こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである東日本旅客鉄道(株)【9020】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったJR東日本の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・JR東日本は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
東日本旅客鉄道(株)【9020】 の基本情報
・設立年月日 1987年4月1日
・上場年月日 1993年10月26日
・業種 陸運業
・特色 鉄道最大手。首都圏・東日本が地盤。不動産賃貸や駅ナカ物販事業が成長。「Suica」を育成。
・従業員数 (単独)39,843人 (連結)68,769人
・株価 2,586.5円(2024.6.23)
・単元 100株
・決算 3月末日
東日本を中心として旅客鉄道等を運営する日本の鉄道事業者であり、日本国内では東北地方、関東地方、甲信越地方を中心とした地域に鉄道路線を保有して運営しているほか、多様な関連事業を展開しています。
鉄道を運営する会社としては輸送人数×距離で世界最大で、日本の人口の3割強が住む首都圏に多くの在来線の営業路線を持ち、通勤・通学など東京とその周辺での旅客輸送を主力とします。
首都圏の在来線以外にも東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線(上越妙高駅以東)及びミニ新幹線の秋田新幹線・山形新幹線などの複数の新幹線を運営しており、首都圏と東日本各地の長距離輸送を担っています。
首都圏の鉄道インフラを保有し、沿線に多くの不動産を保有していることも大きな強みですね。
私たちは「究極の安全」を第一に行動し、グループ一体でお客さまの信頼に応えます。技術と情報を中心にネットワークの力を高め、すべての人の心豊かな生活を実現します。
鉄道を中心としたビジネスモデルの変革と、輸送サービス、生活サービス、IT・Suicaサービスの3事業の融合・シナジーによる収益の最大化に向け、強みであるリアルなネットワークとデジタル技術やSuicaを組み合わせによって新たな価値、サービスを生み出すことを目指されています。
ではここからは、JR東日本に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
陸運業62社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2兆9262億円(2位) |
売上高 | 2兆7301億円(1位) |
純利益 | 1964億4900万円(2位) |
純利益率 | 7.2%(14位) |
総資産 | 9兆7714億円(2位) |
陸運業の中で売上高は1位、総資産は2位。利益率もまずまず高く、純利益率は7.2%の14位。国内鉄道会社の最大手です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2024年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆1919億円
流動負債:1兆6167億円
固定負債:5兆4155億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.74倍で基準未達、
②は、固定負債5兆4155億円 > 純流動資産-4248億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合もかなり高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績で確認すると、2021年と2022年に赤字がありますね。特に赤字幅の大きかった2021年は新型コロナウイルスの感染拡大による移動自粛で新幹線や特急などの利用が大きく落ち込んだ影響で民営化後の初の赤字となっています。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2015年3月 | 1803億9700万円 |
2016年3月 | 2453億900万円 |
2017年3月 | 2779億2500万円 |
2018年3月 | 2889億5700万円 |
2019年3月 | 2952億1600万円 |
2020年3月 | 1984億2800万円 |
2021年3月 | -5779億円 |
2022年3月 | -949億4800万円 |
2023年3月 | 922億3200万円 |
2024年3月 | 1964億4900万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -70.4%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | 152.98円 | |
2016年3月 | 208.61円 | 3年平均:199.9円 |
2017年3月 | 237.99円 | |
2018年3月 | 249.73円 | |
2019年3月 | 257.75円 | |
2020年3月 | 174.97円 | |
2021年3月 | -510.64円 | |
2022年3月 | -83.9円 | |
2023年3月 | 87.79円 | 3年平均:59.2円 |
2024年3月 | 173.82円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 36.67円/株 | 1.69% |
2011年3月 | 36.67円/株 | 2.38% |
2012年3月 | 36.67円/株 | 2.11% |
2013年3月 | 40円/株 | 1.55% |
2014年3月 | 40円/株 | 1.58% |
2015年3月 | 40円/株 | 1.24% |
2016年3月 | 43.33円/株 | 1.34% |
2017年3月 | 43.33円/株 | 1.34% |
2018年3月 | 46.67円/株 | 1.42% |
2019年3月 | 50円/株 | 1.4% |
2020年3月 | 55円/株 | 2.02% |
2021年3月 | 33.33円/株 | 1.28% |
2022年3月 | 33.33円/株 | 1.41% |
2023年3月 | 33.33円/株 | 1.36% |
2024年3月 | 46.67円/株 | 1.6% |
なお、株主優待は3月末の権利確定で300株以上保有で株主優待割引券(営業路線内の運賃・料金が4割引)がもらえます。保有株数によってもらえる枚数が異なり、300株なら1枚、3,000株以上なら11枚、300,000株以上なら500枚もらえます。3年以上保有している場合は長期保有株主優待としてさらに1枚追加もらえます。
また株主サービス券が1式もらえ、鉄道博物館や駅レンタカーなどの各種施設で割引が受けられます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは13.93であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.08倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも15.04で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高2.7兆円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2021年,2022年赤字 |
④収益成長性 | × | -70.4% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.6%+優待あり |
⑥株価収益率 | 〇 | 13.93倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.08倍 |
財務状況、収益安定性/成長性の3項目で基準未達となり、
東日本旅客鉄道(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
これまで見てきた私鉄各社と同様、陸運業という事業の性質上、負債が多くなりがちですし、鉄道も含めて新型コロナの影響を大きく受けたこともあり、なかなか厳しいですね。
輸送サービス、生活サービス、IT・Suicaサービスの3つのサービスの融合により、グループの力を最大化し新たな価値を生み出す
コロナ禍を乗り越え、旅行気運・移動需要を喚起して鉄道事業の利用を回復させるとともに、ライフスタイルの変化に対応した新しい商品・サービスを展開し、当社グループの持つ強みを活かして積極的に新領域へ挑戦されるとのこと。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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