こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである住友大阪セメント(株)【5232】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
*住友大阪セメント(株)は2024年4月に日経平均株価の構成銘柄から除外されました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った住友大阪セメントの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・住友大阪セメントは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
住友大阪セメント(株)【5232】 の基本情報
・設立年月日 1907年11月29日
・上場年月日 1949年5月
・業種 ガラス・土石製品
・特色 住友系。国内シェア3位。廃棄物再資源化や売電で実績。半導体製造装置用材料や光電子を育成。
・資本金 416億円
・従業員数 (単独)1,295人 (連結)2,979人
・株価 3,558円(2023.10.14)
・単元 100株
・決算 3月末日
創業より代替品のないセメント製造事業を主軸に100年以上もの間、日本の社会インフラを支えています。国内販売シェアは第3位です。
近年ではセメント事業から派生した鉱産品事業、建材事業、独自のオプトエレクトロニクスやナノテクノロジーを活かした光電子事業、新材料事業など多様な事業展開に加え、セメント製造における産業廃棄物・副産物の積極的な受け入れ・再資源化など、環境保全・循環型社会の形成にも貢献してます。
安定した需要が見込めるセメント事業を基盤にさまざまな事業を展開されています。
私たちは、地球環境に配慮し、たゆまない技術開発と多様な事業活動を通じて、豊かな社会の維持・発展に貢献する企業グループを目指します。
セメント事業で培った信頼と技術を基盤に、基礎資材を安定供給する企業グループとして豊かな社会の維持・発展に貢献社会に貢献することを目指されています。
ではここからは、住友大阪セメント(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
ガラス・土石製品57社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1218億7100万円(12位) |
売上高 | 2047億500万円(10位) |
営業利益 | -85億5500万円(57位) |
純利益 | -57億1900万円(56位) |
営業利益率 | -%(-位) |
純利益率 | -%(-位) |
総資産 | 3533億4800万円(9位) |
負債 | 1664億7300万円(9位) |
ガラス・土石製品の中で売上高は10位、総資産は9位。営業利益、純利益とも赤字ながら、国内セメントメーカーとして大手の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1169億7800万円
流動負債:1020億4400万円
固定負債:699億2200万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.15倍で基準未達、
②は、固定負債699億円 > 純流動資産149億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2023年が赤字ですね。セメント生産で使う石炭の輸入価格がウクライナ情勢や円安で高騰し採算が悪化したとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 133億3100万円 |
2015年3月 | 133億3700万円 |
2016年3月 | 161億1000万円 |
2017年3月 | 162億1000万円 |
2018年3月 | 146億5900万円 |
2019年3月 | 77億9900万円 |
2020年3月 | 109億2200万円 |
2021年3月 | 117億1900万円 |
2022年3月 | 96億7400万円 |
2023年3月 | -57億1900万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = -61.3%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 320.3円 | |
2015年3月 | 320.53円 | 3年平均:345.0円 |
2016年3月 | 394.28円 | |
2017年3月 | 399.34円 | |
2018年3月 | 361.2円 | |
2019年3月 | 199.14円 | |
2020年3月 | 283.18円 | |
2021年3月 | 304.54円 | |
2022年3月 | 262.76円 | 3年平均:133.5円 |
2023年3月 | -166.76円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、配当はしっかり出ています。ゆっくりですが増配もしていますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 40円/株 | 2.47% |
2011年3月 | 40円/株 | 1.66% |
2012年3月 | 40円/株 | 1.66% |
2013年3月 | 50円/株 | 1.82% |
2014年3月 | 50円/株 | 1.17% |
2015年3月 | 65円/株 | 1.76% |
2016年3月 | 80円/株 | 1.81% |
2017年3月 | 100円/株 | 2.16% |
2018年3月 | 110円/株 | 2.33% |
2019年3月 | 110円/株 | 2.52% |
2020年3月 | 120円/株 | 3.7% |
2021年3月 | 120円/株 | 3.4% |
2022年3月 | 120円/株 | 3.57% |
2023年3月 | 120円/株 | 3.22% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは12.83倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.66倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も8.47で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高2047億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2023年赤字 |
④収益成長性 | × | -61.3% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.22% |
⑥株価収益率 | 〇 | 12.83倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.66倍 |
財務状況と収益安定性/成長性の3項目で基準未達となり、
住友大阪セメント(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定負債が多く、赤字があり、成長性も今一つですね。仕方ありません。
環境解決をキーワードとして、持続的な成長を通じて、社会の中で存在感のある会社となることを目指す。
同業の太平洋セメントや三菱マテリアルが海外展開を加速する中、業界一の堅実派と言われる住友大阪セメントは国内市場への依存度が高く、今回の評価でもEPSの成長性がほとんど見られておらず、成長に向けた次の一手が望まれています。
海外展開に加え、セメント関連事業である鉱産品事業、建材事業に加え、独自の技術を活かした光電子事業、新材料事業といった高機能品事業分野においても事業展開を行い新たな可能性を追求し、セメント関連事業と高機能品事業の両分野で安定的に成長し続ける企業グループを目指すとのことであり、今後の成長に注目です。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
👇👇👇ブログランキングに参加中 👇👇👇
👇押していただけると励みになります 👇
コメント