こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである三菱重工業(株)【7011】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った三菱重工の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・三菱重工は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
三菱重工業(株)【7011】 の基本情報
・設立年月日 1950年1月11日
・上場年月日 1950年5月
・業種 機械
・特色 タービン、航空、防衛、造船手がける総合重機。ターボ、フォークリフトで世界的。小型機は中止。
・資本金 2,656億円
・従業員数 (単独)21,634人 (連結)76,859人
・株価 9,299円(2024.1.21)
・単元 100株
・決算 3月末日
三菱グループの源流企業である日本郵船の船の修繕・改修のために国から払い下げられた長崎造船所が発祥で、現在では日本最大の機械メーカーです。事業領域は陸・海・空・宇宙と多岐に渡り、総合的な社会インフラ事業を担っています。
主力製品は、船舶(造船)、エネルギー関連機器(火力・風力・原子力発電所など)、産業機械、航空機、ロケット、兵器(防衛装備品)などで、ほかにも、鉄道車両(リニア・電気機関車・懸垂型モノレール・新交通システム・LRVなど)の製造、さらにエアコンや事業所向け大型冷凍機、ターボチャージャー、ETCシステムの製造でも知られています。
国内外約300社からなるグループを形成、製品数は700を超え、「機械のデパート」とも呼ばれています。
一、顧客第一の信念に徹し、社業を通じて社会の進歩に貢献する
一、誠実を旨とし、和を重んじて公私の別を明らかにする
一、世界的視野に立ち、経営の革新と技術の開発に努める
ミッションには、「長い歴史の中で培われた技術に最先端の知見を取り入れ、変化する社会課題の解決に挑み、人々の豊かな暮らしを実現する」、グローバル社会に提供する価値を示すタグラインには「MOVE THE WORLD FORWARD」を制定し、常に顧客・市場のニーズを的確に捉え、ソリューションを提供できる企業グループであり続けることを目指されています。
ではここからは、三菱重工業(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
機械100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 3兆1250億円(5位) |
売上高 | 4兆2027億円(1位) |
純利益 | 1304億5100万円(4位) |
純利益率 | 3.1%(74位) |
総資産 | 5兆7611億円(1位) |
機械の中で売上高、総資産とも1位。利益率は低めで、純利益率は3.1%と74位。日本最大の機械メーカーです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:3兆423億円
流動負債:2兆6241億円
固定負債:1兆166億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.16倍で基準未達、
②は、固定負債1兆166億円 > 純流動資産4182億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2018年に赤字がありますね。開発を進めていた国内初のジェット旅客機MRJで発生した減損によるものとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 1604億2800万円 |
2015年3月 | 1104億1200万円 |
2016年3月 | 638億3400万円 |
2017年3月 | 877億2000万円 |
2018年3月 | -73億2000万円 |
2019年3月 | 1102億7100万円 |
2020年3月 | 871億2300万円 |
2021年3月 | 406億3900万円 |
2022年3月 | 1135億4100万円 |
2023年3月 | 1304億5100万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -15.0%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 478.13円 | |
2015年3月 | 329.04円 | 3年平均:332.4円 |
2016年3月 | 190.16円 | |
2017年3月 | 261.24円 | |
2018年3月 | -21.79円 | |
2019年3月 | 328.52円 | |
2020年3月 | 259.39円 | |
2021年3月 | 120.92円 | |
2022年3月 | 338.24円 | 3年平均:282.5円 |
2023年3月 | 388.43円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 40円/株 | 1.03% |
2011年3月 | 40円/株 | 1.05% |
2012年3月 | 60円/株 | 1.5% |
2013年3月 | 80円/株 | 1.5% |
2014年3月 | 80円/株 | 1.34% |
2015年3月 | 110円/株 | 1.66% |
2016年3月 | 120円/株 | 2.87% |
2017年3月 | 120円/株 | 2.68% |
2018年3月 | 120円/株 | 2.95% |
2019年3月 | 130円/株 | 2.83% |
2020年3月 | 150円/株 | 5.49% |
2021年3月 | 75円/株 | 2.17% |
2022年3月 | 100円/株 | 2.49% |
2023年3月 | 130円/株 | 2.67% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは16.44倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.63倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も26.80で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高4兆2027億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2018年赤字 |
④収益成長性 | × | -15.0% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.67% |
⑥株価収益率 | △ | 16.44倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 1.63倍 |
財務状況と収益安定性/成長性、株価収益率/純資産倍率の5項目で基準未達となり、
三菱重工業(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、赤字あり、成長性もマイナス、株価も高いとなると仕方なしですね。
「収益力回復・強化」に向けて目標の着実な達成に邁進するとともに、サステナブルで安全・安心・快適な社会の実現に向け、「エネルギー供給側の脱炭素化」と、「エネルギー需要側の省エネ・省人化・脱炭素化」を両面で進め、これら「成長領域の開拓」のための各種取組みを引き続き展開していく。
固定費の削減や生産性の向上に加え、サービス比率の向上、業務プロセスの改善等、事業体質の変革に取り組みつつ、エネルギー供給側で脱炭素化を目指す「エナジートランジション」とエネルギー需要側で省エネ・省人化・脱炭素化を実現する「社会インフラのスマート化」を強力に推し進めており、これらの成長分野への積極的に投資によって将来的には1兆円規模の事業への成長を目指すとのこと。日本を代表する機械メーカーとして、今後も期待したいものです。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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