
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるJFEホールディングス(株)【5411】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿ったJFEホールディングス(株)【5411】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・JFEホールディングス(株)【5411】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


JFEホールディングス(株)【5411】 の基本情報
・設立年月日 2002年9月27日
・上場年月日 2002年9月26日
・業種 鉄鋼
・特色 粗鋼生産国内2位・世界10位台のJFEスチールが中核の持株会社。商事、エンジニアリングも。
・資本金 1,471億円
・従業員数 (単独)51人 (連結)64,304人
・株価 1,490円(2022.8.19)
・単元 100株
・決算 3月末日


JFEグループは、「鉄」の製造を事業の中核に位置付けて事業を展開しており、さらに、鉄を起点として人々の安全で快適な暮らしを支える「エンジニアリング」事業を持ち、それらの生み出す多様な価値をグローバルな「商社」事業を通じて世界中の隅々に届ける企業グループです。
JFEホールディングスは、「JFEスチール」「JFEエンジニアリング」「JFE商事」を完全子会社として傘下に置く持株会社で、グループの一元的なガバナンスの中心にあって、全グループの戦略機能を担い、全グループのリスク管理と対外説明責任を行うグループ本社としての業務を遂行しています。
鉄鋼事業を担うJFEスチールは、国内2大銑鋼一貫製鉄所体制による高い国際競争力を持ち、世界トップクラスの技術と商品開発力を活かした高付加価値商品を提供しています。
エンジニアリング事業を担うJFEエンジニアリングは、環境・エネルギー分野で多様な資源をグリーンエネルギーとして有効活用するための技術を提供し、事業運営にも積極的に取り組んでいます。橋梁など社会インフラ分野にも幅広く展開しています。
商社事業を担うJFE商事は、鉄鋼製品を中心に、鉄鋼原料・非鉄金属・化学品・燃料・資機材・船舶から食品・エレクトロニクスなど幅広く取り扱い、国内外を網羅したサプライチェーンを活用し、グローバルに事業を展開しています。
企業理念は「常に世界最高の技術をもって社会に貢献します」。行動規範は「挑戦。柔軟。誠実。」シンプルですけどわかりやすいですね。
ではここからは、JFEホールディングス(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
鉄鋼44社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 8320億7800万円(3位) |
売上高 | 4兆3651億円(2位) |
営業利益 | 4001億9200万円(2位) |
経常利益 | 3885億3500万円(2位) |
純利益 | 2880億5800万円(2位) |
営業利益率 | 9.2%(11位) |
純利益率 | 6.6%(11位) |
総資産 | 5兆5686億円(2位) |
負債 | 3兆4335億円(2位) |
鉄鋼の中で売上高、総資産とも2位。利益率もそこそこ高めで、純利益率は6.6%の11位。鉄鋼では日本製鉄に次ぐ国内第二位の存在であり、事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:2兆6333億6100万円
流動負債:1兆6215億5600万円
固定負債:1兆8119億5500万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.62倍で基準未達、
②は、固定負債1兆8119億5500万円 > 純流動資産1兆118億500万円 で基準未達となり、
よって、流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高く、残念ながら基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2020年,2021年に赤字がありますね。特に赤字の大きかった2020年は鉄鋼事業の連結子会社、JFEスチールが米中貿易摩擦による需要低迷などの厳しい経営環境に直面し、東日本製鉄所千葉、京浜の両地区で生産体制を見直し、それらに伴って減損損失を計上したとのこと。残念ですが基準未達です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 395億9900万円 |
2014年3月 | 1023億8200万円 |
2015年3月 | 1393億5700万円 |
2016年3月 | 336億5700万円 |
2017年3月 | 679億3900万円 |
2018年3月 | 976億3500万円 |
2019年3月 | 1635億900万円 |
2020年3月 | -1977億4400万円 |
2021年3月 | -218億6800万円 |
2022年3月 | 2880億5800万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が161.2円、直近の3年平均が39.6円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -75.4%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 64.45円 | |
2014年3月 | 177.43円 | 3年平均:161.2円 |
2015年3月 | 241.6円 | |
2016年3月 | 58.36円 | |
2017年3月 | 117.81円 | |
2018年3月 | 169.34円 | |
2019年3月 | 283.81円 | |
2020年3月 | -343.39円 | |
2021年3月 | -37.98円 | 3年平均:39.6円 |
2022年3月 | 500.28円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、額の凹凸はありますが毎年しっかり配当が出ています。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 20円/株 | 0.53% |
2011年3月 | 35円/株 | 1.44% |
2012年3月 | 20円/株 | 1.12% |
2013年3月 | 20円/株 | 1.13% |
2014年3月 | 40円/株 | 2.06% |
2015年3月 | 60円/株 | 2.26% |
2016年3月 | 30円/株 | 1.98% |
2017年3月 | 30円/株 | 1.57% |
2018年3月 | 80円/株 | 3.73% |
2019年3月 | 95円/株 | 5.06% |
2020年3月 | 20円/株 | 2.84% |
2021年3月 | 10円/株 | 0.73% |
2022年3月 | 140円/株 | 8.13% |
なお、株主優待は3月末の権利確定で100株以上保有なら工場見学会に抽選で招待してもらえます。ただコロナ禍の影響によってここ数年は開催中止となっています。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは6.13倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.42倍であり、①のPBRも基準達成です。
②のPER × PBR も2.57で基準達成です。日本製鉄、神戸製鋼所と同様、かなり低い値であり、株価としてはすごく安いですね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高4兆3651億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2020年,2021年赤字 |
④収益成長性 | × | -75.4% |
⑤配当 | ◎ | 利回り8.13%+優待あり |
⑥株価収益率 | ◎ | 6.13倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.42倍 |
財務状況、収益安定性/成長性の3項目で基準未達となり、「JFEホールディングス(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。株価自体は安いのですが、財務状況と収益性に課題ありですね。
コロナ禍からの鋼材需要持ち直しで、直近は業績がV字回復しています。中期経営計画では連結事業利益の向上などの目標を掲げ、財務体質の改善、強化を進めるとのこと。2050年の脱炭素を達成するためにも安定した収益力の向上が課題ですね。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
・日本ガイシ【5333】
の6社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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