こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである信越化学工業(株)【4063】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った信越化学工業の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・信越化学工業は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
信越化学工業(株)【4063】 の基本情報
・設立年月日 1926年9月16日
・上場年月日 1949年5月
・業種 化学
・特色 塩化ビニル樹脂、半導体シリコンウエハで世界首位。ケイ素樹脂、フォトレジスト等も。好財務。
・資本金 1,194億円
・従業員数 (単独)3,481人 (連結)25,717人
・株価 4,618円(2023.9.9)
・単元 100株
・決算 3月末日
生活環境基盤材料、電子材料、機能材料、加工・商事・技術サービスの4つの事業分野を中心に、産業や生活の基礎になる素材、製品を作っている化学メーカー。1960年代に他社に先駆けて海外に進出、今日では売上の7割超を海外が占める世界最大の塩ビメーカーです。
塩化ビニル樹脂、半導体シリコンをはじめ、世界でトップシェアを誇る製品を数多く保有しています。上下水道のインフラ、住宅、農業、生活用品など生活を支えるのに欠かせない「塩ビ」の最大手として、世界の需要に応えています。
また電子材料事業では、半導体の基幹材料である「シリコンウエハー」をはじめ、半導体の製造工程に欠かせない「フォトレジスト」などを提供しており、売上額、利益の大半を生活環境基盤材料と電子材料の2分野で稼ぎ出しています。
電気・電子、自動車、建築、化粧品、ヘルスケア、食品などの幅広い産業で使われる「シリコーン」でも有名ですね。
遵法に徹して公正に企業活動を行い、素材と技術によって他の追随できない価値を社会と産業のために生み出す。
多面的に世界一を目指し、高収益を実現することを経営目標に掲げ、そのために販売先行と素早い投資で顧客とともに成長を目指す「強い営業」、顧客と社会のニーズに真摯に耳を傾けて新製品や新サービスを創造する「強い研究開発」、そして安全を最優先に品質の高い製品を安定的に送り出す「強い製造」が一体となって成長の基盤を強化し、企業価値の最大化に取り組んでいます。
ではここからは、信越化学工業(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
化学100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 9兆3211億円(1位) |
売上高 | 2兆8088億円(4位) |
営業利益 | 9982億200万円(1位) |
経常利益 | 1兆202億円(1位) |
純利益 | 7082億3800万円(1位) |
営業利益率 | 35.5%(1位) |
純利益率 | 25.2%(1位) |
総資産 | 4兆7575億円(2位) |
負債 | 6555億3100万円(10位) |
化学の中で売上高は4位、総資産は2位。利益率は驚異の高さで、純利益率は25.2%の1位。国内大手化学メーカーを代表する一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:2兆8635億円
流動負債:5078億1000万円
固定負債:1963億7500万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 5.64倍で基準達成、
②は、固定負債1963億円 < 純流動資産2兆3556億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も低いです。
財務状況は極めて健全ですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
信越化学の業績を確認すると、見事な右肩上がり!赤字などあるわけなく安定してますね。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 1136億1700万円 |
2015年3月 | 1286億600万円 |
2016年3月 | 1488億4000万円 |
2017年3月 | 1759億1200万円 |
2018年3月 | 2662億3500万円 |
2019年3月 | 3091億2500万円 |
2020年3月 | 3140億2700万円 |
2021年3月 | 2937億3200万円 |
2022年3月 | 5001億1700万円 |
2023年3月 | 7082億3800万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 297.3%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 53.44円 | |
2015年3月 | 60.41円 | 3年平均:61.3円 |
2016年3月 | 69.89円 | |
2017年3月 | 82.57円 | |
2018年3月 | 124.85円 | |
2019年3月 | 145.2円 | |
2020年3月 | 151.03円 | |
2021年3月 | 141.35円 | |
2022年3月 | 240.76円 | 3年平均:243.3円 |
2023年3月 | 347.84円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲で信越化学のIR情報を確認すると、きっちり配当が出てますね。基準達成です。じわじわ増配している点も好感が持てますね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 20円/株 | 1.84% |
2011年3月 | 20円/株 | 2.42% |
2012年3月 | 20円/株 | 2.09% |
2013年3月 | 20円/株 | 1.6% |
2014年3月 | 20円/株 | 1.7% |
2015年3月 | 20円/株 | 1.27% |
2016年3月 | 22円/株 | 1.89% |
2017年3月 | 24円/株 | 1.24% |
2018年3月 | 28円/株 | 1.27% |
2019年3月 | 40円/株 | 2.16% |
2020年3月 | 44円/株 | 2.05% |
2021年3月 | 50円/株 | 1.34% |
2022年3月 | 80円/株 | 2.13% |
2023年3月 | 100円/株 | 2.34% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは17.92倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは2.37倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も42.47で基準未達です。
これだけの優秀な業績ですから、既に株価が上がりすぎてますね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高2兆8088億円 |
②財務状況 | ◎ | 文句なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +297.3% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.34% |
⑥株価収益率 | △ | 17.92倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 2.37倍 |
株価収益率と株価純資産倍率の2項目で基準未達となり、
信越化学工業(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
特に収益性の高さに伴って財務状況が素晴らしく、経営の健全性は際立っているものの、さすがにこれだけ優秀な企業だと既に株価が上がりすぎてますね。仕方ありません。
顧客や産業の課題解決に資する製品を数多く開発すると同時に、世界最高水準の技術や品質の追求とともに生産性の向上に絶え間なく努めながら、世界中の顧客に安定的に製品供給を行う。
目指すところは、素材と技術によって他の追随できない価値を社会と産業のために生み出し、株主の期待に応えること。絶えず変化し続けている世界市場の中に確固とした地歩を築き、継続的な成長と発展を図るとのこと。さらなる成長が期待できそうですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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