こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)日本取引所グループ【8697】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った日本取引所グループの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・日本取引所グループは割安株なのか?
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)日本取引所グループ【8697】 の基本情報
・設立年月日 2001年4月1日
・上場年月日 2004年4月1日
・業種 その他金融業
・特色 国内唯一の総合取引所グループ。傘下に東証、大阪取引所、東京商品取引所(TOCOM)。
・資本金 115億円
・従業員数 (単独)204人 (連結)1,238人
・株価 3,635円(2024.5.19)
・単元 100株
・決算 3月末日
金融商品取引法上の金融商品取引所持株会社であり、「株式会社東京証券取引所」「株式会社大阪取引所」「株式会社東京商品取引所」といった取引所運営会社等を子会社として保有しています。
グループ全体で、取引所金融商品市場の開設・運営に係る事業を行っており、株券等有価証券の売買、デリバティブ商品の取引を行うための市場施設の提供、相場の公表、売買等の公正性の確保に係る業務、有価証券債務引受業等を行う体制の整備まで、有価証券等の上場、売買、清算・決済から情報配信に至る総合的なサービス提供を行っています。
東京証券取引所グループと大阪証券取引所とが2013年に経営統合して発足した企業で、株式市場としては世界第3位の規模です。
私たちは、公共性及び信頼性の確保、利便性、効率性及び透明性の高い市場基盤の構築並びに創造的かつ魅力的なサービスの提供により、市場の持続的な発展を図り、豊かな社会の実現に貢献します。
私たちは、これらを通じて、投資者を始めとする市場利用者の支持及び信頼の増大が図られ、その結果として、利益がもたらされるものと考えます。
幅広い社会課題に、資金調達・資金循環機能をはじめとしたソリューションを提供するグローバルな総合金融・情報プラットフォームへと進化し、持続可能な社会と経済発展の実現に貢献するアジア太平洋地域における機軸マーケットとして、世界でも枢要な市場の一つであり続けることを目指されています。
ではここからは、日本取引所グループに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
その他金融業37社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆8913億円(2位) |
売上高 | 1528億7100万円(14位) |
純利益 | 608億2200万円(5位) |
純利益率 | 39.8%(3位) |
総資産 | 80兆6826億円(1位) |
その他金融業の中で売上高は14位、総資産は1位。利益率はかなり高く、純利益率は39.8%の3位、国内唯一の総合取引所です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2024年3月期の決算短信によると、
流動資産:80兆5012億円
流動負債:80兆3097億円
固定負債:342億7700万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.00倍で基準未達、
②は、固定負債342億円 < 純流動資産1915億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動負債の割合が高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績で確認すると、毎年しっかり利益を上げられており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2015年3月 | 344億2700万円 |
2016年3月 | 448億7700万円 |
2017年3月 | 421億2400万円 |
2018年3月 | 504億8400万円 |
2019年3月 | 490億5700万円 |
2020年3月 | 476億900万円 |
2021年3月 | 513億8900万円 |
2022年3月 | 499億5500万円 |
2023年3月 | 463億4200万円 |
2024年3月 | 608億2200万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +35.2%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | 62.7円 | |
2016年3月 | 81.73円 | 3年平均:73.8円 |
2017年3月 | 77円 | |
2018年3月 | 94.16円 | |
2019年3月 | 91.58円 | |
2020年3月 | 88.91円 | |
2021年3月 | 96円 | |
2022年3月 | 94.35円 | |
2023年3月 | 88.03円 | 3年平均:99.8円 |
2024年3月 | 116.89円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 9円/株 | 1.84% |
2011年3月 | 10.5円/株 | 2.51% |
2012年3月 | 12円/株 | 2.61% |
2013年3月 | 8円/株 | 0.94% |
2014年3月 | 21.5円/株 | 0.85% |
2015年3月 | 25円/株 | 1.43% |
2016年3月 | 50円/株 | 2.9% |
2017年3月 | 47円/株 | 2.97% |
2018年3月 | 67円/株 | 3.4% |
2019年3月 | 70円/株 | 3.55% |
2020年3月 | 54円/株 | 2.83% |
2021年3月 | 68円/株 | 2.62% |
2022年3月 | 72円/株 | 3.15% |
2023年3月 | 63円/株 | 3.12% |
2024年3月 | 91円/株 | 2.21% |
なお、株主優待は3月末の権利確定で100株以上保有なら保有年数に応じてQUOカードがもらえます。
1年未満:1,000円分
1年以上2年未満:2,000円分
2年以上3年未満:3,000円分
3年以上:4,000円分
100株を3年以上保有していた場合、優待利回りが2%ほどあることになりますね。配当と合わせるとなかなかの利回りです。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは35.35倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは5.76倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBRも203.62で基準未達です。ちょっと株価が高すぎますね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高1528億円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +35.2% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.21%+優待あり |
⑥株価収益率 | × | 35.35倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 5.76倍 |
財務状況と株価収益率/純資産倍率の3項目で基準未達となり、
(株)日本取引所グループは割安株に該当しません!
という結果となりました。
収益安定性、成長性は問題なく、配当もきっちり出ているのですが、流動資産に対して流動負債の割合が高く、とにかく株価が高すぎますね。
幅広い社会課題に、資金調達・資金循環機能をはじめとしたソリューションを提供する、グローバルな総合金融・情報プラットフォームへと進化し、持続可能な社会と経済発展の実現に貢献する
2022年度から2024年度では、安定的な市場運営のための財務の安全性と株主還元のバランスをとりつつ、継続的な投資により、市場の持続的な発展・進化を支えることを資本政策の基本方針とし、市況にかかわらず資本コストを上回るROE10%を中長期的に維持することを目指されるそう。利益率はかなりの高さですし、今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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