
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである中部電力(株)【9502】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


・バリュー投資の7つの基準に沿った中部電力の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・中部電力は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。



日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


中部電力(株)【9502】 の基本情報
・設立年月日 1951年5月1日
・上場年月日 1951年8月
・業種 電気・ガス業
・特色 電力3位。浜岡原発3基停止中。東電との合弁に火力発電事業を統合。M&Aで海外展開加速。
・資本金 4,307億円
・従業員数 (単独)3,127人 (連結)28,365人
・株価 1,635円(2023.5.23)
・単元 100株
・決算 3月末日


愛知県名古屋市に本店を置く電力会社で、再生可能エネルギー事業、原子力事業、海外事業などを行っています。現在、合計211箇所の発電施設を有し、日本の東海地区の発電の要です。
愛知県、岐阜県、長野県、静岡県(富士川以西)、三重県の一部、関東地方、近畿地方などで電力小売事業や発電事業を行い、新エネルギー事業分野においても、太陽光発電のメガソーラーや風力発電のウィンドパークといった発電所の運営にも力を入れています。



大手電力会社の中でも再生可能エネルギーへの取り組みに積極的です。
くらしに欠かせないエネルギーをお届けし、社会の発展に貢献します。
コーポレートスローガンには、「むすぶ。ひらく。」を掲げ、人と人、人と社会をつなぎ、むすびあわせることで、この先もコミュニティを支えていきたい。そして、人の可能性と未来をひらいていきたい。そんな想いが込められています。
ではここからは、中部電力に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気・ガス業25社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆1750億円(3位) |
売上高 | 3兆9866億円(2位) |
営業利益 | 1070億8900万円(2位) |
経常利益 | 651億4800万円(4位) |
純利益 | 382億3100万円(4位) |
営業利益率 | 2.7%(14位) |
純利益率 | 1.0%(14位) |
総資産 | 6兆4551億円(3位) |
負債 | 4兆2928億円(5位) |
電気・ガス業の中で売上高は2位、総資産は3位。利益率については中位で純利益率は1.0%の14位。事業規模では電気・ガス業のトップ企業の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆1666億円
流動負債:1兆2585億円
固定負債:3兆326億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.93倍で基準未達、
②も、固定負債3兆326億円 > 純流動資産-919億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2014年と2022年が赤字ですね。特に赤字幅の大きかった2014年は円安の進行や浜岡原子力発電所の停止で火力発電所向け燃料費が増えたためとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | -653億2700万円 |
2015年3月 | 387億9500万円 |
2016年3月 | 1697億4500万円 |
2017年3月 | 1146億6500万円 |
2018年3月 | 743億7200万円 |
2019年3月 | 794億2200万円 |
2020年3月 | 1634億7200万円 |
2021年3月 | 1472億200万円 |
2022年3月 | -430億2200万円 |
2023年3月 | 382億3100万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -0.4%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | -86.22円 | |
2015年3月 | 51.21円 | 3年平均:63.1円 |
2016年3月 | 224.15円 | |
2017年3月 | 151.43円 | |
2018年3月 | 98.24円 | |
2019年3月 | 104.96円 | |
2020年3月 | 216.11円 | |
2021年3月 | 194.65円 | |
2022年3月 | -56.9円 | 3年平均:62.8円 |
2023年3月 | 50.56円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2014年が無配ですね。惜しいとはいえ、基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 60円/株 | 2.57% |
2011年3月 | 60円/株 | 3.24% |
2012年3月 | 60円/株 | 4.02% |
2013年3月 | 50円/株 | 4.34% |
2014年3月 | 0円/株 | 0% |
2015年3月 | 10円/株 | 0.7% |
2016年3月 | 25円/株 | 1.59% |
2017年3月 | 30円/株 | 2.01% |
2018年3月 | 35円/株 | 2.33% |
2019年3月 | 45円/株 | 2.6% |
2020年3月 | 50円/株 | 3.28% |
2021年3月 | 50円/株 | 3.51% |
2022年3月 | 50円/株 | 3.96% |
2023年3月 | 50円/株 | 3.57% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは5.38倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.60倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも3.23で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高3兆9866億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2014年と2022年赤字 |
④収益成長性 | × | -0.4% |
⑤配当 | △ | 2014年無配 |
⑥株価収益率 | ◎ | 5.38倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.60倍 |
財務状況と収益安定性/成長性、配当の4項目で基準未達となり、



中部電力(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定いずれの負債も多く、赤字ありで成長性も低い、無配あり、であれば厳しいですね。
電源調達ポートフォリオの見直しやデマンドレスポンスの効果的な活用、再生可能エネルギー発電出力の予測精度向上などの対策に取り組む
2020年4月からは、送配電部門を中部電力パワーグリッド、販売部門を中部電力ミライズにそれぞれ分社し、これらにJERAを加えた3つの事業会社を核とする体制とし、より強靭な企業グループへの成長を目指すとのこと。今後に期待しましょう。
というわけで現時点では、割安株に該当したのは以下の12社となります。
1. コムシスホールディングス【1721】
2. 積水ハウス【1928】
3. 宝ホールディングス【2531】
4. SUMCO【3436】
5. 東ソー【4042】
6. 日本ガイシ【5333
7. アマダ【6113】
8. 太陽誘電【6976】
9. 日東電工【6988】
10. ヤマハ発動機【7272】
11. 凸版印刷【7911】
12. クレディセゾン【8253】
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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