
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである日本軽金属ホールディングス(株)【5703】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った日本軽金属ホールディングス(株)【5703】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・日本軽金属ホールディングス(株)【5703】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


日本軽金属ホールディングス(株)【5703】 の基本情報
・設立年月日 2012年10月1日
・上場年月日 2012年10月1日
・業種 非鉄金属
・特色 圧延、加工、化成品までのアルミ総合メーカー。アジア展開急ぐ。2014年国内最後の製錬工場閉鎖。
・資本金 465億円
・従業員数 (単独)1,962人 (連結)12,750人
・株価 1,615円(2022.8.22)
・単元 100株
・決算 3月末日


日本軽金属グループはアルミニウム総合メーカーです。アルミニウムの原料となるアルミナ・化成品をはじめとした各種加工製品に至るまで、長年培われた技術グループの総合力を活かした多種多様な商品をあらゆる分野に提供しており、日本軽金属ホールディングス株式会社は、日本軽金属グループ全体の統括会社として経営戦略立案機能を担っています。
「アルミナ・化成品、地金事業」「板、押出製品事業」「加工製品、関連事業」「箔、粉末製品事業」の4つの事業を柱に、アルミニウム総合生産体制を確立し、アルミニウム素材から中間製品、加工製品まで幅広くカバーしています。
自動車や電機・電子、情報通信、環境・安全・エネルギー、公共・景観・建築、輸送、食品・健康、工業製品といった幅広いマーケットに対し、総合メーカーならではのトータルソリューションを提供するとともに、高品質で付加価値の高い製品を生み出しています。
経営理念は「アルミニウムを核としたビジネスの創出を続けることによって、人々の暮らしと地球環境の保護に貢献していく」。アルミニウムに対する豊富な知見と技術をベースに、素材メーカーの概念を超え、これまでとは違う次元で取り組みができる企業グループになることを目指されています。
ではここからは、日本軽金属ホールディングス(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
非鉄金属35社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1018億8100万円(12位) |
売上高 | 4865億7900万円(9位) |
営業利益 | 221億9800万円(8位) |
経常利益 | 229億2800万円(9位) |
純利益 | 167億5700万円(9位) |
営業利益率 | 4.6%(20位) |
純利益率 | 3.4%(22位) |
総資産 | 5346億9700万円(9位) |
負債 | 3123億8400万円(9位) |
非鉄金属の中で売上高、総資産とも9位。利益率は低めで、純利益率は3.4%の22位。日本で唯一アルミ製錬を行っているアルミの総合メーカーであり、事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:2991億800万円
流動負債:1908億4800万円
固定負債:1215億3600万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.57倍で基準未達、
②も、固定負債1215億3600万円 > 純流動資産1082億6000万円 で基準未達となり、
よって、流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年きっちり利益を上げられており、赤字はありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 33億5500万円 |
2014年3月 | 51億2800万円 |
2015年3月 | 96億4500万円 |
2016年3月 | 155億3300万円 |
2017年3月 | 195億2000万円 |
2018年3月 | 180億1200万円 |
2019年3月 | 205億6000万円 |
2020年3月 | 74億7600万円 |
2021年3月 | 33億6600万円 |
2022年3月 | 167億5900万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が111.1円、直近の3年平均が148.6円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 33.8%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 61.55円 | |
2014年3月 | 94.29円 | 3年平均:111.1円 |
2015年3月 | 177.35円 | |
2016年3月 | 285.62円 | |
2017年3月 | 345.79円 | |
2018年3月 | 290.88円 | |
2019年3月 | 332.03円 | |
2020年3月 | 120.73円 | |
2021年3月 | 54.37円 | 3年平均:148.6円 |
2022年3月 | 270.77円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ています。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2013年3月 | 30円/株 | 2.86% |
2014年3月 | 40円/株 | 2.96% |
2015年3月 | 50円/株 | 2.81% |
2016年3月 | 60円/株 | 3.24% |
2017年3月 | 80円/株 | 3.27% |
2018年3月 | 80円/株 | 2.81% |
2019年3月 | 90円/株 | 3.7% |
2020年3月 | 90円/株 | 5.33% |
2021年3月 | 65円/株 | 2.94% |
2022年3月 | 95円/株 | 4.96% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは7.14倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.49倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も3.50で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高4865億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +33.8% |
⑤配当 | ◎ | 利回り4.96% |
⑥株価収益率 | ◎ | 7.14倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 0.49倍 |
財務状況のみが基準未達となり、「日本軽金属ホールディングス(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。流動資産に対して流動/固定負債の割合がいずれも高いものの、収益は安定しており、成長性もクリア、配当利回りも高く、なかなか優秀ではないでしょうか。惜しいところです。
国内のアルミニウム素材産業という視点では、高固定費と大規模な投資負担に耐えながら大量生産によって利益を稼ぐ従来のビジネスモデルをこれからも成立させ続けることは困難といえます。日本軽金属ホールディングスにとっては、素材技術を強みとして、顧客に価値を供給するビジネスへの転換が必須であり、カーボンニュートラルも含めた今後の取り組みに注目です。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
・日本ガイシ【5333】
の6社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




下のバナーをクリックいただけると励みになります!
コメント