こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)オリエンタルランド【4661】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったオリエンタルランドの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・オリエンタルランドは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)オリエンタルランド【4661】 の基本情報
・設立年月日 1960年7月11日
・上場年月日 1996年12月11日
・業種 サービス業
・特色 入園者数世界有数の東京ディズニーランド・シー運営。ホテル、商業施設含めたリゾートを展開。
・資本金 632億円
・従業員数 (単独)5,213人 (連結)8,945人
・株価 5,059円(2024.3.8)
・単元 100株
・決算 3月末日
千葉県浦安市に本社を置き、米国のウォルト・ディズニー・カンパニーとのライセンス契約により東京ディズニーリゾートを経営する京成グループの企業です。
元々は純粋な事業会社として各施設の運営を直接行っていましたが、現在は東京ディズニーランド、東京ディズニーシーの運営と同時にTDR関連事業およびその他の事業を行うグループ各社を統括する事業持株会社となっています。
米国ディズニー社とライセンス契約を結んでいるものの、資本提携は行っておらず、世界で唯一、ディズニーとの資本関係が一切ないディズニーリゾート事業運営会社なんだそう。
自由でみずみずしい発想を原動力に
すばらしい夢と感動
ひととしての喜び
そしてやすらぎを提供します。
2030年に目指す姿を「あなたと社会に、もっとハピネスを。」と定め、今後50年、100年先も「夢、感動、喜び、やすらぎ」を提供する企業であり続けることを目指されています。
ではここからは、(株)オリエンタルランドに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
サービス業535社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 8兆4687億円(2位) |
売上高 | 4831億2300万円(11位) |
純利益 | 807億3400万円(4位) |
純利益率 | 16.7%(10位) |
総資産 | 1兆3228億円(6位) |
サービス業の中で売上高は11位、総資産は6位。利益率もかなり高く、純利益率は16.7%の10位。世界有数の入場者数を誇るリゾートを運営する企業です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:3489億4100万円
流動負債:1612億4900万円
固定負債:2154億8000万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.16倍で基準達成、
②は、固定負債2154億円 > 純流動資産1876億円 で基準未達となり、
流動資産に対して固定負債の割合が高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2021年が赤字ですね。新型コロナウイルスの感染拡大で、運営する東京ディズニーランドと東京ディズニーシーを2020年2月29日から6月30日まで臨時休業した影響とのこと。というわけで基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 705億7100万円 |
2015年3月 | 720億6300万円 |
2016年3月 | 739億2800万円 |
2017年3月 | 823億7400万円 |
2018年3月 | 811億9100万円 |
2019年3月 | 902億8600万円 |
2020年3月 | 622億1700万円 |
2021年3月 | -541億9000万円 |
2022年3月 | 80億6700万円 |
2023年3月 | 807億3400万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = -83.7%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 42.27円 | |
2015年3月 | 43.14円 | 3年平均:43.2円 |
2016年3月 | 44.25円 | |
2017年3月 | 49.68円 | |
2018年3月 | 49.34円 | |
2019年3月 | 54.93円 | |
2020年3月 | 37.84円 | |
2021年3月 | -33.1円 | |
2022年3月 | 4.93円 | 3年平均:7.0円 |
2023年3月 | 49.29円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、利回りは低いですけどきっちり配当が出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 5円/株 | 1.53% |
2011年3月 | 5円/株 | 1.51% |
2012年3月 | 5円/株 | 1.13% |
2013年3月 | 6円/株 | 0.78% |
2014年3月 | 6円/株 | 0.76% |
2015年3月 | 7円/株 | 0.38% |
2016年3月 | 7円/株 | 0.44% |
2017年3月 | 7.5円/株 | 0.59% |
2018年3月 | 8円/株 | 0.37% |
2019年3月 | 8.4円/株 | 0.33% |
2020年3月 | 8.8円/株 | 0.32% |
2021年3月 | 5.2円/株 | 0.16% |
2022年3月 | 5.6円/株 | 0.12% |
2023年3月 | 8円/株 | 0.18% |
なお、株主優待は9月末と3月末の権利確定で500株以上保有なら所有株式数に応じて「東京ディズニーランド」または「東京ディズニーシー」いずれかで利用可能な1デーパスポートがもらえます。また、100株以上を3年以上継続保有すると毎年12月に追加で1枚もらえます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは78.86倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは8.93倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も704.22で基準未達です。これはちょっと高すぎますね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高4831億円 |
②財務状況 | △ | 固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2021年赤字 |
④収益成長性 | × | -83.7% |
⑤配当 | 〇 | 利回り0.18%+優待あり |
⑥株価収益率 | × | 78.86倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 8.93倍 |
財務状況と収益安定性/成長性、株価収益率/純資産倍率の5項目で基準未達となり、
(株)オリエンタルランドは割安株には該当しません!
という結果となりました。
事業規模と配当のみが基準クリアですが、他の項目は残念ながら基準未達。それでもさすがはディズニー、そりゃ人気ですよね。株価が上がりすぎてます。これでは割安株とはいえません。
核となる2つのテーマパーク(東京ディズニーランド、東京ディズニーシー)を中心としながら、ホテル事業・その他事業の拡充を通じて東京ディズニーリゾートの体験価値や利便性の向上、滞在化の促進を行い、東京ディズニーリゾート全体の目的地としての価値を高め、東京ベイエリアの中心的な役割を担うだけでなく、親しみある空間を提供する。
2024年6月には、東京ディズニーシーの新テーマポート「ファンタジースプリングス」がグランドオープンし、3つの新たなエリアとテーマパーク一体型ホテルが開業となる予定です。まだまだ進化が続きそうですし、今後の成長に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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