こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである塩野義製薬(株)【4507】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った塩野義製薬の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・塩野義製薬は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
塩野義製薬(株)【4507】 の基本情報
・設立年月日 1919年6月5日
・上場年月日 1949年5月
・業種 医薬品
・特色 抗HIV薬が大型製品に。感染症、疼痛・中枢神経領域に強み。米国に積極展開。欧州、アジア開拓。
・資本金 212億円
・従業員数 (単独)2,458人 (連結)5,680人
・株価 6,746円(2023.9.17)
・単元 100株
・決算 3月末日
国内では重点領域を代謝性疾患、疼痛、感染症と設定し、8つの新薬を戦略8品目として医療関係者を中心に情報提供を行なっており、海外ではアメリカ、ヨーロッパ、アジアに展開し、開発、販売拠点の拡充を行なっています。
抗HIV薬を中心としたロイヤリティー収入が伸び、最高益を更新し続けており、足元の業績は好調ですが、国内医療用医薬品事業は主力製品の特許切れで売り上げが減少しています。
「セデス」や「ポポン」などの主力ブランドが有名ですね。
SHIONOGIは、常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供する
この基本方針は、シオノギのあるべき姿や社会的存在価値を示す未来永劫にゆるぎないものであり、より良いヘルスケアの未来を創り出し、事業活動を通じて持続可能で健全な社会の実現に貢献することを目指されています。
ではここからは、塩野義製薬(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
医薬品72社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆9853億円(7位) |
売上高 | 4266億8400万円(9位) |
営業利益 | 1490億300万円(4位) |
経常利益 | 2203億3200万円(3位) |
純利益 | 1849億6500万円(3位) |
営業利益率 | 34.9%(4位) |
純利益率 | 43.3%(2位) |
総資産 | 1兆3637億円(6位) |
負債 | 1715億9800万円(11位) |
医薬品の中で売上高は9位、総資産は6位。利益率は驚きの高さで、純利益率は43.3%の2位。国内大手医薬品メーカーの一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:7841億9200万円
流動負債:1585億5200万円
固定負債:313億6900万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 4.95倍で基準達成、
②は、固定負債313億円 < 純流動資産6256億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も極めて低く、すごくきれいな財務状況です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年きっちり利益を上げられており、右肩上がりの傾向です。もちろん赤字はありません。というわけで基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 406億1800万円 |
2015年3月 | 440億6000万円 |
2016年3月 | 666億8700万円 |
2017年3月 | 838億7900万円 |
2018年3月 | 1088億6600万円 |
2019年3月 | 1371億9100万円 |
2020年3月 | 1221億9300万円 |
2021年3月 | 1118億5800万円 |
2022年3月 | 1141億8500万円 |
2023年3月 | 1849億6500万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 197.5%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 121.29円 | |
2015年3月 | 132.67円 | 3年平均:152.9円 |
2016年3月 | 204.83円 | |
2017年3月 | 259.87円 | |
2018年3月 | 342.71円 | |
2019年3月 | 438.47円 | |
2020年3月 | 395.7円 | |
2021年3月 | 365.02円 | |
2022年3月 | 378.75円 | 3年平均:455.0円 |
2023年3月 | 621.3円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、きっちり配当が出てますね。しかも配当利回りは控え目ながらここ10年は連続増配であり、すばらしいです。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 36円/株 | 2.02% |
2011年3月 | 40円/株 | 2.82% |
2012年3月 | 40円/株 | 3.5% |
2013年3月 | 42円/株 | 2.16% |
2014年3月 | 46円/株 | 2.4% |
2015年3月 | 52円/株 | 1.3% |
2016年3月 | 62円/株 | 1.17% |
2017年3月 | 72円/株 | 1.25% |
2018年3月 | 82円/株 | 1.49% |
2019年3月 | 94円/株 | 1.37% |
2020年3月 | 103円/株 | 1.94% |
2021年3月 | 108円/株 | 1.81% |
2022年3月 | 115円/株 | 1.53% |
2023年3月 | 135円/株 | 2.26% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは12.81倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.70倍であり、①のPBRは惜しくも基準未達です。
②のPER × PBR は21.78で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高4266億円 |
②財務状況 | ◎ | 問題なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +197.5% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.26% |
⑥株価収益率 | 〇 | 12.81倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 1.70倍 |
株価純資産倍率のみが基準未達となり、
塩野義製薬(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
財務状況は非常にきれいで利益も右肩上がりでしっかり、しかも連続増配と、非常に優秀なのですが、ちょっとだけPBRが基準を上回ってしまいました。すごく惜しいです。
感染症領域における種々のヘルスケア課題の解決と持続可能なビジネスモデル構築を目指す。また、「健やかで豊かな人生への貢献」についても特に重視するマテリアリティの1つに据え、「認知症」や「肥満症」といったアンメットニーズの高い領域にニーズ/疾患単位でフォーカスし、誰もが自分らしく生き生きとした生活を送ることができる社会の実現に貢献する。
直近は、日本の主力製品である抗うつ病薬Cymbaltaのジェネリック医薬品が6月に発売されたほか、新型コロナ禍により、インフルエンザ治療薬の国内外の売上高が低調となり、HIV治療薬の普及も遅れているとのことですが、ある程度コロナ禍を超えて、今後は本格的な成長が期待できそうです。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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