こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである日本ハム(株)【2282】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った日本ハムの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・日本ハムは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
日本ハム(株)【2282】 の基本情報
・設立年月日 1949年5月30日
・上場年月日 1961年10月
・業種 食料品
・特色 食肉国内首位。ハム・ソーセージも強い。生産から加工、販売まで一貫。海外や新規事業育成中。
・従業員数 (単独)1,256人 (連結)15,429人
・株価 5,441円(2024.9.29)
・単元 100株
・決算 3月末日
ハム・ソーセージの製造から始まったニッポンハムグループの事業。現在では、多くの調理加工品や水産品、乳製品、健康食品などバラエティ豊かな食材や商品に関する事業を展開されています。
主力は食肉事業、グループ売上の50%以上を占めています。最大のヒット商品はシャウエッセンで、ソーセージのトップブランドとして現在でも重要な基幹商品となっています。
あとはなんといっても日本ハムファイターズですね。
1.わが社は、「食べる喜び」を基本のテーマとし、時代を画する文化を創造し、社会に貢献する。
2.わが社は、従業員が真の幸せと生き甲斐を求める場として存在する。
2021年からは企業理念を追求する上でのマイルストーンとしてVision2030「たんぱく質を、もっと自由に」を策定し、中期経営計画をスタートされています。
ではここからは、日本ハム(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
食料品100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 5587億1800万円(13位) |
売上高 | 1兆3034億円(6位) |
純利益 | 280億7800万円(14位) |
純利益率 | 2.2%(73位) |
総資産 | 9985億6500万円(7位) |
食料品の中で売上高は6位、総資産は7位。利益率は低めで、純利益率は2.2%の73位。食肉系では圧倒的なトップ企業です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2024年3月期の決算短信によると、
流動資産:4234億3000万円
流動負債:2468億3200万円
固定負債:1722億300万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.72倍で基準未達、
②も、固定負債1722億円 > 純流動資産43億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、残念ながら基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
日本ハムの業績を確認すると、やはり食品事業の大手、すごく安定しています。毎年きっちり利益を出されており赤字などなく、基準達成です。
年度 | 純利益 |
2015年3月 | 310億4800万円 |
2016年3月 | 217億7900万円 |
2017年3月 | 350億400万円 |
2018年3月 | 375億5200万円 |
2019年3月 | 195億6100万円 |
2020年3月 | 192億1400万円 |
2021年3月 | 326億1600万円 |
2022年3月 | 480億4900万円 |
2023年3月 | 166億3700万円 |
2024年3月 | 280億7800万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 5.1%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | 304.86円 | |
2016年3月 | 213.83円 | 3年平均:287.4円 |
2017年3月 | 343.47円 | |
2018年3月 | 352.26円 | |
2019年3月 | 183.21円 | |
2020年3月 | 186.7円 | |
2021年3月 | 317.97円 | |
2022年3月 | 469.91円 | |
2023年3月 | 162.44円 | 3年平均:302.0円 |
2023年3月 | 273.7円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
日本ハムのIR情報を確認すると、 毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 32円/株 | 1.35% |
2011年3月 | 32円/株 | 1.53% |
2012年3月 | 36円/株 | 1.71% |
2013年3月 | 48円/株 | 1.55% |
2014年3月 | 74円/株 | 2.41% |
2015年3月 | 92円/株 | 1.66% |
2016年3月 | 66円/株 | 1.33% |
2017年3月 | 104円/株 | 1.74% |
2018年3月 | 106円/株 | 2.43% |
2019年3月 | 90円/株 | 2.26% |
2020年3月 | 90円/株 | 2.39% |
2021年3月 | 94円/株 | 1.98% |
2022年3月 | 102円/株 | 2.46% |
2023年3月 | 110円/株 | 2.87% |
2024年3月 | 119円/株 | 2.34% |
なお、株主優待は3月末の権利確定で100株以上で3000円相当、500株以上なら5000円相当の優待品(グループ商品のカタログギフトもしくは寄附)がもらえます。さらに500株以上を3年以上保有するとは9月末の権利確定で7500円相当(3年以上)、10000円相当(5年以上)の優待品が追加でもらえます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは20.69倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.04倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も21.52で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1.3兆円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | △ | +5.1% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.34%+優待あり |
⑥株価収益率 | △ | 20.69倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.04倍 |
財務状況と収益成長性、株価収益率の3項目で基準未達となり、
日本ハム(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
さすが食品業ということで、赤字もなく、安定感はあるのですが、流動資産に対し負債が多く、成長性も物足りませんね。仕方ありません。
これまでの提供価値である「安全・安心」「おいしさ」に加え、常識にとらわれない「自由」な発想で「たんぱく質」の可能性を広げることで、社会環境や人々のライフスタイルの変化に対応する多様な食シーンを創出し、毎日の幸せな食生活を支え続ける。
世界的な人口増や気候変動などに伴って、たんぱく質の供給難が予測される中、たんぱく質の安定調達と供給を目指し、品質に対する安全・安心への取組みに加え、多様なたんぱく質への取組みを推進されるとのこと。今後に期待ですね。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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