こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである古河電気工業(株)【5801】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った古河電工の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・古河電工は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
古河電気工業(株)【5801】 の基本情報
・設立年月日 1896年6月25日
・上場年月日 1949年5月
・業種 非鉄金属
・特色 電線御三家の一角。世界有数の光ファイバーを軸に電装等4部門へ多角化。国内縮小で構造改革。
・資本金 693億円
・従業員数 (単独)4,377人 (連結)55,384人
・株価 2,384円(2023.11.23)
・単元 100株
・決算 3月末日
「メタル」「ポリマー」「フォトニクス」「高周波」の4つの技術を核として、情報通信ソリューション、エネルギーインフラ、自動車部品・電池、電装エレクトロニクス材料、機能製品、サービス・開発等の6つの事業分野において、多岐にわたる製品を展開しています。
売上の半数以上を占めるのが電装エレクトロニクスセグメント、「自動車部品・電池」では、ワイヤハーネス、ステアリング・ロール・コネクタ、鉛バッテリ状態検知センサ等の自動車部品事業および電池事業を、「電装エレクトロニクス材料」では、主に電線、自動車部品や電子機器材料用銅製品の製造・販売を行っています。
精銅と電線から事業をスタートし、世代を超えて培われた素材力と技術力を強みとしています。
世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。
強化していきたい価値観をコアバリューとして、「正々堂々」「革新」「本質追求」「主体・迅速」「共創」の5つを挙げ、「事業強化と変革」に挑み、社会に役立つ企業グループへと成長することを目指されています。
ではここからは、古河電気工業(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
非鉄金属34社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1679億7400万円(7位) |
売上高 | 1兆663億円(4位) |
営業利益 | 154億4100万円(7位) |
純利益 | 179億1100万円(6位) |
営業利益率 | 1.4%(28位) |
純利益率 | 1.7%(22位) |
総資産 | 9670億1400万円(4位) |
負債 | 6311億6300万円(5位) |
非鉄金属の中で売上高、総資産とも4位。利益率は低めで、純利益率は1.7%の22位。非鉄金属メーカーの大手の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:4868億2100万円
流動負債:3810億2500万円
固定負債:2233億4800万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.28倍で基準未達、
②は、固定負債2233億円 > 純流動資産1057億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債も多いですね。残念ながら基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2012年に赤字がありますが、ここ10年はしっかり利益を出されています。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 56億800万円 |
2015年3月 | 73億5500万円 |
2016年3月 | 100億700万円 |
2017年3月 | 175億7000万円 |
2018年3月 | 285億4700万円 |
2019年3月 | 291億800万円 |
2020年3月 | 176億3900万円 |
2021年3月 | 100億100万円 |
2022年3月 | 100億9300万円 |
2023年3月 | 158億9400万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = +57.1%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 79.43円 | |
2015年3月 | 104.17円 | 3年平均:108.4円 |
2016年3月 | 141.73円 | |
2017年3月 | 249.16円 | |
2018年3月 | 405.04円 | |
2019年3月 | 412.97円 | |
2020年3月 | 250.24円 | |
2021年3月 | 141.87円 | |
2022年3月 | 143.38円 | 3年平均:170.4円 |
2023年3月 | 225.79円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ています。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 50円/株 | 1.03% |
2011年3月 | 55円/株 | 1.64% |
2012年3月 | 25円/株 | 1.14% |
2013年3月 | 30円/株 | 1.43% |
2014年3月 | 30円/株 | 1.17% |
2015年3月 | 30円/株 | 1.48% |
2016年3月 | 40円/株 | 1.65% |
2017年3月 | 55円/株 | 1.38% |
2018年3月 | 80円/株 | 1.4% |
2019年3月 | 85円/株 | 3.05% |
2020年3月 | 85円/株 | 4.33% |
2021年3月 | 60円/株 | 2.02% |
2022年3月 | 60円/株 | 2.76% |
2023年3月 | 80円/株 | 3.25% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは10.57倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.55倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も5.81で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆663億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +57.1% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.25% |
⑥株価収益率 | 〇 | 10.57倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.55倍 |
財務状況のみが基準未達となり、
古河電気工業(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高いですね。仕方なしです。
情報/エネルギー/モビリティの各領域及びこれらの融合領域における社会課題解決型事業の強化・創出を掲げ、収益の拡大に向けた取り組みとして、「資本効率重視による既存事業の収益最大化」及び「開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備」を推進する。
古河電気工業は非鉄金属業界の中でも利益率の低さが目立ちますので、既存事業の収益改善・拡大や次世代インフラ構築や環境配慮に寄与する新事業創出などによる「稼ぐ力の最大化」に期待したいところです。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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