こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである関西電力(株)【9503】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った関西電力の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・関西電力は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
関西電力(株)【9503】 の基本情報
・設立年月日 1951年5月1日
・上場年月日 1951年7月
・業種 電気・ガス業
・特色 東京電力に次ぐ業界2位。関西財界の雄。原発依存度高い。ガス・情報通信・不動産も展開。
・従業員数 (単独)8,416人 (連結)31,437人
・株価 2,387.5円(2024.8.13)
・単元 100株
・決算 3月末日
大阪府大阪市に本店を置く電力会社で、近畿地方や関東地方などで電力小売事業や、発電事業を行っています。
発電燃料資源はLNG火力が約半分を占め、太陽光発電、風力発電、水力発電をはじめとした再生可能エネルギーの導入にも積極的に取り組んでおり、電気だけでなく、不動産・通信・防犯・介護関連など、幅広く事業を展開しています。
なお、関西人なら関電のアクセントは「カ/ン\デン」になります。
戦前まで近畿地方を拠点に全国展開していた大同電力、宇治川電気、日本電力、東邦電力の流れを組み、資産を継承している関係上、近畿地方以外の発電所などの設備を多く持つことも特徴です。
「あたりまえ」を守り、創る
ブランステートメントには「power with heart」を掲げ、エネルギーの安全・安定供給の責務を全うしながら、顧客や社会にとっての今日の「あたりまえ」を守り、未来の「あたりまえ」を創る存在であることを目指されています。
ではここからは、関西電力に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気・ガス業26社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2兆1304億円(1位) |
売上高 | 4兆593億円(2位) |
純利益 | 4418億7000万円(1位) |
純利益率 | 10.9%(3位) |
総資産 | 8兆9870億円(2位) |
電気・ガス業の中で売上高、総資産とも2位。利益率もかなり高く、純利益率は10.9%の3位。事業規模では電気・ガス業のトップ企業の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2024年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆4406億円
流動負債:1兆6065億円
固定負債:5兆697億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.90倍で基準未達、
②も、固定負債5.1兆円 > 純流動資産-1659億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2015年が赤字ですね。法人税率引き下げを受けた繰延税金資産の取り崩しと、原子力発電所の長期停止で火力燃料費や他社からの購入電力料が増えたためとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2015年3月 | -1483億7500万円 |
2016年3月 | 1408億円 |
2017年3月 | 1407億8900万円 |
2018年3月 | 1518億8000万円 |
2019年3月 | 1150億7700万円 |
2020年3月 | 1300億200万円 |
2021年3月 | 1089億7800万円 |
2022年3月 | 858億3500万円 |
2023年3月 | 176億7900万円 |
2024年3月 | 4418億7000万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +309.8%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | -166.06円 | |
2016年3月 | 157.59円 | 3年平均:49.7円 |
2017年3月 | 157.58円 | |
2018年3月 | 170円 | |
2019年3月 | 128.83円 | |
2020年3月 | 145.55円 | |
2021年3月 | 122.02円 | |
2022年3月 | 96.14円 | |
2023年3月 | 19.81円 | 3年平均:203.7円 |
2024年3月 | 495.09円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2013~2016年が無配ですね。残念ながら基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 60円/株 | 2.8% |
2011年3月 | 60円/株 | 3.31% |
2012年3月 | 60円/株 | 4.68% |
2013年3月 | 0円/株 | 0% |
2014年3月 | 0円/株 | 0% |
2015年3月 | 0円/株 | 0% |
2016年3月 | 0円/株 | 0% |
2017年3月 | 25円/株 | 1.83% |
2018年3月 | 35円/株 | 2.56% |
2019年3月 | 50円/株 | 3.06% |
2020年3月 | 50円/株 | 4.15% |
2021年3月 | 50円/株 | 4.17% |
2022年3月 | 50円/株 | 4.35% |
2023年3月 | 50円/株 | 3.87% |
2024年3月 | 50円/株 | 2.28% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは8.19倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.89倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも7.29で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高4.1兆円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2015年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +309.8% |
⑤配当 | × | 2013~2016年無配 |
⑥株価収益率 | ◎ | 8.19倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.89倍 |
財務状況と収益安定性、配当の3項目で基準未達となり、
関西電力(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定いずれの負債も多く、赤字と無配あり、であれば厳しいですね。
自助努力で遂行できるコスト構造改革のさらなる深化や、化石燃料価格の影響を受けにくい原子力発電の安全を最優先とした最大限の活用に取り組む
緊迫する国際情勢に伴う資源価格の高騰などを受けて、「ゼロカーボンへの挑戦」「サービス・プロバイダーへの転換」「強靭な企業体質への改革」の3本柱の取組みを推進されるとのこと。今後に期待しましょう。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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