こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである三井金属鉱業(株)【5706】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った三井金属の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・三井金属は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
三井金属鉱業(株)【5706】 の基本情報
・設立年月日 1950年5月1日
・上場年月日 1950年10月
・業種 非鉄金属
・特色 非鉄大手。機能材料、自動車部品など川下分野強い。銅箔は世界首位級。金属はリサイクル注力。
・資本金 421億円
・従業員数 (単独)2,252人 (連結)12,131人
・株価 4,432円(2023.11.23)
・単元 100株
・決算 3月末日
金属製錬、電子材料製造、自動車部品製造を主な事業とする、三井グループの大手非鉄金属メーカーです。源流である鉱山の採鉱、高度な精錬技術やリサイクル技術により生まれる各種非鉄金属、希少金属や酸化物などを提供しています。
ダイカスト・粉末冶金部品やそれらを製造するための材料、また建材や自動車用構造材の防食材や防食事業を提供しており、事業セグメントは「機能材料事業」「金属事業」「モビリティ事業」「その他事業」の4つ。売上と利益の多くを「機能材料事業」と「金属事業」で稼ぎ出しています。
粉体制御技術を強みとし、地球環境改善にも強い意識を持っておられます。
創造と前進を旨とし 価値ある商品によって社会に貢献し 社業の永続的発展成長を期す
企業スローガンを「マテリアルの知恵を活かす」とし、探索精神と多様な技術の融合で、地球を笑顔にし、マテリアルの知恵で “未来” に貢献する事業創発カンパニーとなることを目指されています。
ではここからは、三井金属鉱業(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
非鉄金属34社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2533億5500万円(6位) |
売上高 | 6519億6500万円(8位) |
営業利益 | 125億2800万円(9位) |
純利益 | 85億1100万円(10位) |
営業利益率 | 1.9%(24位) |
純利益率 | 1.3%(26位) |
総資産 | 6304億3400万円(8位) |
負債 | 3614億1400万円(7位) |
非鉄金属の中で売上高、総資産とも8位。利益率は低めで、純利益率は1.3%の26位。プリント配線板材料である電解銅箔のトップメーカーです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:3471億6500万円
流動負債:1987億9500万円
固定負債:1716億9100万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.75倍で基準未達、
②は、固定負債1716億円 > 純流動資産1483億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債も多く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2016年と2018年が赤字ですね。特に赤字幅の大きかった2016年は金属価格の下落に伴う売上高の減少に加え、子会社を通じて運営しているチリの銅鉱山の関連資産について減損損失を計上したとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 36億6200万円 |
2015年3月 | 172億3800万円 |
2016年3月 | -209億2600万円 |
2017年3月 | 186億7400万円 |
2018年3月 | -7億800万円 |
2019年3月 | 46億9100万円 |
2020年3月 | 15億6600万円 |
2021年3月 | 447億3300万円 |
2022年3月 | 520億8800万円 |
2023年3月 | 85億1100万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 は 計算上∞となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 64.12円 | |
2015年3月 | 301.81円 | 3年平均:-0.2円 |
2016年3月 | -366.41円 | |
2017年3月 | 326.98円 | |
2018年3月 | -12.4円 | |
2019年3月 | 82.14円 | |
2020年3月 | 27.42円 | |
2021年3月 | 783.33円 | |
2022年3月 | 911.99円 | 3年平均:614.8円 |
2023年3月 | 148.97円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ています。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 30円/株 | 1.07% |
2011年3月 | 60円/株 | 2.08% |
2012年3月 | 30円/株 | 1.29% |
2013年3月 | 30円/株 | 1.24% |
2014年3月 | 40円/株 | 1.68% |
2015年3月 | 60円/株 | 2.19% |
2016年3月 | 60円/株 | 3.33% |
2017年3月 | 70円/株 | 1.85% |
2018年3月 | 70円/株 | 1.45% |
2019年3月 | 70円/株 | 2.47% |
2020年3月 | 70円/株 | 3.87% |
2021年3月 | 85円/株 | 2.21% |
2022年3月 | 110円/株 | 3.28% |
2023年3月 | 140円/株 | 4.35% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは14.07倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.97倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も13.65で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高6519億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2016年,2018年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +∞% |
⑤配当 | ◎ | 利回り4.35% |
⑥株価収益率 | 〇 | 14.07倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.97倍 |
財務状況と収益安定性の2項目で基準未達となり、
三井金属鉱業(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定負債の割合がいずれも高く、赤字が10年中で2年ありますからね。仕方なしです。
「主力事業の絶え間ない改善(知の深化)」と「新規事業に向けた実験と行動(知の探索)」を両立させていく両利きの経営を実現すべく、事業ポートフォリオの動的管理、社内外シナジーの追求、成長戦略を加速するためのM&Aの活用、研究開発と市場共創の機能を持つ事業創造本部への積極的資源投入に重点的に取り組む。
非鉄金属業界にとっては、金属価格や為替相場の変動によるリスクを減らし、新たな成長商品・事業及び新市場を創出が重要であり、社会的価値向上と経済的価値向上の両立を目指す統合思考経営を本格的に導入し、持続可能な会社へと変革を図るとのこと。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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