こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるTOTO(株)【5332】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったTOTOの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・TOTOは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
TOTO(株)【5332】 の基本情報
・設立年月日 1917年5月15日
・上場年月日 1949年5月
・業種 ガラス・土石製品
・特色 衛生陶器シェア6割、温水洗浄便座「ウォシュレット」で存在感。リフォームと海外開拓に重点。
・資本金 355億円
・従業員数 (単独)7,934人 (連結)34,152人
・株価 3,731円(2023.11.5)
・単元 100株
・決算 3月末日
衛生陶器をはじめとする住宅設備機器などの製造販売を行うメーカーで、住宅設備機器特に水まわり製品を中心とした、研究・開発・設計・製造・販売をしています。 また、新領域事業として環境建材、セラミック、光触媒などを行っています。
日本陶器合名会社(現・ノリタケカンパニーリミテド)の製陶研究所が母体となり、1917年に東洋陶器株式会社として設立され、豊富な石炭を産出する筑豊炭田に近いなど原料の調達に有利な旧豊前国企救郡(現:北九州市)に本拠地を置き、現在に至ります。初めて水洗便器の本格的国産化を実現したのも同社です。
ユニットバスを最初に発売し、ウォシュレットやトルネード洗浄などの様々な新技術を開発されています。
愛業至誠
①良品と均質、②奉仕と信用、③協力と発展、を企業活動の基調とし、「強く・明るく・美しい会社」をビジョンに掲げ、社会の発展に貢献し、世界の人々から信頼される企業を目指されています。
ではここからは、TOTO(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
ガラス・土石製品57社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 6328億4300万円(3位) |
売上高 | 7011億8700万円(4位) |
営業利益 | 491億2100万円(4位) |
純利益 | 389億4300万円(3位) |
営業利益率 | 7.0%(25位) |
純利益率 | 5.6%(26位) |
総資産 | 7641億7200万円(6位) |
負債 | 2756億4900万円(7位) |
ガラス・土石製品の中で売上高は3位、総資産は7位。利益率はそこそこで、純利益率は6.2%の30位。衛生陶器で国内シェア第1位です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:3592億8800万円
流動負債:2288億3900万円
固定負債:417億600万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.57倍で基準未達、
②は、固定負債417億円 < 純流動資産1304億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動負債の割合が高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2009年に赤字があるものの、ここ10年は赤字はなく、しっかりと利益を上げられています。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 441億2200万円 |
2015年3月 | 248億1300万円 |
2016年3月 | 357億2300万円 |
2017年3月 | 329億6000万円 |
2018年3月 | 367億9800万円 |
2019年3月 | 323億8000万円 |
2020年3月 | 235億8300万円 |
2021年3月 | 269億7800万円 |
2022年3月 | 401億3100万円 |
2023年3月 | 389億4300万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 0.9%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 260.37円 | |
2015年3月 | 147.59円 | 3年平均:206.7円 |
2016年3月 | 212.03円 | |
2017年3月 | 194.86円 | |
2018年3月 | 217.5円 | |
2019年3月 | 191.26円 | |
2020年3月 | 139.26円 | |
2021年3月 | 159.24円 | |
2022年3月 | 236.74円 | 3年平均:208.6円 |
2023年3月 | 229.66円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、配当はしっかり出ています。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 20円/株 | 1.57% |
2011年3月 | 20円/株 | 1.49% |
2012年3月 | 20円/株 | 1.61% |
2013年3月 | 28円/株 | 1.68% |
2014年3月 | 46円/株 | 1.61% |
2015年3月 | 52円/株 | 1.46% |
2016年3月 | 64円/株 | 1.82% |
2017年3月 | 68円/株 | 1.62% |
2018年3月 | 72円/株 | 1.28% |
2019年3月 | 90円/株 | 1.92% |
2020年3月 | 90円/株 | 2.5% |
2021年3月 | 70円/株 | 1.03% |
2022年3月 | 95円/株 | 1.92% |
2023年3月 | 100円/株 | 2.26% |
なお、株主優待は3末の権利確定で、100株以上保有で2,000円相当のカタログギフトがもらえます。100株保有なら優待品で利回り0.5%程度の配当があることになりますね。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは16.23倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.32倍であり、①のPBRも基準達成です。
②のPER × PBR も21.42で基準達成です。ちょっと株価が高すぎですね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高7011億円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | △ | +0.9% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.26%+優待あり |
⑥株価収益率 | △ | 16.23倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.32倍 |
財務状況と収益成長性、株価収益率の3項目で基準未達となり、
TOTO(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動負債が多い上、成長性が足りず、株価もちょっと高いです。
「グローバル住設事業」「新領域事業」の2つの事業軸と、全社最適視点で横串を通す3つの全社横断革新活動に取り組み、事業活動と「TOTOグローバル環境ビジョン」をより一体化させ、更なる企業価値向上を目指す。
国内はリフォームが中心。人口が減っていくのは間違いなく、海外ほどの爆発的な伸びは難しいものの、年5~6%程度の堅調な伸びが期待できるとのこと。また、長期的な成長のためにはアメリカ、アジアでの販売を拡大を進めるとのことで、アメリカでは中高級ゾーンをターゲットにウォシュレットのシェア拡大、アジアでも中高級ゾーンを狙い、現地メーカーではできない商品を提供していくそう。
国内は盤石なシェアを持っており、課題である成長性を高めていくためには今後どこまで海外売上高を上げていけるか。ここがポイントかもしれませんね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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