
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである塩野義製薬(株)【4507】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った塩野義製薬(株)【4507】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・塩野義製薬(株)【4507】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


塩野義製薬(株)【4507】 の基本情報
・設立年月日 1919年6月5日
・上場年月日 1949年5月
・業種 医薬品
・特色 抗HIV薬が大型製品に。感染症、疼痛・中枢神経領域に強み。米国に積極展開。欧州、アジア開拓。
・資本金 212億円
・従業員数 (単独)2,589人 (連結)5,693人
・株価 7,024円(2022.7.21)
・単元 100株
・決算 3月末日


塩野義製薬は、国内では重点領域を代謝性疾患、疼痛、感染症と設定し、8つの新薬を戦略8品目として医療関係者を中心に情報提供を行なっており、海外ではアメリカ、ヨーロッパ、アジアに展開し、開発、販売拠点の拡充を行なっています。 また、OTC医薬品事業として「セデス」や「ポポン」などの主力ブランドを中心に展開しています。
抗HIV薬を中心としたロイヤリティー収入が伸び、最高益を更新し続けており、足元の業績は好調ですが、国内医療用医薬品事業は主力製品の特許切れで売り上げが減少しています。
経営理念は、「常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供する」であり、シオノギのあるべき姿や社会的存在価値を示す未来永劫にゆるぎないものとして掲げています。
そのために
益々よい薬を創り出さねばならない。
益々よい薬を造らねばならない。
益々よい薬を益々多くの人々に知らせ、使って貰わねばならない。
創り、造り、売ることを益々経済的にやりとげねばならない。
そのために
シオノギの人々のあらゆる技術が日々休むことなく 向上せねばならない。
シオノギの人々が、人間として日々休むことなく 向上しなければならない。
その結果
シオノギの人々は日々の仕事と生活に益々生甲斐を覚える。
シオノギの人々の生活の仕方が益々改善せられる。
シオノギの人々の生活が益々豊かになる。
という基本方針を立てられています。ぶれない姿勢、軸が感じられますね。
ではここからは、塩野義製薬(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
医薬品71社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2兆2481億円(6位) |
売上高 | 3351億3800万円(10位) |
営業利益 | 1103億1200万円(5位) |
経常利益 | 1262億6800万円(5位) |
純利益 | 1141億8500万円(5位) |
営業利益率 | 32.9%(6位) |
純利益率 | 34.1%(3位) |
総資産 | 1兆1506億円(8位) |
負債 | 1573億1600万円(11位) |
医薬品の中で売上高は10位、総資産は8位。利益率は驚きの高さで、営業利益率は32.9%で業界6位、純利益率は34.1%と業界3位。大手医薬品メーカーの一社であり、事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信では、流動資産は659,205百万円、流動負債は124,396百万円、固定負債は32,920百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 5.30倍で基準達成、
②は、固定負債32,920百万円 < 純流動資産534,809百万円 で基準達成となり、
よって、負債に対して流動資産の割合が十分な高く、財務状況はすごくきれいですね。基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年きっちり利益を上げられており、右肩上がりの傾向です。もちろん赤字はありません。というわけで基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 667億2700万円 |
2014年3月 | 406億1800万円 |
2015年3月 | 440億6000万円 |
2016年3月 | 666億8700万円 |
2017年3月 | 838億7900万円 |
2018年3月 | 1088億6600万円 |
2019年3月 | 1371億9100万円 |
2020年3月 | 1221億9300万円 |
2021年3月 | 1118億5800万円 |
2022年3月 | 1141億8500万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、 EPSの最初の3年平均が148.0円、直近の3年平均が379.8円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 156.6% となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 190.03円 | |
2014年3月 | 121.29円 | 3年平均:148.0円 |
2015年3月 | 132.67円 | |
2016年3月 | 204.83円 | |
2017年3月 | 259.87円 | |
2018年3月 | 342.71円 | |
2019年3月 | 438.47円 | |
2020年3月 | 395.7円 | |
2021年3月 | 365.02円 | 3年平均:379.8円 |
2022年3月 | 378.75円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、きっちり配当が出てますね。しかも配当利回りは控え目ながらここ10年は連続増配であり、すばらしいです。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 36円/株 | 2.02% |
2011年3月 | 40円/株 | 2.82% |
2012年3月 | 40円/株 | 3.5% |
2013年3月 | 42円/株 | 2.16% |
2014年3月 | 46円/株 | 2.4% |
2015年3月 | 52円/株 | 1.3% |
2016年3月 | 62円/株 | 1.17% |
2017年3月 | 72円/株 | 1.25% |
2018年3月 | 82円/株 | 1.49% |
2019年3月 | 94円/株 | 1.37% |
2020年3月 | 103円/株 | 1.94% |
2021年3月 | 108円/株 | 1.81% |
2022年3月 | 115円/株 | 1.53% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは15.57倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは2.17倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR は33.79で基準未達です。
これはかなり株価が高い、ということになりますね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高3351億円 |
②財務状況 | ◎ | 問題なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +156.6% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.53% |
⑥株価収益率 | △ | 15.57倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 2.17倍 |
株価収益率と株価純資産倍率の2項目で基準未達となり、「塩野義製薬(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。財務状況は非常にきれいで利益も右肩上がりでしっかり、しかも連続増配と、非常に優秀なのですが、それだけに既に株価が上がりすぎてますね。残念です。
直近は、日本の主力製品である抗うつ病薬Cymbaltaのジェネリック医薬品が6月に発売されたほか、新型コロナ禍により、インフルエンザ治療薬の国内外の売上高が低調となり、HIV治療薬の普及も遅れているとのことですが、ある程度コロナ禍からの回復が期待できる本年度は成長が期待できそうです。あとはもう少し株価が下がれば、といったところでしょうか。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
の5社です。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




下のバナーをクリックいただけると励みになります!
コメント