こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるトレンドマイクロ(株)【4704】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったトレンドマイクロの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・トレンドマイクロは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
トレンドマイクロ(株)【4704】 の基本情報
・設立年月日 1989年10月24日
・上場年月日 1998年8月18日
・業種 情報・通信
・特色 サイバーセキュリティ大手。法人用PC端末等保護で世界首位級。個人用「ウイルスバスター」も。
・資本金 195億円
・従業員数 (単独)870人 (連結)7,582人
・株価 5,668円(2023.10.1)
・単元 100株
・決算 12月末日
1988年にウイルス対策ソフトウェアの開発を目的として3名で設立。創業以来、過去30年間でハイブリッドクラウドセキュリティ、ネットワーク防御、中小企業向けセキュリティ、エンドポイントセキュリティにおけるマーケットリーダーへと成長しています。
ウイルスバスター クラウドをはじめとするウイルス対策ソフトはトップシェアにあり、パソコン向けだけではなく、スマホやタブレット向けなど様々なウイルス対策製品の開発・販売も行っています。 また、パスワード管理ツールや写真管理ツールなどデジタルライフを支援する製品をリリースしています。
国内のサイバーセキュリティ業界における認知度と製品の品質の高さが強みです。
常に革新的であり続けること。
技術の進歩に歩調を合わせながら高度な脅威インテリジェンスを一貫して提供し、顧客に信頼されるセキュリティ技術を開発し続けることを目指されています。
ではここからは、トレンドマイクロ(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
情報・通信100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 7694億9200万円(19位) |
売上高 | 2237億9500万円(31位) |
営業利益 | 313億4000万円(25位) |
経常利益 | 341億6100万円(26位) |
純利益 | 298億4300万円(23位) |
営業利益率 | 14.0%(31位) |
純利益率 | 13.3%(18位) |
総資産 | 4647億6800万円(20位) |
負債 | 2519億700万円(13位) |
情報・通信の中で売上高は31位、総資産は20位。利益率もかなり高く、純利益率は13.3%の18位。情報・通信メーカー大手の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2022年12月期の決算短信によると、
流動資産:3199億3400万円
流動負債:2322億9700万円
固定負債:98億2200万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.38倍で基準未達、
②は、固定負債98億円 < 純流動資産876億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動負債の割合が高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年きっちり利益を上げられており、赤字はありません。ほぼ右肩上がりに利益を積み上げておられますね。というわけで基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年12月 | 195億9500万円 |
2014年12月 | 223億300万円 |
2015年12月 | 214億3500万円 |
2016年12月 | 246億5100万円 |
2017年12月 | 256億9100万円 |
2018年12月 | 283億1400万円 |
2019年12月 | 279億4600万円 |
2020年12月 | 269億400万円 |
2021年12月 | 383億6700万円 |
2022年12月 | 298億4300万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 44.9%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年12月 | 147.52円 | |
2014年12月 | 165.68円 | 3年平均:157.0円 |
2015年12月 | 157.71円 | |
2016年12月 | 179.63円 | |
2017年12月 | 187.01円 | |
2018年12月 | 204.37円 | |
2019年12月 | 200.93円 | |
2020年12月 | 193.39円 | |
2021年12月 | 275.2円 | 3年平均:227.4円 |
2022年12月 | 213.58円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、きっちり配当が出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2009年12月 | 91円/株 | 2.58% |
2010年12月 | 70円/株 | 2.61% |
2011年12月 | 86円/株 | 3.74% |
2012年12月 | 67円/株 | 2.58% |
2013年12月 | 126円/株 | 3.4% |
2014年12月 | 116円/株 | 3.47% |
2015年12月 | 110円/株 | 2.23% |
2016年12月 | 141円/株 | 3.39% |
2017年12月 | 149円/株 | 2.33% |
2018年12月 | 163円/株 | 2.73% |
2019年12月 | 160円/株 | 2.86% |
2020年12月 | 153円/株 | 2.58% |
2021年12月 | 195円/株 | 3.05% |
2022年12月 | 151円/株 | 2.46% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは31.18倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは3.65倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR は113.81で基準未達です。
これはちょっと株価が高すぎますね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高2237億円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +44.9% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.46% |
⑥株価収益率 | × | 31.18倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 3.65倍 |
財務状況と株価収益率、株価純資産倍率の3項目で基準未達となり、
トレンドマイクロ(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
収益面は安定しており、着実に成長もしているのですが、流動資産に対して負債が多く、株価も高すぎますね。
常に顧客の必要とするソリューションを開発・提供し、総合サイバーセキュリティプラットフォーム「Trend Micro One」を中心に、より付加価値の高いセキュリティを実現すると共に、安定的な財務基盤を維持しつつ継続的な成長を目指す。
主力製品「ウイルスバスター」をはじめ、セキュリティ製品とサービスにおいて、一般消費者向け・企業向けの両分野で、日本国内トップクラスのシェアを誇っています。今後さらに成長軌道に乗せていくためには、次なる新しい製品やサービスを生み出すことが必要ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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