こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)野村総合研究所【4307】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った野村総研の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・野村総研は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)野村総合研究所【4307】 の基本情報
・設立年月日 1966年1月5日
・上場年月日 2001年12月17日
・業種 情報・通信業
・特色 野村証券系SI。コンサル、システム開発・運用の一貫体制。顧客は金融機関と流通業が中心。
・従業員数 (単独)7,206人 (連結)16,708人
・株価 4,576円(2024.12.8)
・単元 100株
・決算 3月末日
日本を代表する五大シンクタンク(野村総研、日本総研、三菱総研、三菱UFJリサーチ&コンサルティング、みずほリサーチ&テクノロジーズ)の一つ。野村証券から分離独立し分社化した2つの会社が源流であり、野村ホールディングスの持株法適用関連会社です。
日本初の本格的な民間総合シンクタンクである野村総合研究所とシステム開発会社である野村コンピュータシステムが合併して発足した会社で、リサーチ、コンサルティング、ITソリューション、システム運用等をトータルに提供する会社となっています。
民間企業・官公庁への戦略コンサルティング・ITコンサルティング並びに金融業・流通業を顧客とするシステム構築・運用を強みとしています。
Dream up the future. 未来創発
Dream upは、「大胆な考案」や「ひらめきに満ちた発明」などを意味し、「未来は分からない、見えないものなのだから、思い切って私たちで作ってしまおう」というNRIグループの未来に対する意気込みを示しています。
また、未来創発は、思いがけない新しいビジネスモデルを次々と生み出そうとするNRIの姿勢を表しています。
ではここからは、(株)野村総合研究所に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
情報・通信業100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2兆6228億円(7位) |
売上高 | 7365億5600万円(8位) |
純利益 | 796億4300万円(7位) |
純利益率 | 10.8%(26位) |
総資産 | 8929億8200万円(13位) |
情報・通信業の中で売上高は8位で、総資産は13位。利益率も高く、純利益率は10.8%の26位。日本を代表する五大シンクタンクの一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2024年3月期の決算短信によると、
流動資産:4051億7800万円
流動負債:2146億4200万円
固定負債:3051億900万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.89倍で基準未達、
②は、固定負債3051億円 > 純流動資産1905億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられており問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2015年3月 | 388億8000万円 |
2016年3月 | 426億4800万円 |
2017年3月 | 450億6400万円 |
2018年3月 | 551億4500万円 |
2019年3月 | 509億3100万円 |
2020年3月 | 581億9500万円 |
2021年3月 | 528億6700万円 |
2022年3月 | 714億4500万円 |
2023年3月 | 763億700万円 |
2024年3月 | 796億4300万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +105.2%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | 64.82円 | |
2016年3月 | 62.85円 | 3年平均:62.8円 |
2017年3月 | 60.59円 | |
2018年3月 | 76.07円 | |
2019年3月 | 72.11円 | |
2020年3月 | 91.86円 | |
2021年3月 | 88.34円 | |
2022年3月 | 120.57円 | |
2023年3月 | 128.92円 | 3年平均:128.8円 |
2024年3月 | 136.9円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ており問題ありません。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 17.33円/株 | 2.44% |
2011年3月 | 17.33円/株 | 2.83% |
2012年3月 | 17.33円/株 | 2.53% |
2013年3月 | 17.33円/株 | 2.15% |
2014年3月 | 18.67円/株 | 1.72% |
2015年3月 | 23.33円/株 | 1.55% |
2016年3月 | 26.67円/株 | 2.11% |
2017年3月 | 26.67円/株 | 1.95% |
2018年3月 | 30円/株 | 1.79% |
2019年3月 | 30円/株 | 1.79% |
2020年3月 | 32円/株 | 1.4% |
2021年3月 | 36円/株 | 1.05% |
2022年3月 | 40円/株 | 1% |
2023年3月 | 45円/株 | 1.47% |
2024年3月 | 53円/株 | 1.25% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは29.88倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは6.45倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も192.73で基準未達です。これはちょっと高すぎますね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高7365億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +105.2% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.25% |
⑥株価収益率 | × | 29.88倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 6.45倍 |
財務状況と株価収益率、株価純資産倍率の3項目で基準未達となり、
(株)野村総合研究所は割安株に該当しません!
という結果となりました。
業績は安定しており、成長性も十分なのですが、負債が多く、株価も上がりすぎてますね。仕方ありません。
コアビジネス領域、DX進化 、グローバル、マネジメントの4つの領域でそれぞれ成長戦略の柱を掲げ、顧客との価値共創を通じて、グループの持続的成長と持続可能な未来社会づくりを目指す。
今後更なる成長の実現に向け、ITソリューション及びコンサルティングサービス等の国内外既存事業(コアビジネス領域)における付加価値と生産性を高めることで競争優位を維持拡大しつつ、DX領域において顧客から信頼されるパートナーとしての地位を確立し、顧客との取引を大型化していくとのこと。まだまだ成長が期待できそうですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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