
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである協和キリン(株)【4151】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った協和キリン(株)【4151】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・協和キリン(株)【4151】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


協和キリン(株)【4151】 の基本情報
・設立年月日 1949年7月1日
・上場年月日 1949年8月
・業種 医薬品
・特色 キリン傘下。医薬品、バイオが主力。独自の抗体高活性化技術に強み。富士フイルムと提携。
・資本金 267億円
・従業員数 (単独)3,873人 (連結)5,796人
・株価 3,175円(2022.7.12)
・単元 100株
・決算 12月末日


協和キリンは、協和発酵工業とキリンファーマが培ってきた経験と実績を受け継いで生まれた製薬会社です。
1937年に寳酒造・合同酒精・大日本酒類醸造の共同出資によって設立された「協和化学研究所」を淵源とし、当時は軍事用としてアセトン・ブタノールやイソオクタンの必要性が高まっており、アルコール発酵の応用でアセトン・ブタノールやイソオクタンの微生物発酵による合成を研究することが主目的であったそうです。
2000年以降は事業再編を精力的に行ってきており、アサヒビールやニッカウヰスキー、キリンフードテックと合弁、統合、分社化などを経て、2007年にキリングループと戦略的提携をした上で協和発酵工業とキリンファーマが合併して協和発酵キリン株式会社が誕生、さらに2019年に商号変更して協和キリン株式会社になったそうです。
医療用医薬品が連結売上高の約75%(2012年)を占め、現在は医薬品メーカーとなっています。また連結売上高の約23%(2012年)を占めるバイオケミカル事業では、各種のアミノ酸の発酵生産において味の素社と双璧であり、うまみ調味料として用いられるグルタミン酸ナトリウムにおいては味の素社に先んじて世界で初めてその発酵技術を確立した実績があります。
「ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献する」ことを企業理念とし、“Commitment to Life “をキーワードとして、イノベーションへの情熱と多様な個性が輝くチームの力で、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして病気と向き合う人々に笑顔をもたらすLife-changingな価値の継続的な創出を実現することを目指されています。
ではここからは、信越化学工業(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
医薬品71社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆6819億円(9位) |
売上高 | 3522億4600万円(9位) |
営業利益 | -(-位) |
経常利益 | 600億5000万円(9位) |
純利益 | 523億4700万円(9位) |
営業利益率 | -(-位) |
純利益率 | 14.9%(13位) |
総資産 | 9078億1600万円(9位) |
負債 | 1633億6300万円(10位) |
医薬品の中で売上高は第9位。総資産も第9位。利益率もまずまずで純利益率は14.9%で業界13位。大手医薬品メーカーの一社であり、事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年12月期の決算短信では、協和キリンの流動資産は498,376百万円、流動負債は90,467百万円、固定負債は72,896百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 5.51倍で基準達成、
②は、固定負債72,896百万円 < 純流動資産407,909百万円 で基準達成となり、
よって、圧倒的な流動資産に対して、流動/固定負債はごくわずかであり、財務状況はしっかり健全ですね。基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
協和キリンの業績を確認すると、赤字もなくしっかり利益が出てますね。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2012年12月 | 241億9900万円 |
2013年12月 | 300億7800万円 |
2014年12月 | 158億9800万円 |
2015年12月 | 297億7400万円 |
2016年12月 | 304億5000万円 |
2017年12月 | 428億9900万円 |
2018年12月 | 544億1400万円 |
2019年12月 | 670億8400万円 |
2020年12月 | 470億2700万円 |
2021年12月 | 523億4700万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
協和キリンのIR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が42.0円、直近の3年平均が103.2円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 145.7% となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2012年12月 | 41.98円 | |
2013年12月 | 54.95円 | 3年平均:42.0円 |
2014年12月 | 29.05円 | |
2015年12月 | 54.4円 | |
2016年12月 | 55.64円 | |
2017年12月 | 78.38円 | |
2018年12月 | 99.4円 | |
2019年12月 | 124.57円 | |
2020年12月 | 87.56円 | 3年平均:103.2円 |
2021年12月 | 97.43円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲で協和キリンのIR情報を確認すると、きっちり配当が出てますね。基準達成です。じわじわ増配している点も好感が持てますね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2009年12月 | 15円/株 | 1.52% |
2010年12月 | 20円/株 | 2.39% |
2011年12月 | 20円/株 | 2.12% |
2012年12月 | 20円/株 | 2.36% |
2013年12月 | 25円/株 | 2.16% |
2014年12月 | 25円/株 | 2.2% |
2015年12月 | 25円/株 | 1.31% |
2016年12月 | 25円/株 | 1.55% |
2017年12月 | 27円/株 | 1.24% |
2018年12月 | 35円/株 | 1.69% |
2019年12月 | 42円/株 | 1.63% |
2020年12月 | 44円/株 | 1.56% |
2021年12月 | 46円/株 | 1.47% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは32.19倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは2.29倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も73.72で基準未達です。
PER、PBRとも未達なので、これは株価が上がりすぎてますね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高3522億円 |
②財務状況 | ◎ | 問題なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +145.7% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.47% |
⑥株価収益率 | × | 32.19倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 2.29倍 |
株価収益率、株価純資産倍率が基準未達となり、「協和キリン(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。財務状況は素晴らしく、収益安定性や成長性なども良いものの、このPER/PBRの高さは困ったもの。既に株価が上がりすぎています。これではとても割安とは言えないですね。
というわけで現時点では、「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、コムシスホールディングス【1721】と積水ハウス【1928】、宝ホールディングス【2531】、SUMCO【3436】、東ソー【4042】の5社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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