こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである小田急電鉄(株)【9007】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った小田急電鉄の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・小田急電鉄は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
小田急電鉄(株)【9007】 の基本情報
・設立年月日 1948年6月1日
・上場年月日 1949年5月
・業種 陸運業
・特色 新宿拠点の鉄道大手。複々線化機に沿線活性化に軸足。箱根観光開発に傾注。不動産、ホテルも。
・従業員数 (単独)3,707人 (連結)12,196人
・株価 1,541.5円(2024.6.16)
・単元 100株
・決算 3月末日
日本の大手私鉄の一つで、東京都・神奈川県を中心に鉄道事業・不動産業などを営む会社です。小田急グループの中核企業であり、グループ企業が運行する箱根登山鉄道鉄道線のほか、東京メトロ千代田線などにも乗り入れ、首都圏鉄道ネットワークの一角をなしています。
新宿駅 – 小田原駅間を結ぶ小田原線など3路線計120.5 km、計70駅を運営しており、鉄軌道部門収益は大手私鉄16社中5位。全事業収益に占める鉄軌道部門収益の割合は約70%となっています。
小田急といえばロマンスカー、人気の観光地箱根へのアクセス手段として確固たる地位を確立しています。箱根エリアの観光開発力も強みですね
小田急グループは、お客さまの「かけがえのない時間」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献します。
経営理念の実現のため、「真摯」「進取」「融和」の3つの精神を忘れることなく、お客様に「上質と感動」を提供することを行動指針とし、顧客の期待に応え、価値ある時間や空間を創造・提供し、良きパートナーとして明るくしあわせな社会の実現に貢献することを目指されています。
ではここからは、小田急電鉄に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
陸運業62社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 5515億8300万円(13位) |
売上高 | 4098億3700万円(19位) |
純利益 | 815億2400万円(6位) |
純利益率 | 19.9%(4位) |
総資産 | 1兆3015億円(11位) |
陸運業の中で売上高は19位、総資産は11位。利益率はかなり高く、純利益率は19.9%の4位、国内大手私鉄の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2024年3月期の決算短信によると、
流動資産:1731億1800万円
流動負債:3964億2200万円
固定負債:4450億3500万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.44倍で基準未達、
②は、固定負債4450億円 > 純流動資産-2233億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合もかなり高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績で確認すると、2021年に赤字がありますね。新型コロナウイルスの感染拡大で移動自粛や在宅勤務が広がり、鉄道やホテル事業が落ち込んだ影響とのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2015年3月 | 301億4700万円 |
2016年3月 | 274億9700万円 |
2017年3月 | 260億6700万円 |
2018年3月 | 293億2800万円 |
2019年3月 | 324億6800万円 |
2020年3月 | 199億2300万円 |
2021年3月 | -398億400万円 |
2022年3月 | 121億1600万円 |
2023年3月 | 407億3600万円 |
2024年3月 | 815億2400万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +59.7%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | 83.6円 | |
2016年3月 | 76.27円 | 3年平均:77.4円 |
2017年3月 | 72.31円 | |
2018年3月 | 81.36円 | |
2019年3月 | 90.1円 | |
2020年3月 | 55.08円 | |
2021年3月 | -109.6円 | |
2022年3月 | 33.36円 | |
2023年3月 | 112.1円 | 3年平均:123.6円 |
2024年3月 | 225.27円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、利回りは低めですが毎年しっかり配当が出ており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 13円/株 | 0.84% |
2011年3月 | 13円/株 | 0.93% |
2012年3月 | 14円/株 | 0.9% |
2013年3月 | 15円/株 | 0.64% |
2014年3月 | 16円/株 | 0.9% |
2015年3月 | 17円/株 | 0.69% |
2016年3月 | 18円/株 | 0.73% |
2017年3月 | 19円/株 | 0.88% |
2018年3月 | 20円/株 | 0.93% |
2019年3月 | 21円/株 | 0.78% |
2020年3月 | 21円/株 | 0.89% |
2021年3月 | 10円/株 | 0.33% |
2022年3月 | 10円/株 | 0.49% |
2023年3月 | 21円/株 | 1.22% |
2024年3月 | 30円/株 | 1.45% |
なお、株主優待は3月末と9月末の権利確定で500株以上保有で株主優待乗車証(小田急線を片道1乗車できる乗車券)がもらえます。保有株数によってもらえる枚数が異なり、500株なら4枚、10,000株以上なら80枚、15,000株以上なら定期券となり、期間内であれば小田急線が全線乗り放題となります。
また株主優待券が1式もらえ、小田急百貨店や小田急ホテルなどで割引が受けられます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは14.52であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.20倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも17.42で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高4098億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2021年赤字 |
④収益成長性 | 〇 | +59.7% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.45%+優待あり |
⑥株価収益率 | 〇 | 14.52倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.20倍 |
財務状況、収益安定性の2項目で基準未達となり、
小田急電鉄(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
東急と同様、陸運業という事業の性質上、負債が多くなりがちですし、鉄道も含めて新型コロナの影響を大きく受けたこともあり、なかなか厳しいですね。仕方ありません。
収益性と財務健全性の回復を優先しつつ、リアルビジネスをデジタルで変革するなど、未来の小田急の持続的な成長につながる取り組みとの両立を追求する
「モビリティ×安心・快適」、「まちづくり×愛着」、「くらし×楽しさ」など、顧客や社会にどのような価値を生み出していきたいのかを示す5つの未来フィールドを設定し、それぞれのありたい姿の実現に向けて施策を進められるとのこと。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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