
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである日本電気硝子(株)【5214】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った日本電気硝子(株)【5214】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・日本電気硝子(株)【5214】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


日本電気硝子(株)【5214】 の基本情報
・設立年月日 1944年10月31日
・上場年月日 1973年4月
・業種 ガラス・土石製品
・特色 FPD用ガラスと自動車用ガラス繊維の2本柱。韓国、台湾、中国の液晶パネル企業が主顧客。
・資本金 321億円
・従業員数 (単独)1,677人 (連結)6,289人
・株価 2,611円(2022.8.12)
・単元 100株
・決算 12月末日


日本電気硝子は、電子機器や機能材料に不可欠な「特殊ガラス」で世界の暮らしと最先端を支える企業です。
特殊ガラスは板や管、糸、粉末とさまざまに姿を変えながら、IT機器や自動車、医療、照明、建築、エネルギー分野にまで、ガラスだからこそできる独自の性能や機能を製品に付与しています。
企業理念は「ガラスの持つ無限の可能性を引き出し、モノづくりを通して、豊かな未来を切り拓きます。」であり、”GLASS FOR FUTURE”をスローガンとして掲げ、世界一の特殊ガラスメーカーを目指されています。
ではここからは、日本板硝子(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
ガラス・土石製品59社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2351億1900万円(5位) |
売上高 | 2920億3300万円(7位) |
営業利益 | 327億7900万円(6位) |
経常利益 | 449億7900万円(6位) |
純利益 | 279億400万円(6位) |
営業利益率 | 11.2%(18位) |
純利益率 | 9.6%(14位) |
総資産 | 7595億1400万円(6位) |
負債 | 2190億9400万円(8位) |
ガラス・土石製品の中で売上高は7位、総資産は6位。利益率はまずまずで、純利益率は9.6%の14位。ガラス・土石製品メーカーの中では大手の一社であり、事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年12月期の決算短信によると、
流動資産:2892億1200万円
流動負債:1309億100万円
固定負債:881億9300万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.21倍で基準達成、
②も、固定負債881億9300万円 < 純流動資産1583億1100万円 で基準達成となり、
よって、流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合もかなり低く、財務状況は問題ありません。基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2019年に赤字があります。薄型ディスプレイ用ガラスの受注減や、ガラスファイバの需要回復の遅れに加え、アメリカ・チェスター工場の閉鎖をはじめとするガラス繊維事業の再編に伴う費用を計上した影響とのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 106億300万円 |
2014年3月 | 124億3100万円 |
2014年12月 | 59億3800万円 |
2015年12月 | 96億3600万円 |
2016年12月 | 49億6800万円 |
2017年12月 | 271億8400万円 |
2018年12月 | 151億9900万円 |
2019年12月 | -336億6900万円 |
2020年12月 | 152億5200万円 |
2021年12月 | 279億400万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が97.1円、直近の3年平均が33.4円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -65.6%となり、基準未達です。2019年の赤字が痛いですね。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 106.54円 | |
2014年3月 | 124.96円 | 3年平均:97.1円 |
2014年12月 | 59.69円 | |
2015年12月 | 96.87円 | |
2016年12月 | 49.94円 | |
2017年12月 | 273.28円 | |
2018年12月 | 154.25円 | |
2019年12月 | -348.49円 | |
2020年12月 | 157.83円 | 3年平均:33.4円 |
2021年12月 | 290.97円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、配当はしっかり出ています。ゆっくりですが増配もしていますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 55円/株 | 0.84% |
2011年3月 | 65円/株 | 1.1% |
2012年3月 | 75円/株 | 2.09% |
2013年3月 | 80円/株 | 3.35% |
2014年3月 | 80円/株 | 3.01% |
2014年12月 | 60円/株 | 2.2% |
2015年12月 | 80円/株 | 2.61% |
2016年12月 | 80円/株 | 2.53% |
2017年12月 | 90円/株 | 2.09% |
2018年12月 | 100円/株 | 3.71% |
2019年12月 | 100円/株 | 4.1% |
2020年12月 | 100円/株 | 4.43% |
2021年12月 | 110円/株 | 3.73% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは8.10倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.45倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も3.65で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高2920億円 |
②財務状況 | 〇 | 問題なし |
③収益安定性 | △ | 2019年赤字 |
④収益成長性 | × | -65.6% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.73% |
⑥株価収益率 | ◎ | 8.10倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.45倍 |
収益安定性/成長性の2項目で基準未達となり、「日本電気硝子(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。財務状況はきれいなのですが、2019年の赤字が痛いですね。あと一歩、惜しいところです。
新型コロナの影響で自動車部品向けガラスファイバの売上は一時的に落ち込んだものの、収益力自体は回復傾向にあり、今後も安定した業績推移が見込まれるとのこと。ディスプレイ関連事業では成長が見込まれている中国市場の強化を進めており、赤字が継続している欧州でのガラスファイバ事業の課題も含め、今後の構造改革に注目です。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
の5社です。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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