トップ5:
1.J&J 3.49%
2.エクソンモービル 2.69%
3.P&G 2.56%
4.JPモルガン 2.45%
5.ファイザー 2.21%
HDV
正式名称:iシェアーズ・コア高配当株ETF
インデックス:モーニングスター配当フォーカス指数(米国株式市場全体の約97%を占めるモーニングスター米国株式指数のうち、財務の健全性が高く、かつ持続的に平均以上の配当を支払うことができると認められた「利回り上位75社の銘柄」で構成される指数)→米国の財務健全性の高い高配当株に投資します!
資産総額:121億ドル
経費率:0.08%
構成銘柄トップ5:
1.エクソンモービル 7.13%
2.J&J 6.56%
3.ベライゾン 5.67%
4.アッヴィ 5.63%
5.シェブロン 5.01%
SPYD
正式名称:SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF
インデックス:S&P500高配当指数(S&P500構成銘柄の中で配当利回りが高い80銘柄で構成される指数)→S&P500の高配当銘柄に投資します!
資産総額:77億ドル
経費率:0.07%
構成銘柄トップ5:
1.バレロ・エナジー 1.75%
2.マラソン・ペトロリアム 1.60%
3.エクソンモービル 1.58%
4.センプラ・エナジー 1.54%
5.ブリストルマイヤーズ 1.53%
計算条件
以下の条件でパフォーマンスを算出しました。
・検証期間は、2017年7月をスタートとし、2022年7月までとした。
・2017年7月1日に1万ドルを一括投資したと仮定した。
・各月の基準価格は、その月の1日の終値とした。
・配当を再投資する場合、配当受け取り直後にその月の基準価格で全額を再投資したものとした(小数点以下の口数でも購入できるものとした)。
・配当に対し、日本で20.315%が課税されたものとし、残りを受取額とした(米国での現地税10%は確定申告ですべて取り戻したものと仮定)。
・購入手数料と為替手数料は無視した。
元本の推移
まず最初に投資した元本が5年間の間にどうなったのかを確認します。2017年7月に1万ドルを一括投資したときの、元本の推移は以下の通りとなりました。
元本成長率については、1位のQQQが202%で抜けてますね。スタートから頭一つ抜け出し、2位のVUGに対しても大きな差をつけています。2位のVUGも178%もなかなかのもの。ただ上げ幅が大きい反面、2022年初からの下げ幅はQQQ,VUGともかなり大きくなっています。
3~5位は150%ちょっとの横並びででVOO,VIG,VTI、少し離れた6位はVTV、7位がVYMでそれぞれ130%台。VT,HDVが120%台。最下位のSPYDは114%ですが、全銘柄ともプラスにはなっています。
累積配当金の推移
次に、保有するETFから配当金がどれだけ入ってくるのかを確認します。 2017年7月に1万ドルを一括投資したときの累積配当金の推移は以下の通りとなりました。
高配当株ETFであるSPYD,HDV,VYMがその名の通り配当額の上位3位となりました。特にSPYDはHDV,VYMよりも2,3割ほど配当額が多く、HDVとVYMは同じくらいというイメージです。
4位以下に続くのがまずVTV、高配当株の多いバリュー株ETFですから納得です。意外なのは5位のVT、大きな差ではないものの、連続増配株ETFのVIGやVOO,VTIよりも配当が多くなるようです。以下VUG,最下位はQQQと、やはりグロース株ETFは配当は期待できませんね。
価格変動率の比較
次は価格変動率を評価します。
この指標は、株価の価格変動を定量的に評価するためのもので、ある月の評価額から、その前後2か月を含めた5か月移動平均の差をとったものを評価額の変動幅とし、それを5か月移動平均で割ってその月の変動率とします。さらに、毎月の変動率から標準偏差σを算出し、その3倍(3σ:ある事象が99.7%の確率で発生する範囲)を、その銘柄の変動率3σとしました。
価格変動率3σとは
①対象銘柄のある月の価格を中心に、前後2か月を含めた5か月の移動平均を算出
②対象銘柄のある月の価格から、①で算出した5か月移動平均を引いて価格の変動幅を算出
③②で算出した変動幅を①の移動平均で割り、100をかけて変動率(%)を算出
④毎月の変動率から標準偏差σを算出し、その3倍をその銘柄の変動率3σとする
要は、最後に出てきた変動率3σが小さいほど日々の値動きが安定していて、気持ちに優しい銘柄ということです。
今回の10銘柄それぞれで算出した変動率3σは以下の通りとなりました。
なお変動率3σが小さいほど上位と評価しています。
値動きの安定性という点では連続増配株ETFのVIGが一位になりました。連続増配という手堅さが現れた結果でしょうね。続く2位がVYM、3位がHDVと高配当株ETF、4位はバリュー株ETFのVTV。手堅く配当を出し続けられる企業というのはやはり株価変動の影響も受けにくいということでしょうか。バリュー株、高配当株投資のこういういうメリットは大きいですね。
