こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである東海カーボン(株)【5301】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った東海カーボンの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・東海カーボンは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
東海カーボン(株)【5301】 の基本情報
・設立年月日 1918年4月8日
・上場年月日 1949年5月
・業種 ガラス・土石製品
・特色 炭素製品大手。タイヤ用カーボン素材や電炉用電極、半導体用素材も。子会社でカソード事業。
・資本金 204億円
・従業員数 (単独)765人 (連結)4,430人
・株価 1,177.5円(2023.11.5)
・単元 100株
・決算 12月末日
鉄鋼、アルミニウム、自動車、機械、冶金、電子など幅広い産業分野へ向け、高品質の炭素・黒鉛製品をグローバルに製造・供給しています。創業から102年、炭素(カーボン)業界のパイオニアとして日本をリードし、そのクオリティを世界へ広げてきました。
炭素や黒鉛など「高品質素材」の製造が主力で、その強固な収益基盤をベースに、新事業への投資や海外への戦略投資を行い、ファインカーボン、工業炉、負極材、摩擦材、スメルティング&ライニングといった新たな成長事業を確立。より幅広いジャンルで安定的な成長を続けられる体制を整えています。
黒鉛電極とカーボンブラックでは国内シェアNo.1です。
信頼の絆
行動指針には、「誠実(Integrity)」「革新(Innovation)」「挑戦(Challenge)」「共創(Co-creation)」「スピード(Agility)」の5つを挙げ、長期ビジョンである「先端素材とソリューションで、持続可能な社会の実現に貢献する」を目指されています。
ではここからは、東洋カーボン(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
ガラス・土石製品57社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2510億6200万円(9位) |
売上高 | 3403億7100万円(7位) |
営業利益 | 405億8800万円(5位) |
純利益 | 224億1800万円(5位) |
営業利益率 | 11.9%(12位) |
純利益率 | 6.6%(21位) |
総資産 | 6303億8500万円(8位) |
負債 | 2768億5300万円(6位) |
ガラス・土石製品の中で売上高は7位、総資産は8位。利益率もまずまず高く、純利益率は6.6%の21位。炭素素材の大手メーカーの一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2022年12月期の決算短信によると、
流動資産:2466億9100万円
流動負債:1466億9600万円
固定負債:1289億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.68倍で基準未達、
②は、固定負債1289億円 > 純流動資産999億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2016年が赤字です。中国経済の減速や太陽電池の需要減などをきっかけに生産設備の一部で減損損失が発生したとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2013年12月 | 12億1300万円 |
2014年12月 | 25億6200万円 |
2015年12月 | 24億8400万円 |
2016年12月 | -79億2900万円 |
2017年12月 | 123億4600万円 |
2018年12月 | 733億9300万円 |
2019年12月 | 319億9400万円 |
2020年12月 | 10億1900万円 |
2021年12月 | 161億500万円 |
2022年12月 | 224億1800万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 532.4%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年12月 | 5.68円 | |
2014年12月 | 12円 | 3年平均:9.8円 |
2015年12月 | 11.65円 | |
2016年12月 | -37.19円 | |
2017年12月 | 57.92円 | |
2018年12月 | 344.32円 | |
2019年12月 | 150.1円 | |
2020年12月 | 4.78円 | |
2021年12月 | 75.55円 | 3年平均:61.8円 |
2022年12月 | 105.15円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、配当はしっかり出ています。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2009年12月 | 8円/株 | 1.74% |
2010年12月 | 8円/株 | 1.58% |
2011年12月 | 8円/株 | 1.91% |
2012年12月 | 7円/株 | 1.95% |
2013年12月 | 6円/株 | 1.63% |
2014年12月 | 6円/株 | 1.69% |
2015年12月 | 6円/株 | 1.75% |
2016年12月 | 6円/株 | 1.59% |
2017年12月 | 12円/株 | 0.86% |
2018年12月 | 24円/株 | 1.92% |
2019年12月 | 48円/株 | 4.38% |
2020年12月 | 30円/株 | 2.33% |
2021年12月 | 30円/株 | 2.48% |
2022年12月 | 30円/株 | 2.8% |
なお、株主優待は12月末の権利確定で、
100株以上の1年以上保有で2,000円相当(3年以上なら3,000円相当)
500株以上の1年保有で3,000円相当(3年以上なら5,000円相当)
1,000株以上なら1年未満で3,000円相当
(1年以上なら5,000円、3年以上なら8,000円相当)のカタログギフトがもらえます。
100株の1年保有なら優待品で利回り2%程度の配当があることになりますね。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは9.66倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.79倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も7.63で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高3403億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2016年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +532.4% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.8%+優待あり |
⑥株価収益率 | ◎ | 9.66倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.79倍 |
財務状況と収益安定性の2項目で基準未達となり、
東海カーボン(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定負債が多い上、赤字がありますからね。仕方なしです。
「主力事業の成長軌道回帰」「事業ポートフォリオの最適化(選択と集中)」「サステナビリティ経営基盤構築」の3つの基本方針を掲げ、2025年の売上高4,840億円、営業利益690億円、ROS14%を目指す。
脱カーボンの時代、悪者にされがちなカーボンですが、サステナブルな社会の実現になくてはならない素材でもあります。主力の黒鉛電極は成長事業でありながら、浮き沈みも激しいことから、このところM&Aによる規模拡大を進めつつ、ポートフォリオの分散で収益の安定化を図っています。今や売上げも社員も海外が国内を上回り、規模拡大で社会的責任も高まる中、高付加化価値化とカーボンニュートラルの実現に向けた今後の取り組み注目したいものです。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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