こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)神戸製鋼所【5406】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った神戸製鋼所の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・神戸製鋼所は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)神戸製鋼所【5406】 の基本情報
・設立年月日 1911年6月28日
・上場年月日 1949年5月
・業種 鉄鋼
・特色 鉄鋼(高炉国内3位)、アルミ・銅、産機・エンジ・建機・電力など複合経営。鉄鋼は自動車比率高い。
・資本金 2,509億円
・従業員数 (単独)11,368人 (連結)38,488人
・株価 1,700円(2023.11.12)
・単元 100株
・決算 3月末日
大手鉄鋼メーカーの中では最も鉄鋼事業の比率が低く、素材部門・機械部門・電力部門を3本柱とする複合経営が特徴です。素材部門では線材や輸送機用アルミ材、機械部門ではスクリュ式非汎用圧縮機などで高いシェアを持ち、電力部門も電力卸供給事業としては国内最大規模を誇ります。
旧鈴木商店系の大手鉄鋼メーカーで、1905年(明治38年)に合名会社鈴木商店が小林清一郎の経営する小林製鋼所を買収し、神戸製鋼所として創業したことに始まります。
近年はアルミや機械、電力など鉄鋼以外の分野への注力が目立ち、「鉄鋼メーカー」を脱し、「鉄鋼も手掛けるメーカー」へのシフトを目指す姿勢が鮮明にしています。
ラグビーチーム・コベルコスティーラーズはトップリーグに参加する国内屈指の強豪チームですね。
個性と技術を活かし合い、社会課題の解決に挑みつづける。
「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の人々が夢や希望を叶えられる世界」の実現に向け、「信頼される技術、製品、サービスを提供します」「社員一人一人を活かし、グループの和を尊びます」「たゆまぬ変革により、新たな価値を創造します」という3つの約束を定められています。
ではここからは、(株)神戸製鋼所に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
鉄鋼43社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 6714億3300万円(3位) |
売上高 | 2兆4725億円(3位) |
営業利益 | 863億6500万円(3位) |
純利益 | 725億6600万円(3位) |
営業利益率 | 3.5%(31位) |
純利益率 | 2.9%(29位) |
総資産 | 2兆9351億円(3位) |
負債 | 1兆8412億円(3位) |
鉄鋼の中で売上高、総資産とも3位。利益率は低めで、純利益率は2.9%の29位。鉄鋼の国内大手メーカーの一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆4159億円
流動負債:1兆498億円
固定負債:8472億9500万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.35倍で基準未達、
②は、固定負債8472億円 > 純流動資産3661億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合が高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2016年,2017年,2020年に赤字がありますね。特に赤字額の大きかった2020年は、米中貿易摩擦と新型コロナウイルス感染拡大による自動車用鋼材の販売減に加え、航空機部品などの生産設備で収益性の低下に伴う減損損失がかさんだのが要因とのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 701億9100万円 |
2015年3月 | 865億4900万円 |
2016年3月 | -215億5600万円 |
2017年3月 | -230億4500万円 |
2018年3月 | 631億8800万円 |
2019年3月 | 359億4000万円 |
2020年3月 | -680億800万円 |
2021年3月 | 232億3400万円 |
2022年3月 | 600億8300万円 |
2023年3月 | 725億6600万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 0.7%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 226.29円 | |
2015年3月 | 238.19円 | 3年平均:135.0円 |
2016年3月 | -59.35円 | |
2017年3月 | -63.54円 | |
2018年3月 | 174.43円 | |
2019年3月 | 99.2円 | |
2020年3月 | -187.56円 | |
2021年3月 | 64.06円 | |
2022年3月 | 160.24円 | 3年平均:136.0円 |
2023年3月 | 183.81円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2013年,2017年,2020年が無配ですね。残念ながら基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 15円/株 | 0.75% |
2011年3月 | 30円/株 | 1.39% |
2012年3月 | 10円/株 | 0.75% |
2013年3月 | 0円/株 | 0% |
2014年3月 | 40円/株 | 2.92% |
2015年3月 | 40円/株 | 1.8% |
2016年3月 | 20円/株 | 2.02% |
2017年3月 | 0円/株 | 0% |
2018年3月 | 30円/株 | 2.82% |
2019年3月 | 20円/株 | 2.41% |
2020年3月 | 0円/株 | 0% |
2021年3月 | 10円/株 | 1.34% |
2022年3月 | 40円/株 | 6.77% |
2023年3月 | 40円/株 | 3.8% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは5.59倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.66倍であり、①のPBRも基準達成です。
②のPER × PBR も3.69で基準達成です。株価としてはすごく安いですね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高2兆4725億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2016年,2017年,2020年赤字 |
④収益成長性 | △ | +0.7% |
⑤配当 | × | 2013年,2017年,2020年無配 |
⑥株価収益率 | ◎ | 5.59倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.66倍 |
財務状況と収益安定性/成長性、配当の4項目で基準未達となり、
神戸製鋼所(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
株価自体はすごく安いのですが、この財務状況と収益性、無配の多さはいただけません。
新規電力プロジェクトの立上げが完遂し、収益貢献がフルに寄与する2023年度にROIC(投下資本収益率)5%以上の収益レベルを確保し、さらに、将来の姿として、ROIC8%以上を安定的に確保し、持続的に成長する企業グループを目指す。
神戸製鋼所の中期経営計画では、まずは「安定収益基盤の確立」、そして「カーボンニュートラルへの挑戦」が最重要課題であり、そのために事業の多様化を目指していくとのこと。経営環境では脱炭素、サステナビリティ、DX、コロナによる産業構造変化、そして鉄鋼業界の構造的問題が示されています。今後がまさに正念場、どのように脱炭素や持続可能な事業に投資していくのかに注目です。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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