こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである東急(株)【9005】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った東急の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・東急は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
東急(株)【9005】 の基本情報
・設立年月日 1922年9月2日
・上場年月日 1949年5月
・業種 陸運業
・特色 東急グループ中核。輸送人員は民鉄最大。本拠地・渋谷、南町田など沿線各地で開発案件多数。
・資本金 1,217億円
・従業員数 (単独)1,501人 (連結)23,502人
・株価 1,833円(2024.6.15)
・単元 100株
・決算 3月末日
不動産事業、交通事業、ホテル・リゾート事業、生活サービス事業を手がける東急グループの中核をなす事業持株会社です。大手私鉄の東急電鉄や東急百貨店、東急ホテルズなどを傘下に持っています。
純然たる持株会社ではなく、直営で不動産賃貸業なども展開しており、総合不動産事業を展開する関連会社の東急不動産とは棲み分けがされています。証券コードにおける業種分類では「陸運業」に分類されていますが、東急グループ全体では鉄道事業の収益に比べて不動産事業やホテル事業などそれ以外の収益がはるかに上回っています。
個人的には、東急といえば東急ハンズがおなじみだったのですが、気づけば東急が取れて”ハンズ”に、カインズの子会社になったそうですね。
自立と共創により、総合力を高め、信頼され愛されるブランドを確立する
「まちづくりを通して社会課題に向き合い、新しい価値を提供する」ことをDNAとし、沿線や拠点の開発と交通ネットワークの拡充を両輪として事業を進められており、使命である「美しい生活環境を創造し調和ある社会と一人ひとりの幸せの追求」に取り組まれています。
ではここからは、東急に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
陸運業62社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆982億円(4位) |
売上高 | 1兆378億円(8位) |
純利益 | 637億6300万円(8位) |
純利益率 | 6.1%(20位) |
総資産 | 2兆6520億円(5位) |
陸運業の中で売上高は8位、総資産は5位。利益率もまずまず高く、純利益率は6.1%の20位、東急グループの中核企業であり、輸送人員は私鉄最大です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2024年3月期の決算短信によると、
流動資産:4431億7700万円
流動負債:7431億2300万円
固定負債:1兆768億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.60倍で基準未達、
②は、固定負債1兆768億円 > 純流動資産-2999億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合もかなり高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績で確認すると、2021年に赤字がありますね。不動産賃貸業における緊急事態宣言発令に伴う施設休業が影響したとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2015年3月 | 410億5100万円 |
2016年3月 | 552億4800万円 |
2017年3月 | 672億8900万円 |
2018年3月 | 700億9500万円 |
2019年3月 | 578億2400万円 |
2020年3月 | 423億8600万円 |
2021年3月 | -562億2900万円 |
2022年3月 | 87億8200万円 |
2023年3月 | 259億9500万円 |
2024年3月 | 637億6300万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -38.4%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | 65.76円 | |
2016年3月 | 89.61円 | 3年平均:88.5円 |
2017年3月 | 110.01円 | |
2018年3月 | 115.41円 | |
2019年3月 | 95.14円 | |
2020年3月 | 69.88円 | |
2021年3月 | -93.08円 | |
2022年3月 | 14.58円 | |
2023年3月 | 42.94円 | 3年平均:54.5円 |
2024年3月 | 105.84円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、利回りは低めですが毎年しっかり配当が出ており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 12円/株 | 1.53% |
2011年3月 | 13円/株 | 1.88% |
2012年3月 | 13円/株 | 1.65% |
2013年3月 | 14円/株 | 0.99% |
2014年3月 | 15円/株 | 1.19% |
2015年3月 | 16円/株 | 1.08% |
2016年3月 | 17円/株 | 0.9% |
2017年3月 | 18円/株 | 1.14% |
2018年3月 | 19円/株 | 1.15% |
2019年3月 | 20円/株 | 1.03% |
2020年3月 | 23円/株 | 1.35% |
2021年3月 | 15円/株 | 1.02% |
2022年3月 | 15円/株 | 0.94% |
2023年3月 | 15円/株 | 0.85% |
2024年3月 | 17.5円/株 | 0.95% |
なお、株主優待は9月末の権利確定で100株以上保有で株主優待乗車証(東急線または東急バスを片道1乗車できる乗車券)がもらえます。保有株数によってもらえる枚数が異なり、100株なら2枚、9,500株以上なら80枚、12,000株以上なら定期券となり、期間内であれば東急線が全線乗り放題となります。
また株主優待券が1式もらえ、東急百貨店や東急ホテルなどで割引が受けられます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは18.30であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.39倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRは25.44で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1.0兆円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2021年赤字 |
④収益成長性 | × | -38.4% |
⑤配当 | 〇 | 利回り0.95%+優待あり |
⑥株価収益率 | △ | 18.30倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 1.39倍 PER×PBRがNG |
財務状況、収益安定性/成長性、株価収益率/純資産倍率の5項目で基準未達となり、
東急(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
現在の事業が不動産中心のため負債が多くなりがちですし、鉄道も含めて新型コロナの影響を大きく受けたこともあり、なかなか厳しいですね。
社会的価値を創出する“東急ならではのまちづくり”を推進し、連結事業利益の柱としての役割を果たすとともに、収益性向上により利益成長を牽引する
最重要拠点である渋谷の未来に向けた種々の取り組みの推進や、デジタルテクノロジーの活用、変革のための原動力として“個”の最大化を支援する人材戦略についても注力していくとのこと。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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