こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)メルカリ【4385】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったメルカリの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・メルカリは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)メルカリ【4385】 の基本情報
・設立年月日 2013年2月1日
・上場年月日 2018年6月19日
・業種 情報・通信
・特色 フリマアプリ国内首位。販売手数料が柱。スマホ決済「メルペイ」事業、米国フリマ事業強化中。
・資本金 460億円
・従業員数 (単独)1,232人 (連結)2,209人
・株価 3,216円(2023.10.15)
・単元 100株
・決算 6月末日
フリマアプリの「メルカリ」を企画・開発・運用しており、Jリーグクラブチーム鹿島アントラーズをグループに持っています。2013年に創業者である山田進太郎氏によって株式会社コウゾウとして設立され、同年中に株式会社メルカリに商号変更されました。
以前は地域コミュニティアプリ「アッテ」、本・CD・DVD専用のフリマアプリ「カウル」、ブランド品専門の「メルカリ メゾンズ」などのサービスも運営していましたが、現在はすべて終了しています。
私は使ったことないですけど、フリマアプリといえばやっぱり「メルカリ」ですよね。
あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる
カンパニーミッションには、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」を掲げ、誰もが簡単にモノの売り買いを楽しむことによって、人がモノを大切に使い、資源を循環させる豊かな循環型社会の実現を目指されています。
ではここからは、(株)メルカリに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
情報・通信業100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 5224億8900万円(24位) |
売上高 | 1720億6400万円(35位) |
営業利益 | 170億2300万円(39位) |
純利益 | 130億7000万円(37位) |
営業利益率 | 9.9%(52位) |
純利益率 | 7.6%(45位) |
総資産 | 4152億9200万円(22位) |
負債 | 3600億6300万円(11位) |
情報・通信業の中で売上高は35位、総資産は22位。利益率は中位で、純利益率は7.6%の45位。フリマアプリ国内首位です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年6月期の決算短信によると、
流動資産:3406億4400万円
流動負債:2736億800万円
固定負債:864億5400万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.25倍で基準未達、
②は、固定負債864億円 > 純流動資産670億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2021年と2023年以外が赤字ですね。直近の2022年はコロナ禍が収まり、世界全体が脱・巣ごもりへ戻っている中でEC市場全体に逆風が吹いて成長が純化したことが要因とのこと。2013年に創業したばかり。まだまだこれからということでしょうか。基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年6月 | -13億7400万円 |
2015年6月 | -11億400万円 |
2016年6月 | -3億4800万円 |
2017年6月 | -42億700万円 |
2018年6月 | -70億4100万円 |
2019年6月 | -137億6400万円 |
2020年6月 | -227億7200万円 |
2021年6月 | 57億2000万円 |
2022年6月 | -75億6900万円 |
2023年6月 | 130億7000万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 90.4%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年6月 | -14.92円 | |
2015年6月 | -10.73円 | 3年平均:-9.6円 |
2016年6月 | -3.03円 | |
2017年6月 | -36.65円 | |
2018年6月 | -60.61円 | |
2019年6月 | -94.98円 | |
2020年6月 | -147.85円 | |
2021年6月 | -36.42円 | |
2022年6月 | -47.33円 | 3年平均:-0.9円 |
2023年6月 | 81.01円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、ずっと無配当であり、基準未達です。創業間もないこれからの企業ですからね。仕方なしです。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2017年6月 | 0円/株 | 0% |
2018年6月 | 0円/株 | 0% |
2019年6月 | 0円/株 | 0% |
2020年6月 | 0円/株 | 0% |
2021年6月 | 0円/株 | 0% |
2022年6月 | 0円/株 | 0% |
2023年6月 | 0円/株 | 0% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは40.08倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは9.78倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も391.98で基準未達です。これはちょっと高すぎますね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高1720億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 10年中8年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | 90.4% |
⑤配当 | × | ずっと無配 |
⑥株価収益率 | × | 40.08倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 9.78倍 |
財務状況と収益安定性、配当、株価収益率/純資産倍率の5項目で基準未達となり、
(株)メルカリは割安株には該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して負債の割合が高い上、赤字あり、配当なし、株価も高いということであれば、仕方ありません。
既存事業においては事業環境を踏まえ機動的に内容の見直しを行いながらもグロースを優先した投資を行い、新規事業においてはグループシナジーを最大化する事業を創出することで、グループとして持続的な成長及び将来利益の最大化を進める。
主力事業であるメルカリJPのCtoCマーケットプレイスと、ソウゾウによるBtoCマーケットプレイス「メルカリShops」の連携強化による出品の増加を推進し、持続的な成長を目指すとのこと。現状は厳しい状況ではありますが、まだまだこれからの企業、今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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