こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである横河電機(株)【6841】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った横河電機の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・横河電機は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
横河電機(株)【6841】 の基本情報
・設立年月日 1920年12月1日
・上場年月日 1949年5月
・業種 電気機器
・特色 石油、化学など各種プラント生産設備向け制御システムが主力。測定機器も。海外比率が高い。
・資本金 434億円
・従業員数 (単独)2,342人 (連結)17,084人
・株価 2,735円(2024.1.7)
・単元 100株
・決算 3月末日
計測、制御、情報の技術を活用し、「エネルギー&サステナビリティ」「マテリアル」および「ライフ」の3つの業種別セグメントに区分し、事業を展開しています。主力事業である「制御事業」は、プラントの生産設備の制御・運転監視を行う分散形制御システムなどを提供、さまざまな産業の発展を支えています。
包括ブランド「OpreX」のもとで、プラントのライフサイクルにわたり、現場から経営レベルまでの顧客の価値を最大化する総合的ソリューション、生産性向上のための各種ソフトウエア、生産制御システム、流量計、差圧・圧力伝送器、プロセス分析計、プログラマブルコントローラ、工業用記録計等を提供しています。
産業機器の計装領域で高い技術力を持ち、強固な基盤と製品群を持った企業という印象ですね。
YOKOGAWAは 計測と制御と情報により 持続可能な社会の実現に貢献する
YOKOGAWA人は 良き市民であり 勇気をもった開拓者であれ
Yokogawa’s Purposeとして、
「測る力とつなぐ力で、地球の未来に責任を果たす。」
コーポレートブランドスローガンには、
「Co-innovating tommorrow」 を掲げ、
顧客と長期的なパートナーシップを育みながら、課題解決のための新しい価値を共創し、着実に一歩一歩積み重ねていくことによって明日という未来に結び付けたいという思いを示されています。
ではここからは、横河電機(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 7151億7200万円(29位) |
売上高 | 4564億7900万円(34位) |
純利益 | 389億2000万円(29位) |
純利益率 | 8.5%(26位) |
総資産 | 6308億9100万円(30位) |
電気機器の中で売上高は29位、総資産は30位。利益率もまずまず高く、純利益率は8.5%の26位。制御分野におけるリーディングカンパニーの一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:3972億6100万円
流動負債:2130億9700万円
固定負債:187億1300万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.86倍で基準未達、
②は、固定負債187億円 < 純流動資産1841億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動負債の割合が高いですね。基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2009~2011年に赤字がありますがここ10年はしっかり利益を上げられています。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 123億4100万円 |
2015年3月 | 172億2300万円 |
2016年3月 | 301億6400万円 |
2017年3月 | 257億4800万円 |
2018年3月 | 214億8100万円 |
2019年3月 | 284億4600万円 |
2020年3月 | 146億8600万円 |
2021年3月 | 192億1900万円 |
2022年3月 | 212億8200万円 |
2023年3月 | 389億2000万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +30.0%となり、惜しくも基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 47.92円 | |
2015年3月 | 66.88円 | 3年平均:76.3円 |
2016年3月 | 114.03円 | |
2017年3月 | 96.4円 | |
2018年3月 | 80.39円 | |
2019年3月 | 106.54円 | |
2020年3月 | 55.02円 | |
2021年3月 | 72円 | |
2022年3月 | 79.73円 | 3年平均:99.2円 |
2023年3月 | 145.81円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2011年が無配ですね。残念ながら基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 2円/株 | 0.25% |
2011年3月 | 0円/株 | 0% |
2012年3月 | 5円/株 | 0.6% |
2013年3月 | 10円/株 | 1.06% |
2014年3月 | 12円/株 | 0.72% |
2015年3月 | 12円/株 | 0.93% |
2016年3月 | 25円/株 | 2.15% |
2017年3月 | 25円/株 | 1.43% |
2018年3月 | 30円/株 | 1.36% |
2019年3月 | 32円/株 | 1.4% |
2020年3月 | 34円/株 | 2.61% |
2021年3月 | 34円/株 | 1.67% |
2022年3月 | 34円/株 | 1.62% |
2023年3月 | 34円/株 | 1.58% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは15.07倍であり、ぎりぎり四捨五入で基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.73倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も26.07で基準未達です。これは株価が高すぎますね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高4564億円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | △ | +30.0% |
⑤配当 | △ | 2011年無配 |
⑥株価収益率 | 〇 | 15.07倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 1.73倍 |
財務状況と収益成長性、配当、株価純資産倍率の4項目で基準未達となり、
横河電機(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動負債の割合が若干高く、成長性もあと一歩、無配もあり、株価もちょっと高いですね。仕方なしです。
YOKOGAWAが磨き上げてきた技術・ノウハウや強みを生かせる事業領域を成長させていくために、従来の製品・機能別組織から業種軸の組織に再編し、ビジネス拡大とソリューションビジネスへの転換のスピードアップを図っていく。
横河電機ではプラント制御機器を展開し、工場でのモノづくりを知り尽くしており、現場の作業負荷をかけないためにより分かりやすくパッケージ化した形でソリューションを提供できる点や、 ハードウェアからソフトウェア、AIソリューションなどを一体で提供できる点が強みです。2021年度からは、これまでの製品や機能を中心とした組織から、顧客の事業活動の業種を基軸にビジネス展開を行うサブセグメント体制に制御事業を移行させるなど、さらなる成長戦略を進めているとのことですので、今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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