
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである太平洋セメント(株)【5233】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った太平洋セメント(株)【5233】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・太平洋セメント(株)【5233】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


太平洋セメント(株)【5233】 の基本情報
・設立年月日 1881年5月3日
・上場年月日 1949年5月
・業種 ガラス・土石製品
・特色 セメント首位。米国、アジア展開。骨材、建材等多角化。石炭灰、汚泥、産廃等の再利用も収益源。
・資本金 862億円
・従業員数 (単独)1,874人 (連結)12,542人
・株価 2,035円(2022.8.12)
・単元 100株
・決算 3月末日


太平洋セメントグループは、国内セメント事業、資源事業、環境事業、海外事業を中核に「環太平洋におけるリーディング・カンパニー」を目指し、グローバルに事業を展開しています。また、大量の廃棄物や副産物の処理・再資源化が可能なセメント工場の特性と、長年培ってきたリサイクル技術を生かし地球環境保全と循環型社会の実現を目指しています。
売上、利益ともにやはり主役はセメント事業、国内に9のセメント工場をもち、コンピューター集中制御システムやNSPキルンの稼働、さらに自家発電設備などにより世界でもトップクラスのエネルギー効率、生産性を実現しています。良質なセメントをスムースに提供できるようなシステムづくりを進められています。
また、多様な用途に応えられるよう、普通ポルトランドセメントをはじめとして特殊セメント、地盤改良材、生コンクリートなど、多彩な製品や技術を提供されています。
経営理念は「持続可能な地球の未来を拓く先導役をめざし、経済の発展のみならず、環境への配慮、社会への貢献とも調和した事業活動を行います。」であり、地球の資源は有限であり、環境負荷についても制約がある事を認識し、現世代だけでなく次世代も含めて永続的に発展する地球の未来を拓く先導役を目指されています。
ではここからは、太平洋セメント(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
ガラス・土石製品59社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2344億5900万円(6位) |
売上高 | 7082億100万円(2位) |
営業利益 | 467億100万円(5位) |
経常利益 | 501億9300万円(5位) |
純利益 | 289億7100万円(5位) |
営業利益率 | 6.6%(32位) |
純利益率 | 4.1%(38位) |
総資産 | 1兆1030億円(2位) |
負債 | 5582億800万円(3位) |
ガラス・土石製品の中で売上高は2位、総資産は2位。利益率は低めで、純利益率は4.1%の38位。セメントメーカーとしてはダントツのトップであり、事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信によると、
流動資産:3405億5000万円
流動負債:3097億6800万円
固定負債:2484億4000万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.10倍で基準未達、
②も、固定負債2484億4000万円 > 純流動資産307億8200万円 で基準未達となり、
よって、流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2009年,2010年に赤字がありますが、ここ10年は赤字はなくしっかり利益を上げられています。問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 113億2900万円 |
2014年3月 | 352億2300万円 |
2015年3月 | 441億1400万円 |
2016年3月 | 364億400万円 |
2017年3月 | 475億9700万円 |
2018年3月 | 385億2500万円 |
2019年3月 | 434億5200万円 |
2020年3月 | 391億5100万円 |
2021年3月 | 468億円 |
2022年3月 | 289億7100万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が245.8円、直近の3年平均が317.8円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 29.3%となり、惜しくも基準未達です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 91.53円 | |
2014年3月 | 286.74円 | 3年平均:245.8円 |
2015年3月 | 359.05円 | |
2016年3月 | 296.31円 | |
2017年3月 | 383.91円 | |
2018年3月 | 311.39円 | |
2019年3月 | 351.72円 | |
2020年3月 | 319.89円 | |
2021年3月 | 387.78円 | 3年平均:317.8円 |
2022年3月 | 245.79円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、配当はしっかり出ています。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2011年3月 | 25円/株 | 1.79% |
2012年3月 | 40円/株 | 2.17% |
2013年3月 | 40円/株 | 1.81% |
2014年3月 | 50円/株 | 1.34% |
2015年3月 | 50円/株 | 1.36% |
2016年3月 | 60円/株 | 2.32% |
2017年3月 | 60円/株 | 1.61% |
2018年3月 | 60円/株 | 1.55% |
2019年3月 | 80円/株 | 2.17% |
2020年3月 | 60円/株 | 3.24% |
2021年3月 | 60円/株 | 2.06% |
2022年3月 | 70円/株 | 3.47% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは12.88倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.46倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も5.92で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高7082億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | △ | +29.3% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.47% |
⑥株価収益率 | 〇 | 12.88倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.46倍 |
財務状況と収益成長性の2項目で基準未達となり、「太平洋セメント(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。収益成長性は惜しいところですが、流動資産に対して流動/固定負債が多く、財務状況があまりよろしくないですね。
セメントの内需が縮小する中、成長市場の米国に投資するなどして収益を拡大しており、財務体質は改善しているとのこと。懸念材料は足元の石炭価格の上昇で、今後は製造時に大量に使う石炭価格の高騰をいかに値上げで補うかが課題となりそうです。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
の5社です。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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