こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)三越伊勢丹ホールディングス【3099】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った三越伊勢丹ホールディングスの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・三越伊勢丹ホールディングスは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)三越伊勢丹ホールディングス【3099】 の基本情報
・設立年月日 2008年4月1日
・上場年月日 2008年4月1日
・業種 小売業
・特色 百貨店首位。2008年4月の経営統合で誕生。旗艦店の新宿伊勢丹、日本橋三越は全国屈指の売上高。
・資本金 510億円
・従業員数 (単独)399人 (連結)9,745人
・株価 1,779円(2023.8.11)
・単元 100株
・決算 3月末日
お客さまの暮らしを豊かにする、“特別な”百貨店を中核とした小売グループを目指し、百貨店業を中心にクレジット・金融・友の会業、不動産業、その他の事業セグメントで構成されています。
百貨店業は、三越伊勢丹グループ売上高の約8割を占めるコア事業として、 三越・伊勢丹・岩田屋・丸井今井の4つの暖簾を持ち、三越伊勢丹をはじめとした国内・海外25社の百貨店企業で構成されています。国内百貨店は北海道から九州まで20店舗、海外店は中国・東南アジアを中心に28店舗を展開しています。
エムアイカードは高感度で購買力のある約280万人の会員で構成されており、この優良な顧客基盤が強みでもありますね。
お客さまの暮らしを豊かにする、”特別な”百貨店を中核とした小売りグループ
~日本の誇り、世界への発信力を持ち、高感度上質消費において最も支持される~
新しさに惹かれ、美しいものに感動し、それを伝えたいと思う
人が好きで、あふれる笑顔を響かせ、まわりを明るくする
魅力あふれる個性で、斬新なアイデアを生かし、共創をもって形にする
などなど、大切にする思考と行動指針をVALUESとして定め、挑戦と努力を続けられています。
ではここからは、(株)三越伊勢丹ホールディングスに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
小売業100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 6794億4800万円(12位) |
売上高 | 4874億700万円(28位) |
営業利益 | 296億600万円(24位) |
経常利益 | 300億1700万円(24位) |
純利益 | 323億7700万円(8位) |
営業利益率 | 6.1%(21位) |
純利益率 | 6.6%(8位) |
総資産 | 1兆2113億円(7位) |
負債 | 6511億3400万円(10位) |
小売業の中で売上高は28位、総資産は7位。利益率も高く、純利益率は6.6%で8位。日本の百貨店業のトップです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:2877億3500万円
流動負債:4037億900万円
固定負債:2610億7900万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.71倍で基準未達、
②も、固定負債2610億円 > 純流動資産-1159億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
三越伊勢丹ホールディングスの業績を確認すると、ここ10年で2018年3月、2020年3月、2021年3月の3年赤字があり、残念ながら基準未達です。特に2021年3月はコロナ禍の緊急事態宣言に伴い、施設の休業や時短営業の影響によって大幅な減収減益となっています。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 211億6600万円 |
2015年3月 | 298億8600万円 |
2016年3月 | 265億600万円 |
2017年3月 | 149億7600万円 |
2018年3月 | -9億6000万円 |
2019年3月 | 134億8000万円 |
2020年3月 | -111億8700万円 |
2021年3月 | -410億7800万円 |
2022年3月 | 123億3800万円 |
2023年3月 | 323億7700万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = -95.3%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 53.65円 | |
2015年3月 | 75.74円 | 3年平均:65.6円 |
2016年3月 | 67.41円 | |
2017年3月 | 38.27円 | |
2018年3月 | -2.46円 | |
2019年3月 | 34.58円 | |
2020年3月 | -28.89円 | |
2021年3月 | -107.96円 | |
2022年3月 | 32.36円 | 3年平均:3.1円 |
2023年3月 | 84.82円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
三越伊勢丹ホールディングスのIR情報を確認すると、 毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 10円/株 | 1% |
2011年3月 | 7円/株 | 0.93% |
2012年3月 | 10円/株 | 1.03% |
2013年3月 | 10円/株 | 0.74% |
2014年3月 | 11円/株 | 0.86% |
2015年3月 | 11円/株 | 0.55% |
2016年3月 | 12円/株 | 0.91% |
2017年3月 | 12円/株 | 0.98% |
2018年3月 | 12円/株 | 1.02% |
2019年3月 | 12円/株 | 1.07% |
2020年3月 | 12円/株 | 1.9% |
2021年3月 | 9円/株 | 1.16% |
2022年3月 | 10円/株 | 1.03% |
2023年3月 | 14円/株 | 0.94% |
なお、株主優待は3月末の権利確定で三越伊勢丹グループの店舗等で使える優待買物割引カード(10%割引)がもらえます。限度額は100株以上で30万円まで、300株以上で40万円まで、500株以上で50万円まで、1000株以上で100万円まで、3000株以上で150万円まで、5000株以上で200万円まで、10000株以上で300万円。さらに300株以上保有で保有期間が3年以上だと限度額が2倍になります。また、新たに100株以上を保有した新規株主は、9月末の権利確定で上記限度額の1/2まで使える10%割引カードがもらえます。
伊勢丹で頻繁に買い物をされる方にはメリットが大きい優待ですね。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは22.65倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.23倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も27.86で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高4874億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2018年,2020年,2021年赤字 |
④収益成長性 | × | -95.3% |
⑤配当 | 〇 | 利回り0.94%+優待あり |
⑥株価収益率 | × | 22.65倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 1.23倍 PER×PBRがNG |
財務状況と収益安定性/成長性、株価収益率/純資産倍率の5項目で基準未達となり、
(株)三越伊勢丹ホールディングスは割安株には該当しません!
という結果となりました。
配当はきっちり出ているものの、その他項目がなかなか厳しい結果。J.フロント リテイリングと同様、特にコロナ禍による業績悪化のダメージが大きいですね。
「再生」「展開(まち化準備)」「結実」の3つのフェーズで長期スパンでの持続的な成長を描き、長期に目指す「結実」フェーズを見据えて、各フェーズの重点戦略に取り組む。
伊勢丹と三越の両本店を「憧れと共感の象徴」へと進化させ、高感度上質消費の席巻を図るべく、伊勢丹新宿本店では「ファッション」、日本橋三越本店は「伝統・文化・芸術・暮らし」にこだわった品揃えの強化やサービス拡充、それらを実現するための店舗のリモデル等を進め、両本店の持つ魅力にさらに磨きをかけていくそう。今後に期待ですね。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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