
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである住友電気工業(株)【5802】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った住友電気工業(株)【5802】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・住友電気工業(株)【5802】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


住友電気工業(株)【5802】 の基本情報
・設立年月日 1911年8月
・上場年月日 1949年5月
・業種 非鉄金属
・特色 電線首位。自動車用ワイヤハーネスで世界大手の一角。光ファイバーなど通信インフラも大手。
・資本金 997億円
・従業員数 (単独)6,651人 (連結)281,075人
・株価 1,602円(2022.8.31)
・単元 100株
・決算 3月末日


住友電気工業は、1691年の住友家による別子銅山の開発に始まり、「自動車」「情報通信」「エレクトロニクス」「環境エネルギー」「産業素材」の5つの分野で事業を展開しています。近年は従来の電線事業の他に光ファイバーの製造技術による光通信システム、粉末冶金、超硬合金、半導体材料などの新素材など、新分野の開発でも多くの実績を残しており、製造業としては海外展開の最も進んだ企業の一つです。
「自動車」では、人と車のインターフェースをテーマに、自動車内部のパワー・情報伝送を行うワイヤーハーネスを中心に数々の画期的な製品を提供しています。
「情報通信」では、光ファイバ・ケーブルをはじめ、光コネクタ、光ファイバ融着接続機、光通信用モジュール、デバイスを提供するとともに、交通管制システム、バスロケーションシステムなどのアクセス系ネットワーク製品、CATVシステムなどの市民生活の安心、安全、快適、円滑、環境に貢献するソリューションも併せて提供しています。
「エレクトロニクス」では、フレキシブルプリント回路、極細同軸ケーブル、フラットケーブル、熱収縮チューブ、フッ素樹脂製品、化合物半導体、青紫色レーザ用窒化ガリウム基板など、最先端の技術を統合し、新製品を提供し続けています。
「環境エネルギー」では、創業以来、電力の安定供給のキーテクノロジーである電線・ケーブルの技術開発に取り組んでおり、業界のトップとして他社に先駆け、大容量の電力を安定して供給する超高圧電力ケーブルや環境に配慮したエコロジーケーブルを開発するなど、環境、エネルギー関連での新規事業創出に注力しています
「産業素材」では、電線・ケーブルの伸線技術を基盤にした素材開発力を生かし、土木建築に大きく寄与するコンクリート鋼材、自動車や家電製品に使用される高強度・精密ばね用鋼線、およびスチールタイヤコードなどの特殊金属線などの特徴ある製品を生み出しています。
「住友の事業精神」
第1条
わが住友の営業は信用を重んじ、確実を旨とし、もってその鞏固(きょうこ)隆盛を期すべし
第2条
わが住友の営業は時勢の変遷理財の得失を計り、弛張(しちょう)興廃することあるべしといえども、いやしくも浮利に趨(はし)り軽進すべからず
住友金属鉱山と同様、この価値観、倫理観に沿ってグループの社業を発展されています。
ではここからは、住友電気工業(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
非鉄金属35社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆2727億円(1位) |
売上高 | 3兆3678億円(1位) |
営業利益 | 1221億9500万円(1位) |
経常利益 | 1381億6000万円(2位) |
純利益 | 963億600万円(2位) |
営業利益率 | 3.6%(23位) |
純利益率 | 2.9%(26位) |
総資産 | 3兆9631億円(1位) |
負債 | 1兆8522億円(1位) |
非鉄金属の中で売上高、総資産とも1位。利益率は低めで、純利益率は2.9%の26位。非鉄金属メーカーの最大手であり、もちろん事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:2兆1539億4500万円
流動負債:1兆3614億5600万円
固定負債:4907億7700万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.58倍で基準未達、
②は、固定負債4907億7700万円 < 純流動資産7924億8900万円 で基準達成となり、
よって、流動資産に対して流動負債の割合が若干高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を出されています。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 379億5500万円 |
2014年3月 | 667億4800万円 |
2015年3月 | 1197億7100万円 |
2016年3月 | 910億100万円 |
2017年3月 | 1075億6200万円 |
2018年3月 | 1203億2800万円 |
2019年3月 | 1180億6300万円 |
2020年3月 | 727億2000万円 |
2021年3月 | 563億4400万円 |
2022年3月 | 963億600万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が94.3円、直近の3年平均が96.3円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 2.1%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 47.81円 | |
2014年3月 | 84.15円 | 3年平均:94.3円 |
2015年3月 | 151円 | |
2016年3月 | 114.73円 | |
2017年3月 | 137.61円 | |
2018年3月 | 154.29円 | |
2019年3月 | 151.38円 | |
2020年3月 | 93.24円 | |
2021年3月 | 72.25円 | 3年平均:96.3円 |
2022年3月 | 123.49円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ています。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 16円/株 | 1.4% |
2011年3月 | 19円/株 | 1.65% |
2012年3月 | 19円/株 | 1.68% |
2013年3月 | 20円/株 | 1.72% |
2014年3月 | 22円/株 | 1.43% |
2015年3月 | 30円/株 | 1.9% |
2016年3月 | 35円/株 | 2.56% |
2017年3月 | 40円/株 | 2.17% |
2018年3月 | 46円/株 | 2.83% |
2019年3月 | 48円/株 | 3.27% |
2020年3月 | 40円/株 | 3.51% |
2021年3月 | 32円/株 | 1.93% |
2022年3月 | 50円/株 | 3.42% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは12.50倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.69倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も8.63で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高3兆3678億円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | × | +2.1% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.42% |
⑥株価収益率 | 〇 | 12.50倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.69倍 |
財務状況と収益成長性の2項目が基準未達となり、「住友電気工業(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。流動資産に対して流動負債の割合が高く、収益の成長性が物足りないですね。すごく安定はしているんですが、仕方なしです。
足踏み状態となっている収益力の回復を図るため、自動車関連事業では一層のコスト低減と生産の効率化に取り組み、需要変動に耐えうる筋肉質な事業体質の構築が望まれます。また、情報通信事業では、光ケーブルなどのクラウドサービス市場の拡大や5Gの本格立ち上がりに関連する製品の生産能力増強と需要の確実な捕捉、高速大容量通信を可能とするアクセス系ネットワーク機器など、社会動向や市場ニーズに応じた高機能製品の開発・拡販など、事業環境に的確に対応して中長期的な企業価値向上を目指すとのこと。経営基盤はしっかりされてますので、今後の成長に期待ですね。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
・日本ガイシ【5333】
の6社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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