
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである西日本旅客鉄道(株)【9021】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


・バリュー投資の7つの基準に沿ったJR西日本の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・JR西日本は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。



日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


西日本旅客鉄道(株)【9021】 の基本情報
・設立年月日 1987年4月1日
・上場年月日 1996年10月8日
・業種 陸運業
・特色 JR西日本。北陸、近畿、中国、九州北部で営業。山陽新幹線と上越妙高以西の北陸新幹線を運営。
・従業員数 (単独)21,314人 (連結)44,366人
・株価 2,892円(2024.6.23)
・単元 100株
・決算 3月末日


西日本を中心として旅客鉄道等を運営する日本の鉄道事業者であり、近畿圏をはじめ、北陸、中国地方、九州北部など2府16県に鉄道路線網を持ちます。グループ会社を含めて、非鉄道事業として他のJRグループ各社や大手私鉄同様に小売業や不動産開発、ホテル事業、建設工事業なども展開しています。
鉄道の営業エリアは山陽新幹線の全区間、北陸新幹線の上越妙高駅 – 金沢駅間および、近畿圏、北陸、中国地方の大部分と信越地方、福岡県の一部の在来線であり、総営業キロ数は約5,000km、駅数は1,174駅と、日本の鉄道事業者ではそれぞれJR東日本に次ぐ多さです。



京阪神区間ではライバルの私鉄各社との並行区間も長いですが、新駅設置による利便性向上や新快速の速達性などで差別化を図っています。
私たちは、お客様のかけがえのない尊い命をお預かりしている責任を自覚し、安全第一を積み重ね、お客様から安心、信頼していただける鉄道を築き上げます。
安全第一を積み重ね、お客様から安心、信頼していただける鉄道を築き上げ、人々が出会い、笑顔が生まれる、安全で豊かな社会を実現することを目指されています。
ではここからは、JR西日本に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
陸運業62社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆4096億円(3位) |
売上高 | 1兆6350億円(5位) |
純利益 | 987億6100万円(3位) |
純利益率 | 6.0%(21位) |
総資産 | 3兆7779億円(3位) |
陸運業の中で売上高は5位、総資産は3位。利益率はまずまずで、純利益率は6.0%の21位。国内鉄道会社の大手の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2024年3月期の決算短信によると、
流動資産:7009億6300万円
流動負債:7101億7500万円
固定負債:1兆8427億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.99倍で基準未達、
②は、固定負債1兆8427億円 > 純流動資産-92億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合もかなり高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績で確認すると、2021年と2022年に赤字がありますね。特に赤字幅の大きかった2021年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で長距離路線を中心に鉄道利用が落ち込んだとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2015年3月 | 667億1200万円 |
2016年3月 | 858億6800万円 |
2017年3月 | 912億8800万円 |
2018年3月 | 1104億9300万円 |
2019年3月 | 1027億5000万円 |
2020年3月 | 893億8000万円 |
2021年3月 | -2331億6600万円 |
2022年3月 | -1131億9800万円 |
2023年3月 | 885億2800万円 |
2024年3月 | 987億6100万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -80.0%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | 172.29円 | |
2016年3月 | 221.76円 | 3年平均:209.9円 |
2017年3月 | 235.76円 | |
2018年3月 | 285.36円 | |
2019年3月 | 266.65円 | |
2020年3月 | 233.44円 | |
2021年3月 | -609.73円 | |
2022年3月 | -258.03円 | |
2023年3月 | 181.63円 | 3年平均:42.1円 |
2024年3月 | 202.63円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 35円/株 | 2.17% |
2011年3月 | 40円/株 | 2.49% |
2012年3月 | 45円/株 | 2.71% |
2013年3月 | 55円/株 | 2.44% |
2014年3月 | 57.5円/株 | 2.73% |
2015年3月 | 62.5円/株 | 1.98% |
2016年3月 | 67.5円/株 | 1.94% |
2017年3月 | 70円/株 | 1.93% |
2018年3月 | 80円/株 | 2.15% |
2019年3月 | 87.5円/株 | 2.1% |
2020年3月 | 91.25円/株 | 2.47% |
2021年3月 | 50円/株 | 1.63% |
2022年3月 | 50円/株 | 1.96% |
2023年3月 | 62.5円/株 | 2.29% |
2024年3月 | 71円/株 | 2.26% |
なお、株主優待は3月末の権利確定で100株以上保有で株主優待割引券(営業路線内の運賃・料金が5割引)がもらえます。保有株数によってもらえる枚数が異なり、100株なら1枚、300株以上なら100枚ごとに1枚、20,000株以上なら100枚もらえます。3年以上保有している場合は長期保有株主優待としてさらに1~3枚追加でもらえます。
また株主サービス券が1式もらえ、鉄道博物館や駅レンタカーなどの各種施設で割引が受けられます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは14.10であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.27倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも17.91で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1.6兆円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2021年,2022年赤字 |
④収益成長性 | × | -80.0% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.26%+優待あり |
⑥株価収益率 | 〇 | 14.10倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.27倍 |
財務状況、収益安定性/成長性の3項目で基準未達となり、



西日本旅客鉄道(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
JR東日本や私鉄各社と同様、陸運業という事業の性質上、負債が多くなりがちですし、鉄道も含めて新型コロナの影響を大きく受けたこともあり、なかなか厳しいですね。
社会の変化を変革の契機と捉え、グループの存在意義、変わらぬ価値観を改めて確認し、安全性の向上に取り組むとともに、大阪・関西万博開催といった機会も活かし、地域と共に成長し続け、持続可能な社会づくりに貢献していく
さまざまな実証実験を行ってきた「うめきた(大阪)駅」をイノベーションの実験場「JR WEST LABO」の中心と位置づけてオープンイノベーションを加速させ、さまざまなパートナーとの共創により、新たな価値創造を推進するとともに、経営課題や社会課題を解決する最先端の技術を社会に発信し続けていくとのこと。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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