
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるエムスリー(株)【2413】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿ったエムスリー(株)【2413】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・エムスリー(株)【2413】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


エムスリー(株)【2413】 の基本情報
・設立年月日 2000年9月29日
・上場年月日 2004年9月16日
・業種 サービス業
・特色 ソニーグループ関連会社。医療従事者向け情報サイトで製薬会社の情報提供支援。治験等周辺分野開拓。
・資本金 290億円
・従業員数 (単独)554人 (連結)8,249人
・株価 3,908円(2022.6.11)
・単元 100株
・決算 3月末日


事業内容はインターネットを利用した医療関連サービスの提供。国内臨床医の9割超にあたる30万人以上の会員規模を誇る医療情報サイト『m3.com』。この独自プラットフォームを主軸に、「医療IT」ビジネスを展開しています。
会員の3割以上が毎日アクセスするなど、すでに医療現場ではインフラとも言える存在となっており、この圧倒的な医師ネットワークを軸に、「製薬会社のマーケティング支援」「治験支援」「医療従事者向け人材サービス」など、あらゆる領域で新規ビジネスを創出。40を超える事業を世界で展開されています。
ではここからは、エムスリー(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
サービス業568社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2兆9847億円(4位) |
売上高 | 2081億5900万円(17位) |
営業利益 | 951億4100万円(5位) |
経常利益 | 961億8700万円(6位) |
純利益 | 638億4500万円(5位) |
営業利益率 | 45.71%(3位) |
経常利益率 | 46.21%(4位) |
当期利益率 | 30.67%(9位) |
株主資本 | 2639億5400万円(9位) |
総負債 | 820億2700万円(31位) |
総資産 | 3459億8100万円(15位) |
サービス業の中で売上高は第17位。総資産は第15位でサービス業としてはかなりの規模であり、特筆すべきはその利益率。営業利益率は45.71%とこの企業規模でサービス業3位という驚異の数字となっています。事業規模は文句なしのレベルです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信では、 エムスリーの流動資産は198,874百万円、流動負債は57,216百万円、固定負債は24,811百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 3.48倍で基準達成、
②は、固定負債24,811百万円 < 純流動資産141,658百万円 で基準達成となり、
よって、財務状況は極めて健全であり、基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
エムスリーの業績を確認すると、全く赤字がないだけでなく、きれいな右肩上がりで毎年最高益を更新されています。文句なしの基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 55億9900万円 |
2014年3月 | 84億1500万円 |
2015年3月 | 97億5900万円 |
2016年3月 | 125億800万円 |
2017年3月 | 160億400万円 |
2018年3月 | 181億2700万円 |
2019年3月 | 195億7700万円 |
2020年3月 | 216億3500万円 |
2021年3月 | 378億2200万円 |
2022年3月 | 638億4500万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
エムスリーのIR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が12.4円、直近の3年平均が60.6円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 389.7%であり、基準達成となります。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 8.81円 | |
2014年3月 | 13.2円 | 最初の3年平均:12.4円 |
2015年3月 | 15.09円 | |
2016年3月 | 19.33円 | |
2017年3月 | 24.72円 | |
2018年3月 | 27.99円 | |
2019年3月 | 30.22円 | |
2020年3月 | 31.89円 | |
2021年3月 | 55.73円 | 直近の3年平均:60.6円 |
2022年3月 | 94.06円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
エムスリーのIR情報を確認すると、 毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。 ただ株価が高いため、近年の配当利回りがかなり寂しいですね。配当性向も2022年3月は17%と、他社と比べると見劣りします。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 1.5円/株 | 1.13% |
2011年3月 | 2.08円/株 | 0.99% |
2012年3月 | 2.08円/株 | 0.83% |
2013年3月 | 3円/株 | 0.66% |
2014年3月 | 3.25円/株 | 0.38% |
2015年3月 | 4円/株 | 0.31% |
2016年3月 | 4.5円/株 | 0.32% |
2017年3月 | 5円/株 | 0.36% |
2018年3月 | 5.5円/株 | 0.23% |
2019年3月 | 7円/株 | 0.38% |
2020年3月 | 8.5円/株 | 0.27% |
2021年3月 | 12円/株 | 0.16% |
2022年3月 | 16円/株 | 0.36% |
なお、株主優待は実施していません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは41.55倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは10.29倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も427.55で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高2081億円 |
②財務状況 | ◎ | 問題なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +387.5% |
⑤配当 | 〇 | 利回り0.36% |
⑥株価収益率 | × | 41.55倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 10.29倍 |
株価収益率と株価純資産倍率の2項目が未達成となり、残念ながら「 エムスリー(株)は割安株には該当しない」という結果となりました。財務状況や収益安定性、成長性がこれだけ優秀ならそりゃ誰も放っておかないですよね。株価が既に上がりすぎです。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。






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