こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである住友ファーマ(株)【4506】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った住友ファーマの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・住友ファーマは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
住友ファーマ(株)【4506】 の基本情報
・設立年月日 1897年5月14日
・上場年月日 1949年5月
・業種 医薬品
・特色 医薬品準大手、住友化学傘下。買収で米国へ展開。研究開発は精神神経、がん、再生細胞に重点。
・資本金 224億円
・従業員数 (単独)3,031人 (連結)5,744人
・株価 557.7円(2023.9.17)
・単元 100株
・決算 3月末日
旧社名は大日本住友製薬。医薬品事業を中核事業とし、その他の事業として、食品素材・化成品事業、動物用医薬品事業を展開しています。
最主力品の統合失調症治療薬「ラツーダ」は、売り上げ全体の4割近くを占めるブロックバスター(=画期的な効能を持ち、開発費を圧倒的に上回る利益を生み出す新薬)です。国内では糖尿病領域を強化しており、主力は2型糖尿病治療薬「トルリシティ」「エクア/エクメット」が収益の要となっています。
主に精神神経、糖尿病、希少疾病領域に強みを持っています。
人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する
グローバルスローガンとして「Innovation today, healthier tomorrows」を掲げ、つねに新たな変革を自らに課し、顧客視点に立ったイノベーションの実現にスピードをもって挑み続けることを宣言されています。
ではここからは、住友ファーマ(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
医薬品72社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2215億6900万円(15位) |
売上高 | 5555億4400万円(7位) |
営業利益 | -769億7900万円(71位) |
経常利益 | -479億2000万円(71位) |
純利益 | -745億1200万円(71位) |
営業利益率 | -%(-位) |
純利益率 | -%(-位) |
総資産 | 1兆1407億円(8位) |
負債 | 7236億7900万円(5位) |
医薬品の中で売上高は7位、総資産は8位。利益率は昨年度が赤字のため算出不可ですが、国内大手医薬品メーカーの一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:3818億6000万円
流動負債:3726億9400万円
固定負債:3552億6600万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.02倍で基準未達、
②は、固定負債3552億円 > 純流動資産91億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、直近の2023年が赤字です。主力の統合失調症薬「ラツーダ」の特許切れによる売り上げ急減や、米国グループ会社再編に伴う構造改革費用などの影響とのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 200億6000万円 |
2015年3月 | 154億4700万円 |
2016年3月 | 246億9700万円 |
2017年3月 | 313億1600万円 |
2018年3月 | 534億4800万円 |
2019年3月 | 486億2700万円 |
2020年3月 | 407億5300万円 |
2021年3月 | 562億1900万円 |
2022年3月 | 564億1300万円 |
2023年3月 | -745億1200万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = -36.7%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 50.49円 | |
2015年3月 | 38.88円 | 3年平均:50.5円 |
2016年3月 | 62.16円 | |
2017年3月 | 78.82円 | |
2018年3月 | 134.53円 | |
2019年3月 | 122.39円 | |
2020年3月 | 102.58円 | |
2021年3月 | 141.5円 | |
2022年3月 | 141.99円 | 3年平均:32.0円 |
2023年3月 | -187.55円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、きっちり配当が出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 18円/株 | 2.1% |
2011年3月 | 18円/株 | 2.32% |
2012年3月 | 18円/株 | 2.05% |
2013年3月 | 18円/株 | 1.03% |
2014年3月 | 18円/株 | 1.1% |
2015年3月 | 18円/株 | 1.26% |
2016年3月 | 18円/株 | 1.39% |
2017年3月 | 20円/株 | 1.09% |
2018年3月 | 28円/株 | 1.57% |
2019年3月 | 28円/株 | 1.02% |
2020年3月 | 28円/株 | 2% |
2021年3月 | 28円/株 | 1.45% |
2022年3月 | 28円/株 | 2.32% |
2023年3月 | 21円/株 | 2.59% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、本年度は赤字の見込みであるためPERは算出不可、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.53倍であり、①のPBRは基準達成です。
ただ、②のPER × PBR が算出不可なので基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高5555億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2023年赤字 |
④収益成長性 | × | -36.7% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.59% |
⑥株価収益率 | × | 算出不可 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 0.53倍 PER×PBRが算出不可 |
財務状況と収益安定性/成長性、株価収益率/純資産倍率の5項目で基準未達となり、
住友ファーマ(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定負債の割合が高い上、直近の赤字の影響も大きく、成長性も今一つですね。
「ラツーダ」の米国での独占販売期間終了後の再成長および「グローバル・スペシャライズド・プレーヤー」の地位確立に向けた足場を築く期間として、持続的な成長を支える収益基盤の確立ならびに自社起源のイノベーションを事業として結実させるための研究開発に取り組み、事業構造の転換を図る。
最大の課題は最主力品「ラツーダ」の特許切れ。17年度は過去最高益を更新したものの、特許切れの崖を乗り越えるための”特効薬”を発売できず、苦しい局面に立たされています。経営のスリム化や後期開発品の獲得で対策を行っており、北米でのがん事業の立ち上げと自社製品の発売の成果が出てくることに期待です。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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