こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)良品計画【7453】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った良品計画の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・良品計画は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)良品計画【7453】 の基本情報
・設立年月日 1989年6月30日
・上場年月日 1995年8月1日
・業種 小売業
・特色 「無印良品」で衣服、生活雑貨、食品を展開。半数超が中国ほか海外店舗。各店の個店経営を強化。
・従業員数 (単独)3,411人 (連結)13,230人
・株価 3,453円(2024.12.15)
・単元 100株
・決算 8月末日
無印良品やMUJIブランドの小売店舗・商品開発と製造・販売を展開する専門小売企業。かつては旧セゾングループの一員で、西友のプライベートブランド「SEIYU LINE」の商品群を源流としています。
衣料品、雑貨、食品、家具などを販売する「無印良品」および無印良品のオンラインストア運営のほか、家具・インテリア雑貨やキャンプ場の運営、住宅の施工販売、二次流通市場における事業、まちづくりに関する事業、金融・投資に関する事業、教育に関する事業などを手掛けられています。
無印良品の発売当初のキャッチコピーは「わけあって、安い。」ノーブランドであることをブランド化した素晴らしい成功例です。
「人と自然とモノの望ましい関係と心豊かな人間社会」を考えた商品、サービス、店舗、活動を通じて「感じ良い暮らしと社会」の実現に貢献する。
日常生活の基本商品群を誠実な品質と倫理的な視点から開発し、使うことで社会を良くする商品を、手に取りやすい価格で提供すること。また、店舗は各地域のコミュニティセンターとしての役割を持ち、地域の皆さまと課題や価値観を共有し、共に地域課題に取り組み、地域への良いインパクトを実現することを目指されています。
ではここからは、(株)良品計画に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
小売業100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 8126億9100万円(12位) |
売上高 | 6616億7700万円(24位) |
純利益 | 415億6600万円(10位) |
純利益率 | 6.3%(12位) |
総資産 | 5095億5100万円(21位) |
小売業の中で売上高は12位で、総資産は21位。利益率も高く、純利益率は6.3%の12位。今や日常生活に欠かせない日本の小売業を代表する企業の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2024年8月期の決算短信によると、
流動資産:3354億4700万円
流動負債:1210億2400万円
固定負債:915億2100万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.77倍で基準達成、
②は、固定負債915億円 > 純流動資産2144億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も低く、基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2020年に赤字がありますね。新型コロナウイルスの影響で店舗の休業が続いた影響とのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2016年2月 | 217億1800万円 |
2017年2月 | 258億3100万円 |
2018年2月 | 301億1300万円 |
2019年2月 | 338億4500万円 |
2020年2月 | 232億5300万円 |
2020年8月 | -169億1700万円 |
2021年8月 | 339億300万円 |
2022年8月 | 245億5800万円 |
2023年8月 | 220億5200万円 |
2024年8月 | 415億6600万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +13.5%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2016年2月 | 81.84円 | |
2017年2月 | 97.5円 | 3年平均:98.0円 |
2018年2月 | 114.7円 | |
2019年2月 | 128.92円 | |
2020年2月 | 88.47円 | |
2020年8月 | -64.32円 | |
2021年8月 | 128.9円 | |
2022年8月 | 93.24円 | |
2023年8月 | 83.51円 | 3年平均:111.3円 |
2024年8月 | 157.1円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ており問題ありません。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年2月 | 11円/株 | 2.96% |
2011年2月 | 11円/株 | 2.83% |
2012年2月 | 11円/株 | 2.84% |
2013年2月 | 11円/株 | 1.81% |
2014年2月 | 15.5円/株 | 1.68% |
2015年2月 | 19円/株 | 1.22% |
2016年2月 | 24.6円/株 | 1.07% |
2017年2月 | 29.3円/株 | 1.23% |
2018年2月 | 34.5円/株 | 0.94% |
2019年2月 | 38.7円/株 | 1.46% |
2020年2月 | 36.4円/株 | 2.46% |
2020年8月 | 5円/株 | 0.3% |
2021年8月 | 40円/株 | 1.7% |
2022年8月 | 40円/株 | 3.08% |
2023年8月 | 40円/株 | 2.13% |
2024年8月 | 40円/株 | 1.46% |
なお、株主優待は、2月末または8月末の権利確定で100株以上保有していると、買い物の際に7%割引が適用される優待カードがもらえます。普段、無印でよく買い物される方にとっては魅力的な優待ですね。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは24.05倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは3.12倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も75.04で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高6616億円 |
②財務状況 | 〇 | 問題なし |
③収益安定性 | △ | 2020年赤字 |
④収益成長性 | △ | +13.5% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.46%+優待あり |
⑥株価収益率 | × | 24.05倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 3.12倍 |
収益安定性/成長性、株価収益率/純資産倍率の4項目で基準未達となり、
(株)良品計画は割安株に該当しません!
という結果となりました。
負債は少なく、配当もきっちり出ていますが、安定性と成長性が物足りず、株価も上がりすぎてますね。仕方ありません。
「社会や人の役に立つ」という根本方針のもと、社員および事業関係者一人ひとりが、社会全体や地球でいま起きている課題に敏感に呼応し、提供するすべての商品、サービス、活動の全ライフサイクルにわたり、地球環境負荷低減や個人尊重に努めていく。
商品力の強化および収益面では課題が残る一方、国内外での出店拡大、組織面の強化、店舗の人材育成と事業基盤の構築は順調に進んでおり、中央集権型・管理統制型の組織から、自律分散型の組織づくりに注力していくとともに、多彩な価値観を取り入れ、組織風土を活性化させていくとのこと。まだまだ成長が期待できそうですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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