
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである日本水産(株)【1332】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った日本水産(株)【1332】の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・日本水産(株)【1332】は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


日本水産(株)【1332】の基本情報
・設立年月日 1943年3月31日
・上場年月日 1949年5月
・業種 水産・農林業
・特色 水産大手。冷食など食品比重大。国内・南米で養殖。EPAなど化成品でも実力。傘下に日水製薬。
・資本金 30,685百万円
・従業員数 (単独)1,247人 (連結)9,431人
・株価 535円(2022.5.24)
・単元 100株
・決算 3月末日


主な事業は、水産事業、食品事業、ファインケミカル事業、物流事業、海洋関連・エンジニアリング事業。国内外で幅広く事業展開されています。特に水産事業では、漁業・養殖生産から加工、販売まで、水産物のグローバルサプライチェーンを構築、水産資源の新しい価値を創出されています。
ニッスイのミッションは、
私たちを突き動かすもの。
それは「人々により良い食をお届けしたい」という志。
海で培ったモノづくりの心と未知を切り拓く力で、
健やかな生活とサステナブルな未来を実現する
新しい”食”を創造していきます。
とのこと。個人的にはコーンクリームコロッケやちくわの磯部揚げといったお弁当用の冷凍食品やおさかなソーセージ、さば缶なんかでいつもお世話になっており、日常生活でよく目にする企業ですね。
ではここからは、日本水産(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
水産・農林業12社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1698億3700万円(1位) |
売上高 | 6936億8200万円(2位) |
営業利益 | 270億7600万円(1位) |
経常利益 | 323億7200万円(1位) |
純利益 | 172億7500万円(1位) |
営業利益率 | 3.9%(4位) |
経常利益率 | 4.67%(5位) |
当期利益率 | 2.49%(6位) |
株主資本 | 2085億9800万円(1位) |
総負債 | 2971億3300万円(2位) |
総資産 | 5057億3100万円(2位) |
時価総額、営業利益、経常利益、純利益、株主資本で業界1位。その他項目についても上位であり、事業規模は文句なしのレベルです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信では、日本水産(株)の流動資産は265,090百万円、流動負債は177,828百万円、固定負債は119,304百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.49倍なので基準未達、
②は、固定負債119,304百万円 > 純流動資産87,262百万円 なので基準未達となり、
よって、残念ながら①②とも基準未達となります。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
日本水産の業績を確認すると、2013年3月決算で純利益が赤字であり、残念ながら基準未達です。
2010年に傘下に入れたブラジルの水産物加工会社の撤退に伴い、80億円の事業整理損が発生したのが要因なんだそうです。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | -45億7500万円 |
2014年3月 | 39億9800万円 |
2015年3月 | 105億5800万円 |
2016年3月 | 123億700万円 |
2017年3月 | 142億1600万円 |
2018年3月 | 172億3400万円 |
2019年3月 | 153億7900万円 |
2020年3月 | 147億6800万円 |
2021年3月 | 143億9100万円 |
2022年3月 | 172億7500万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
日本水産のIR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が12.06円、直近の3年平均が49.74円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 312%であり、基準達成となります。
年度 | EPS | |
2013年3月 | -16.5円 | |
2014年3月 | 14.47円 | 最初の3年平均:12.06円 |
2015年3月 | 38.22円 | |
2016年3月 | 44.55円 | |
2017年3月 | 48.02円 | |
2018年3月 | 55.33円 | |
2019年3月 | 49.41円 | |
2020年3月 | 47.46円 | |
2021年3月 | 46.25円 | 直近の3年平均:49.74円 |
2022年3月 | 55.51円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
日本水産のIR情報を確認すると、2013年と2014年が無配であり、基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 10円/株 | 3.69% |
2011年3月 | 10円/株 | 4.33% |
2012年3月 | 10円/株 | 3.55% |
2013年3月 | 0円/株 | 0% |
2014年3月 | 0円/株 | 0% |
2015年3月 | 3円/株 | 0.82% |
2016年3月 | 5円/株 | 0.91% |
2017年3月 | 6円/株 | 1.08% |
2018年3月 | 8円/株 | 1.45% |
2019年3月 | 8円/株 | 0.95% |
2020年3月 | 8.5円/株 | 1.78% |
2021年3月 | 9.5円/株 | 1.79% |
2022年3月 | 14円/株 | 2.55% |
なお、株主優待は3月末の権利確定で500株以上で3000円相当、1000株以上で5000円相当の自社製品詰め合わせ(缶詰など)がもらえますので、実質1%ちょっとの優待利回りがあることになります。


⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは9.01倍、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.85倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も 7.66 で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高6936億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2013年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +312% |
⑤配当 | × | 2013年2014年無配 利回り2.55%+優待あり |
⑥株価収益率 | ◎ | 9.01倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.85倍 |
財務状況、収益安定性、配当の3項目において基準未達となり、残念ながら「日本水産(株)は割安株には該当しない」という結果となりました。
世界的な水産物需要の増加を見越し、権益獲得のため欧米などでM&Aを実施、事業規模を拡大してきたそうですが、狙った通りに収益が得られていないようで、ブラジルなどからの事業撤退に伴う損失が発生したのが大きなマイナスとなっています。
直近10年間に関しては、純利益は増加傾向であり、この状態が維持できれば今後も配当も安定して支払われると思われますので、あとは財務状況の改善に期待したいところです。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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