
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである花王(株)【4452】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


・バリュー投資の7つの基準に沿った花王の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・花王は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。



日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


花王(株)【4452】 の基本情報
・設立年月日 1940年5月21日
・上場年月日 1949年5月
・業種 化学
・特色 トイレタリー国内首位、化粧品でも大手。原料からの一貫生産。独自の物流・販社システム所有。
・資本金 854億円
・従業員数 (単独)8,364人 (連結)34,745人
・株価 5,651円(2023.9.16)
・単元 100株
・決算 12月末日


「ハイジーン&リビングケア」「ヘルス&ビューティケア」「ライフケア」「化粧品」の4つの事業分野で、生活者に向けたコンシューマープロダクツ事業を展開しています。「ケミカル」事業においては、産業界のニーズにきめ細かく対応した製品を幅広く展開しています。
化粧品やスキンケア、ヘアケア、ヒューマンヘルスケア、ファブリック&ホームケアなどの数多くのブランドを保有しており、この世界とそこに住む人々を深く知り、理解することと、人と自然が共に栄える未来のために、人々の期待を超える、よりよい生活を実現する企業になることを目指されています。



アタック、ハミング、キュキュット、マジックリン、保有ブランドは数えきれないほど。さすが日用品のトップ企業です。
使命「豊かな共生世界の実現」
ビジョン「人をよく理解し期待の先いく企業に」
志をひとつに熱意をこめて、日々をよりこころ豊かにすることに邁進し、Kirei Life~すべての人と地球にとってより清潔で美しく健やかな暮らし方~を創造すること。そして、優れた価値を生みだす革新を通して喜びを分かち合い、すべての命にとって安心で調和のとれた世界を実現することを目指されています。
ではここからは、花王(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
化学100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2兆6269億円(4位) |
売上高 | 1兆5510億円(7位) |
営業利益 | 1100億7100万円(8位) |
経常利益 | 1158億4800万円(6位) |
純利益 | 860億3800万円(4位) |
営業利益率 | 7.1%(48位) |
純利益率 | 5.5%(43位) |
総資産 | 1兆7431億円(9位) |
負債 | 7132億3900万円(9位) |
化学の中で売上高は7位、総資産は9位。利益率は中位で、純利益率は5.5%の43位。日用品の国内トップ企業です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2022年12月期の決算短信によると、
流動資産:8072億600万円
流動負債:4866億2400万円
固定負債:2443億4200万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.66倍で基準未達、
②は、固定負債2443億円 < 純流動資産3205億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動負債の割合がちょっと高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年着実に利益を上げられており、全く赤字はありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年12月 | 647億6400万円 |
2014年12月 | 795億9000万円 |
2015年12月 | 1051億9600万円 |
2016年12月 | 1265億5100万円 |
2017年12月 | 1470億1000万円 |
2018年12月 | 1536億9800万円 |
2019年12月 | 1482億1300万円 |
2020年12月 | 1261億4200万円 |
2021年12月 | 1096億3600万円 |
2022年12月 | 860億3800万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 37.3%となり、ギリギリ基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年12月 | 126.03円 | |
2014年12月 | 156.46円 | 3年平均:164.1円 |
2015年12月 | 209.82円 | |
2016年12月 | 253.43円 | |
2017年12月 | 298.3円 | |
2018年12月 | 314.25円 | |
2019年12月 | 306.7円 | |
2020年12月 | 262.29円 | |
2021年12月 | 230.59円 | 3年平均:225.4円 |
2022年12月 | 183.28円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、きっちり配当が出てますね。基準達成です。毎年きっちりの33期連続増配、素晴らしいです。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2009年3月 | 56円/株 | 2.92% |
2010年3月 | 57円/株 | 2.41% |
2011年3月 | 58円/株 | 2.8% |
2012年3月 | 60円/株 | 2.76% |
2012年12月 | 62円/株 | 2.76% |
2013年12月 | 64円/株 | 1.93% |
2014年12月 | 70円/株 | 1.47% |
2015年12月 | 80円/株 | 1.28% |
2016年12月 | 94円/株 | 1.7% |
2017年12月 | 110円/株 | 1.44% |
2018年12月 | 120円/株 | 1.47% |
2019年12月 | 130円/株 | 1.44% |
2020年12月 | 140円/株 | 1.76% |
2021年12月 | 144円/株 | 2.39% |
2022年12月 | 148円/株 | 2.82% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは64.07倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは2.62倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も167.86で基準未達です。これはちょっと高すぎますね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆5510億円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +37.3% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.82% |
⑥株価収益率 | × | 64.07倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 2.62倍 |
財務状況と株価収益率、株価純資産倍率の3項目で基準未達となり、



花王(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動負債の割合が少し高いことと、既に株価が上がりすぎてます。
盤石な収益性と連続増配で有名な花王ですが、やはり人気銘柄。割安株という観点ではさすがにもう厳しいですね。
既存事業の拡充に専念するだけでなく、ビジネスモデルを大きく転換する新たな事業の創出が不可欠だと考え、既存事業の再生と、これまでの花王スタイルとは異なる新事業の創成の両輪で、投資して強くなる事業への変革を進める。
成長ドライバー領域の化粧品事業、ケミカル事業、スキンケア事業、業務用衛生品事業の4事業に引き続き投資を集中し、既存事業の高収益事業への早期転換を進めるとのこと。まだまだ成長が期待できそうですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




👇👇👇ブログランキングに参加中 👇👇👇
👇押していただけると励みになります 👇
コメント