続く5~7位はVT,VOO,VTIと全世界/米国インデックスETF、このあたりが標準的というところでしょうか。8位9位にグロースETFのVUG,QQQが入っており、やはりイメージ通りの値動きの大きさがありますね。
そして最下位は意外にもSPYD、本来安定感があるはずの高配当株ETFなのにグロースより値動きが大きいという、なんとも困った特徴があるようです。
配当再投資”なし”時のトータルリターン
ここからは10年間投資した後のトータルリターンを評価してきます。まず、配当を再投資しなかったときの累積配当+評価額の推移は以下の通りとなりました。
元本成長率の順と大体同じで、1位はQQQで、2位がVUG、3~5位がVOO,VIG,VTI、配当額の差でHDVがVTより少しだけ上回り、最下位はここもSPYDとなりました。
やはり、グロース株系 > インデックス株系 > バリュー/高配当株系(SPYD以外) > 全世界 > SPYD の順ですね。やはりここ5年の実績ではまだグロース系強し、という結果となりました。
配当再投資”あり”時のトータルリターン
次に、得られた配当をすべて再投資した場合の評価額の推移は以下の通りとなりました。
再投資なし時と全く同じで、1位はQQQで、2位がVUG、3~5位がVOO,VIG,VTI、配当額の差でHDVがVTより少しだけ上回り、最下位はSPYDとなりました。
配当再投資なし時と比較すると、再投資によって全体的に0~2%ほどリターンが増えてますが、先ほどの配当再投資なしの時と全く同じ。投資期間が5年ですから、再投資の効果もそこまで差が出ていませんし、元本成長率の高いグロースは配当が少なく、元本成長率の低いバリューは配当が多いため、再投資の効果としてはどちらもあまり変わらないということもあるかと。
この結果に対して、私自身は「配当再投資にそこまでこだわる必要はない」と解釈しています。もちろん再投資してもいいですし、配当を日々の生活資金に充てるなど、キャッシュフローを向上させ、生活の満足度を上げる選択肢もありですね。
まとめ
以上、米国株ETFのパフォーマンス対決として、日本でも人気の10銘柄について、2017年7月から5年間のトータルリターンを比較してみました。
今回の検証結果をまとめると、下表の通りとなります。
グロース株を投資対象とするQQQ,VUGがトータルリターンでワンツーフィニッシュとなりました。勝因は表から明らかな通り、元本成長率の高さですね。やはりリターンを重視するのであれば、元本成長率を優先して選定すべきですね。配当重視であればこの2銘柄はワースト2。配当を求めるのであれば高配当株ETFもしくはバリュー株ETFが良さそうです。ただ、SPYDに関しては値動きが今回の中では最も大きいことと、リターンでは最下位になっている点は注意が必要です。
投資対象という点では、やっぱり成長性の高いグロースがリターン面では優秀ですね。あとは全体セクターを対象とするインデックスが続き、バリュー株中心の連続増配や高配当株の順になりました。なお、グロースの弱点としては、配当が少なくキャッシュフローが向上しない点、そして価格変動が大きく、精神的に不安となる可能性ある点でしょうか。
逆にバリュー株系のETFは、リターンという点では一歩劣りますが、価格の安定性が優秀です。また、高配当株ETFであればさらに高い配当が得られ、日々のキャッシュフローが向上する点と、価格変動が小さいので日々の価格変動を気にせず、本業に集中できるというメリットがありますね。SPYD以外は、ですけど。
VTIやVOOといった米国株式に幅広く分散投資ができる銘柄であれば、グロースとバリューのようなクセもなく、すごくバランスの良い存在という印象です。この2銘柄は経費率も0.03%と圧倒的に低いので、どれか一つを選べというのであればこれ一本という選択肢でも全然問題ないと思います。
以上、米国株ETFであるVT,VTI,VOO,VUG,QQQ,VIG,VTV,VYM,HDV,SPYDの計10銘柄を取り上げ、各銘柄の特徴と、2017年7月から2022年7月まで5年間投資したときの元本と累積配当額の推移、価格の変動度合い、配当再投資あり、なし時のトータルリターンを比較してみました。
米国株ETFの5年パフォーマンス比較まとめ
- リターンを求めるなら元本成長率の高いグロース株 今回の中ではQQQが最強
- 配当と価格の安定性を求めるならバリュー株 配当ならSPYD、価格の安定性ならVIG
- SPYDはリターン最低で価格変動が最大なので要注意
- 高配当株ETFならVYMかHDVの方がいいかも
- バランス重視なら米国株式インデックス VTIかVOO 経費率も最安
- 5年程度であれば配当再投資はリターンに大きく影響しないのでご自由に
以上、皆さんのご参考になれば幸いです。
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