こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである東武鉄道(株)【9001】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った東武鉄道の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・東武鉄道は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
東武鉄道(株)【9001】 の基本情報
・設立年月日 1897年11月1日
・上場年月日 1949年5月
・業種 陸運業
・特色 関東民鉄で路線最長、北関東地盤。東京スカイツリー軸に再開発推進。日光など沿線観光に注力。
・資本金 1,021億円
・従業員数 (単独)3,289人 (連結)18,517人
・株価 2,689.5円(2024.6.15)
・単元 100株
・決算 3月末日
日本の鉄道事業者。大手私鉄の一つで、関東地方1都4県で12の鉄道路線を運営しています。鉄道のほか、バスなどの交通・流通・物流業・住宅・レジャーなど約80社からなる東武グループの中核企業です。
総営業キロ数は463.3km、JR以外では関東地方で最長、全国では近鉄に次ぐ2位。旧根津財閥の中核企業で、同じく関東の大手私鉄の京浜急行電鉄(京急電鉄)と共に芙蓉グループを構成する企業の一つです。
「東武」の名称は武蔵国の東部に由来し、日本の大手私鉄の中では最も古い老舗企業です。
「奉仕」「進取」「和親」
グループの全ての事業が社会に支えられていることを深く自覚し、豊かな社会の実現に貢献すること。常に研鑚に励み、時代を切り開く開拓者精神をもって新たな挑戦を続けること。人の和や環境との調和をもとに事業の発展と従業員の幸福を図り、社会の進展に寄与すること。この3つを社是とし、経営の拠り所としています。
ではここからは、東武鉄道に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
陸運業62社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 5559億5800万円(12位) |
売上高 | 6359億6400万円(12位) |
純利益 | 481億6400万円(10位) |
純利益率 | 7.6%(12位) |
総資産 | 1兆7040億円(8位) |
陸運業の中で売上高は12位、総資産は8位。利益率も上位で、純利益率は7.6%の12位、日本の大手私鉄の一社で東武グループの中核企業です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2024年3月期の決算短信によると、
流動資産:1689億5300万円
流動負債:3863億2200万円
固定負債:7760億2700万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.44倍で基準未達、
②は、固定負債7760億円 > 純流動資産-2173億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合もかなり高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績で確認すると、2021年に赤字がありますね。新型コロナの感染拡大に伴い、鉄道やレジャー事業を中心に利用客の減少が響いたとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2015年3月 | 306億5300万円 |
2016年3月 | 272億7700万円 |
2017年3月 | 361億3700万円 |
2018年3月 | 360億2500万円 |
2019年3月 | 280億2400万円 |
2020年3月 | 355億3000万円 |
2021年3月 | -249億6500万円 |
2022年3月 | 134億5300万円 |
2023年3月 | 291億7900万円 |
2024年3月 | 481億6400万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -0.6%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | 143.52円 | |
2016年3月 | 127.71円 | 3年平均:146.7円 |
2017年3月 | 168.79円 | |
2018年3月 | 168.87円 | |
2019年3月 | 132.65円 | |
2020年3月 | 168.84円 | |
2021年3月 | -119.67円 | |
2022年3月 | 64.49円 | |
2023年3月 | 140.06円 | 3年平均:145.9円 |
2024年3月 | 232.99円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、利回りは低めですが毎年しっかり配当が出ており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 25円/株 | 0.96% |
2011年3月 | 25円/株 | 1.47% |
2012年3月 | 25円/株 | 1.14% |
2013年3月 | 30円/株 | 1.12% |
2014年3月 | 30円/株 | 1.2% |
2015年3月 | 30円/株 | 1.05% |
2016年3月 | 30円/株 | 1.07% |
2017年3月 | 32.5円/株 | 1.15% |
2018年3月 | 35円/株 | 1.09% |
2019年3月 | 35円/株 | 1.1% |
2020年3月 | 40円/株 | 1.06% |
2021年3月 | 20円/株 | 0.67% |
2022年3月 | 20円/株 | 0.67% |
2023年3月 | 30円/株 | 0.95% |
2024年3月 | 55円/株 | 1.45% |
なお、株主優待は9月末と3月末の権利確定で100株以上保有で株主優待乗車証(東武線内を片道1乗車できる乗車券)がもらえます。保有株数によってもらえる枚数が異なり、100株なら2枚、5,000株以上なら50枚×2回、5,800株以上なら定期券となり、期間内であれば全線乗り放題となります。
また株主優待券が1~2冊もらえ、東京スカイツリーや東武動物公園などで割引が受けられます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは12.93であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.04倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも13.45で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高6359億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2021年赤字 |
④収益成長性 | × | -0.6% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.45%+優待あり |
⑥株価収益率 | 〇 | 12.93倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.04倍 |
財務状況、収益安定性/成長性の3項目で基準未達となり、
東武鉄道(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
陸運業という事業の性質上、固定負債が多くなりがちですし、新型コロナの影響を大きく受けたこともあり、なかなか厳しいですね。
ワンマン運転区間の拡大や駅業務の見直し、需要に合わせた輸送力の適正化等による固定費の削減と、業務の見直しやデジタル技術の活用による生産性向上により、適正な利益の確保に努める
強鉄道業以外の事業においてもコスト削減を進めるなど、新型コロナウイルス感染症の影響による出控えやインバウンドの回復動向等引き続き先行きが不透明である一方、事業環境の変化に対応しながら着実に利益を計上できる強靭な経営体質を構築されるとのこと。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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