こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるDIC(株)【4631】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったDICの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・DICは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
DIC(株)【4631】 の基本情報
・設立年月日 1937年3月15日
・上場年月日 1950年5月
・業種 化学
・特色 インキ世界首位。樹脂、電子材料等へ展開。液晶材料に続き機能性顔料、高機能インキなど伸ばす。
・資本金 966億円
・従業員数 (単独)3,927人 (連結)22,819人
・株価 2,491円(2023.9.21)
・単元 100株
・決算 12月末日
印刷インキの製造と販売で創業。その基礎素材である有機顔料と合成樹脂をベースとして事業範囲を拡大し、素材から加工品、ソリューションに至る広範な事業・製品を展開しています。
パッケージング&グラフィック、カラー&ディスプレイ、ファンクショナルプロダクツの3つの事業部門を通じて、社会と顧客ニーズに対応した製品とサービスを提供しています。
投資に積極的で、インキで稼いだ利益をその他の高収益事業にしっかり投資されています。
絶えざるイノベーションにより豊かな価値を創造し、顧客と社会の持続可能な発展に貢献する
「先取」「誠実」「勤勉」「協働」「共生」の5つの行動指針のもと、「彩りと快適を提供し、人と地球の未来をより良いものに」という経営ビジョンの実現を目指されています。
ではここからは、DIC(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
化学215社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2357億9900万円(37位) |
売上高 | 1兆542億円(14位) |
営業利益 | 396億8200万円(19位) |
経常利益 | 399億4600万円(21位) |
純利益 | 176億1000万円(30位) |
営業利益率 | 3.8%(86位) |
純利益率 | 1.7%(84位) |
総資産 | 1兆3412億円(10位) |
負債 | 8860億3400万円(8位) |
化学の中で売上高は14位、総資産は10位。利益率は低く、純利益率は1.7%の84位。インキメーカーとして世界トップです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2022年12月期の決算短信によると、
流動資産:6599億6700万円
流動負債:3898億9200万円
固定負債:4506億5700万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.67倍で基準未達、
②は、固定負債4506億円 > 純流動資産2700億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年きっちり利益を上げられており、赤字はありません。というわけで基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年12月 | 267億7100万円 |
2014年12月 | 251億9400万円 |
2015年12月 | 373億9400万円 |
2016年12月 | 347億6700万円 |
2017年12月 | 386億300万円 |
2018年12月 | 320億2800万円 |
2019年12月 | 235億円 |
2020年12月 | 132億3300万円 |
2021年12月 | 43億6500万円 |
2022年12月 | 176億1000万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = -60.8%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2013年12月 | 292.26円 | |
2014年12月 | 267.81円 | 3年平均:316.5円 |
2015年12月 | 389.4円 | |
2016年12月 | 366.72円 | |
2017年12月 | 407.56円 | |
2018年12月 | 338.4円 | |
2019年12月 | 248.29円 | |
2020年12月 | 139.81円 | |
2021年12月 | 46.11円 | 3年平均:124.0円 |
2022年12月 | 186.05円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、きっちり配当が出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2009年3月 | 60円/株 | 4.17% |
2010年3月 | 40円/株 | 1.98% |
2011年3月 | 40円/株 | 2.07% |
2012年3月 | 40円/株 | 2.4% |
2012年12月 | 60円/株 | 3.77% |
2013年12月 | 60円/株 | 1.88% |
2014年12月 | 60円/株 | 2.06% |
2015年12月 | 80円/株 | 2.42% |
2016年12月 | 100円/株 | 2.82% |
2017年12月 | 120円/株 | 2.82% |
2018年12月 | 125円/株 | 3.71% |
2019年12月 | 100円/株 | 3.29% |
2020年12月 | 100円/株 | 3.84% |
2021年12月 | 100円/株 | 3.45% |
2022年12月 | 100円/株 | 4.3% |
なお、株主優待は6月末の権利確定で100株以上でオリジナルカレンダー1部が、さらに12月末の権利確定でDIC川村記念美術館の入館券付絵葉書2枚がもらえます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは58.94倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.56倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR は33.01で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆542億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | × | -60.8% |
⑤配当 | ◎ | 利回り4.3%+優待あり |
⑥株価収益率 | × | 58.94倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 0.56倍 PER×PBRがNG |
財務状況と収益成長性、株価収益率/純資産倍率の4項目で基準未達となり、
DIC(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
収益安定性や配当はしっかりなのですが、流動資産に対して負債が多いことと、成長性が物足りないですね。現状は利益に対して株価も高すぎます。
”DICが貢献する社会”を「グリーン」「デジタル」「Quality of Life(QOL)」とし、DICの強みを活かして貢献できる5つの重点事業領域を定め、経営資源を集中し、“社会の持続的繁栄に貢献する事業ポートフォリオを構築”と“地球環境と社会のサステナビリティ実現に貢献”を目指す。
「インキ製品に依存しない事業ポートフォリオの確立」と「カーボンニュートラル社会の実現」に向け、顔料事業の業績改善、高付加価値製品の拡販に努めるとともに、株主利益を包摂する社会的利益を追求し、長期的な企業価値の向上を目指されるとのこと。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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