こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)ニトリホールディングス【9843】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったニトリホールディングスの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・ニトリホールディングスは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)ニトリホールディングス【9843】 の基本情報
・設立年月日 1972年3月3日
・上場年月日 1989年9月27日
・業種 小売業
・特色 全国トップの家具・インテリア製造小売り。海外に自社工場も。傘下にホームセンターの島忠。
・従業員数 (単独)1,091人 (連結)18,934人
・株価 19,760円(2024.8.14)
・単元 100株
・決算 3月末日
主にインテリア(家具)の小売業等を展開する株式会社ニトリやホームセンター大手の島忠を傘下に持つニトリグループの持株会社。日本だけでなく、台湾、中華人民共和国、マレーシア、シンガポールなど、世界に約100店舗のチェーンストアを展開しています。
創業者である似鳥昭雄氏が北海道で創業し、一代で家具・インテリア用品を製造・物流・販売する大手企業へと成長させており、「海外原材料の仕入→現地生産→輸入→店舗販売→商品配送」までほぼグループ直営で行うことで、自社で原材料の仕入れや製造段階からかかわり商品の品質を確保しつつ、その品質の割に安価な価格で人々に提供していることを特徴としています。
「お、ねだん以上。ニトリ」でおなじみ。学習机の販売台数も全国トップなんだそう。
住まいの豊かさを世界の人々に提供する。
「2032年に3000店舗、売上高3兆円、世界の人々に豊かな暮らしを提案する企業へ」というビジョンの実現に向け、事業活動にかかわる全ての人々と信頼関係を構築し、「製造物流IT小売業」というビジネスモデルを通じ、社会における共有価値を創出し相互繁栄を図っておられます。
ではここからは、ニトリホールディングスに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
小売業352社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2兆2331億円(4位) |
売上高 | 8957億9900万円(12位) |
純利益 | 865億2300万円(3位) |
純利益率 | 9.7%(6位) |
総資産 | 1兆2239億円(9位) |
小売業の中で売上高は12位、総資産は9位。利益率はかなり高く、純利益率は9.7%の6位、家具・インテリア製造小売りの国内トップ企業です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2024年3月期の決算短信によると、
流動資産:3477億3600万円
流動負債:2763億3600万円
固定負債:660億3300万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.26倍で基準未達、
②は、固定負債660億円 < 純流動資産714億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動負債の割合が高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられており問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2015年2月 | 414億5000万円 |
2016年2月 | 469億6900万円 |
2017年2月 | 599億9900万円 |
2018年2月 | 642億1900万円 |
2019年2月 | 681億8000万円 |
2020年2月 | 713億9500万円 |
2021年2月 | 921億1400万円 |
2022年2月 | 967億2400万円 |
2023年3月 | 951億2900万円 |
2024年3月 | 865億2300万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +83.6%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2015年2月 | 376.13円 | |
2016年2月 | 425.1円 | 3年平均:447.4円 |
2017年2月 | 540.93円 | |
2018年2月 | 574.49円 | |
2019年2月 | 608.05円 | |
2020年2月 | 635.42円 | |
2021年2月 | 817.01円 | |
2022年2月 | 856.71円 | |
2023年3月 | 841.89円 | 3年平均:821.4円 |
2024年3月 | 765.61円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年2月 | 25円/株 | 0.72% |
2011年2月 | 32.5円/株 | 0.87% |
2012年2月 | 40円/株 | 1.17% |
2013年2月 | 45円/株 | 1.31% |
2014年2月 | 77.5円/株 | 1.66% |
2015年2月 | 55円/株 | 0.72% |
2016年2月 | 65円/株 | 0.79% |
2017年2月 | 82円/株 | 0.67% |
2018年2月 | 92円/株 | 0.52% |
2019年2月 | 97円/株 | 0.69% |
2020年2月 | 108円/株 | 0.65% |
2021年2月 | 123円/株 | 0.59% |
2022年2月 | 140円/株 | 0.86% |
2023年3月 | 146円/株 | 0.92% |
2024年3月 | 147円/株 | 0.62% |
なお、株主優待は3月末の権利確定で100株以上保有の場合、株主お買物優待券(10%割引)がもらえます。保有株数によってもらえる枚数が異なり、100株以上を1年未満保有の場合は5枚、1年以上なら10枚、500株以上を1年以上保有すれば15枚となります。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは24.27倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは2.43倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBRも58.98で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高8957億円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +83.6% |
⑤配当 | 〇 | 利回り0.62%+優待あり |
⑥株価収益率 | × | 24.27倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 2.43倍 |
財務状況、株価収益率/純資産倍率の3項目で基準未達となり、
(株)ニトリホールディングスは割安株に該当しません!
という結果となりました。
利益率も高く、収益もしっかり増えているものの、流動負債がちょっと多い上、株価も既に高いですね。仕方ありません。
グローバルチェーンの確立により、世界のより多くのお客様に、品質が維持された商品をお求めになりやすい価格で提供すること、並びに住空間をトータルコーディネートする楽しさを提案する。
既存事業においては、今まで以上に魅力ある品揃え、品質、価格を実現し、客層の拡大と客数の増加を図り、利用頻度が高いホームセンター事業においては、品揃え、品質、価格に、より磨きをかけて、客数の増加を図る一方、ローコストオペレーションを一層推し進めることで利益の拡大に努めるとのこと。まだまだ成長が期待できそうですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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