
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるUBE(株)【4208】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿ったUBE(株)【4208】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・UBE(株)【4208】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


UBE(株)【4208】 の基本情報
・設立年月日 1942年3月10日
・上場年月日 1949年5月
・業種 化学
・特色 1897年に採炭で発祥し機械、セメント、化学へ多角化。建設資材は2022年度に持分会社へ移行。
・資本金 584億円
・従業員数 (単独)2,058人 (連結)9,849人
・株価 2,008円(2022.7.15)
・単元 100株
・決算 3月末日


UBEグループは「化学」「建設資材」「機械」の2事業を展開しています。 国内の工場は、宇部工場のほかに千葉、堺、伊佐(山口)、苅田(福岡)。海外ではスペイン、タイにカプロラクタムやナイロン樹脂、ファインケミカルなどの生産拠点を設け、グローバルな市場で活動しています。
読み方は「うべ」じゃなくて「ゆーびーいー」とのことです。
化学事業は、中核事業としてUBEグループの成長を牽引しています。
ナイロン原料カプロラクタム、多彩な工業薬品、食品包装フィルムや自動車部品の原料となるナイロン樹脂や汎用プラスチックのポリエチレン、そしてポリブタジエンゴム等の化成品は産業と生活の基盤を幅広く支えています。
機械カンパニーの中核を担うのは宇部興産機械(株)。世界の自動車メーカーに採用されているダイカストマシンと射出成形機は、加速しつつある次世代車への移行に伴い、ますます自動車の軽量化ニーズへの貢献が期待されています。
創業の精神である「共存同栄」「有限の鉱業から無限の工業へ」をベースに、「技術の探求と革新の心で、未来につながる価値を創出し、社会の発展に貢献します」という企業理念を掲げられてます。
ではここからは、UBE(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
化学215社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1963億2500万円(42位) |
売上高 | 6552億6500万円(20位) |
営業利益 | 440億3800万円(20位) |
経常利益 | 415億4900万円(24位) |
純利益 | 245億円(27位) |
営業利益率 | 6.7%(127位) |
純利益率 | 3.7%(147位) |
総資産 | 8379億5400万円(20位) |
負債 | 4439億1900万円(16位) |
化学の中で売上高は第20位。総資産も第20位。ただ利益率は低く、営業利益率は6.7%で業界127位、純利益率は3.7%で業界147位。大手化学メーカーの一社であり、事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信では、流動資産は394,689百万円、流動負債は249,174百万円、固定負債は194,745百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.58倍で基準未達、
②は、固定負債249,174百万円 > 純流動資産145,515百万円 で基準未達となり、
よって、流動資産に対して、流動/固定負債の割合が高いですね。基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を出されてますね。赤字もありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 82億6500万円 |
2014年3月 | 126億2300万円 |
2015年3月 | 146億4900万円 |
2016年3月 | 191億1100万円 |
2017年3月 | 241億8500万円 |
2018年3月 | 316億8000万円 |
2019年3月 | 324億9900万円 |
2020年3月 | 229億7600万円 |
2021年3月 | 229億3600万円 |
2022年3月 | 245億円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、 EPSの最初の3年平均が114.0円、直近の3年平均が234.5円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 105.7% となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 81.9円 | |
2014年3月 | 121.65円 | 3年平均:114.0円 |
2015年3月 | 138.48円 | |
2016年3月 | 180.63円 | |
2017年3月 | 228.5円 | |
2018年3月 | 301.65円 | |
2019年3月 | 312.36円 | |
2020年3月 | 227.33円 | |
2021年3月 | 226.79円 | 3年平均:234.5円 |
2022年3月 | 249.31円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、きっちり配当が出てますね。基準達成です。じわじわ増配していますし、配当利回りも向上している点も好感が持てますね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 40円/株 | 1.67% |
2011年3月 | 50円/株 | 1.89% |
2012年3月 | 50円/株 | 2.22% |
2013年3月 | 50円/株 | 2.7% |
2014年3月 | 50円/株 | 2.63% |
2015年3月 | 50円/株 | 2.66% |
2016年3月 | 50円/株 | 2.51% |
2017年3月 | 60円/株 | 2.39% |
2018年3月 | 75円/株 | 2.42% |
2019年3月 | 80円/株 | 3.52% |
2020年3月 | 90円/株 | 5.43% |
2021年3月 | 90円/株 | 3.82% |
2022年3月 | 95円/株 | 4.76% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは9.26倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.53倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も4.91で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高6552億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +105.7% |
⑤配当 | ◎ | 利回り4.76% |
⑥株価収益率 | ◎ | 9.26倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.53倍 |
財務状況のみ基準未達となり、「UBE(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。流動資産に対して負債が多いですね。
現在利益の多くを稼ぎ出している化学事業を成長を牽引する中核事業と位置づけ、海外での事業拡大を進めるとともに、脱炭素社会に対応・貢献する安定性と成長力を併せ持つ事業に変革していく必要がありますね。今後に期待したいです。
というわけで現時点では、「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、コムシスホールディングス【1721】と積水ハウス【1928】、宝ホールディングス【2531】、SUMCO【3436】、東ソー【4042】の5社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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