
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである武田薬品工業(株)【4502】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った武田薬品工業(株)【4502】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・武田薬品工業(株)【4502】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


武田薬品工業(株)【4502】 の基本情報
・設立年月日 1925年1月29日
・上場年月日 1949年5月
・業種 医薬品
・特色 国内製薬首位。がん、中枢神経、消化器、希少疾患等に重点。巨額買収で世界売上上位10強入り。
・資本金 1兆6681億円
・従業員数 (単独)4,966人 (連結)47,099人
・株価 3,989円(2022.7.16)
・単元 100株
・決算 3月末日


武田薬品工業は、国内製薬企業のリーディングカンパニーです。
240年以上の歴史をもつタケダは、常に患者さんを中心に考え、イノベーション創出に立脚したグローバル製薬企業として、世界中の人々により健やかで輝かしい未来を届けることを目指しています。
消化器領域・がん・中枢神経系にフォーカスを定め、ワールドクラスの研究開発体制で革新的な医薬品を創出されています。
企業理念としては、武田薬品の存在意義を「世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献すること」と定義し、「誠実であること」を道しるべとしながら、1. 患者さんに寄り添い(Patient)2. 人々と信頼関係を築き(Trust) 3. 社会的評価を向上させ(Reputation)4. 事業を発展させる(Business)」を日々の行動指針とするタケダイズムという価値観を掲げられています。
ではここからは、武田薬品工業(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
医薬品71社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 6兆9272億円(2位) |
売上高 | 3兆5690億円(1位) |
営業利益 | 4608億4400万円(1位) |
経常利益 | 3025億7100万円(2位) |
純利益 | 2300億5900万円(2位) |
営業利益率 | 12.9%(20位) |
純利益率 | 6.4%(35位) |
総資産 | 13兆1780億円(1位) |
負債 | 7兆4944億円(1位) |
医薬品の中で売上高、総資産ともダントツの第1位。利益率もまずまずで、営業利益率は12.9%で業界20位、純利益率も6.4%と業界35位。医薬品メーカーとして国内最大手であり、事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信では、流動資産は2,593,642百万円、流動負債は2,145,730百万円、固定負債は5,348,764百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.21倍で基準未達、
②は、固定負債5,348,764百万円 > 純流動資産447,912百万円 で基準未達となり、
よって、流動資産に対して、負債が多すぎますね。特に固定負債がすごいです。これでは基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2015年に赤字がありますね。米国における2型糖尿病治療剤「アクトス」の発がんリスクをめぐる製造物責任訴訟で、和解金や関連費用などを計上したとのこと。和解金は約2880億円だったとか。米国での訴訟関連費用ってすごいですね。というわけで基準未達です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 1485億8300万円 |
2014年3月 | 1066億5800万円 |
2015年3月 | -1457億7500万円 |
2016年3月 | 801億6600万円 |
2017年3月 | 1149億4000万円 |
2018年3月 | 1868億8600万円 |
2019年3月 | 1351億9200万円 |
2020年3月 | 442億4100万円 |
2021年3月 | 3760億500万円 |
2022年3月 | 2300億5900万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、 EPSの最初の3年平均が46.0円、直近の3年平均が138.8円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 201.9% となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 188.16円 | |
2014年3月 | 135.1円 | 3年平均:46.0円 |
2015年3月 | -185.37円 | |
2016年3月 | 102.26円 | |
2017年3月 | 147.15円 | |
2018年3月 | 239.35円 | |
2019年3月 | 140.61円 | |
2020年3月 | 28.41円 | |
2021年3月 | 240.72円 | 3年平均:138.8円 |
2022年3月 | 147.14円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、きっちり配当が出てますね。基準達成です。ここ最近増配はしていないものの、配当利回りがかなり高い点は魅力ですね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 180円/株 | 4.37% |
2011年3月 | 180円/株 | 4.64% |
2012年3月 | 180円/株 | 4.94% |
2013年3月 | 180円/株 | 3.58% |
2014年3月 | 180円/株 | 3.68% |
2015年3月 | 180円/株 | 3% |
2016年3月 | 180円/株 | 3.5% |
2017年3月 | 180円/株 | 3.44% |
2018年3月 | 180円/株 | 3.47% |
2019年3月 | 180円/株 | 3.98% |
2020年3月 | 180円/株 | 5.44% |
2021年3月 | 180円/株 | 4.52% |
2022年3月 | 180円/株 | 5.15% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは21.18倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.09倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR は23.09で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高3兆5690億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2015年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +201.9% |
⑤配当 | ◎ | 利回り5.15% |
⑥株価収益率 | × | 21.18倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 1.09倍 PER×PERがNG |
財務状況と収益安定性、株価収益率、株価純資産倍率の4項目で基準未達となり、「武田薬品工業(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。流動資産に対して特に固定負債の割合が高すぎることと、赤字があること、株価が高すぎる点が問題です。
ここ数年、積極的なM&Aで企業規模を拡大し、新薬創出に向けた研究開発体制を充実させるなど、世界で戦えるグループにまで成長した代償として、現状、巨額の負債を抱えています。今後、この負債をどこまで圧縮し、財務健全性を高めていけるのかに注目です。
というわけで現時点では、「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、コムシスホールディングス【1721】と積水ハウス【1928】、宝ホールディングス【2531】、SUMCO【3436】、東ソー【4042】の5社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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