こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである東邦亜鉛(株)【5707】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
*東邦亜鉛(株)は2023年4月に日経平均株価の構成銘柄から除外されました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った東邦亜鉛の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・東邦亜鉛は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
東邦亜鉛(株)【5707】 の基本情報
・設立年月日 1937年2月
・上場年月日 1949年5月
・業種 非鉄金属
・特色 亜鉛・鉛の製錬大手。豪州鉱山買収で自社権益比率を拡大。環境・リサイクル、電子材料を併営。
・資本金 146億円
・従業員数 (単独)533人 (連結)1,057人
・株価 1,191円(2023.11.23)
・単元 100株
・決算 3月末日
創業時から非鉄金属のなかでも亜鉛にこだわり、亜鉛生産は国内シェアの2割、鉛生産は国内首位、銀生産は国内トップクラスの企業で、製錬、資源、環境・リサイクル、電子部材の4つのコア事業をベースにしています。
亜鉛製錬事業では、国内最新鋭の電解工場からつくられる高純度・高品質の亜鉛は、自動車、家電製品、構造物、建築材料の表面処理や部品として、社会基盤を支える重要な役割を担っています。
資源事業では、2010年に豪州の鉱山会社CBH社を完全子会社化し、亜鉛・鉛鉱石の自給率を大きく高め、中長期に亘り、鉱山ビジネスのグローバル展開と国内で製錬事業を展開する基盤を確立しています。
高度な精錬技術を活かし、電炉ダストからの酸化亜鉛の回収などのリサイクル事業にも積極的に取り組まれています。
①顧客を満足させる良質の製品・サービスを提供する。
②株主の期待に応える業績をあげ、企業価値の増大を図る。
③従業員の生活を向上させ、働き甲斐のある会社にする
④地域の一員として認められ、地域にとって存在価値のある会社を目指す。
揺るぎない企業活動の遂行を通して、顧客、株主、従業員、地域など、関係するすべての人々の利益の増進と企業の発展・向上を図り、社会に貢献することを目指されています。
ではここからは、東邦亜鉛(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
非鉄金属34社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 161億7100万円(21位) |
売上高 | 1457億6400万円(15位) |
営業利益 | 40億4900万円(17位) |
純利益 | 7億9400万円(23位) |
営業利益率 | 2.8%(22位) |
純利益率 | 0.5%(28位) |
総資産 | 1310億3500万円(16位) |
負債 | 1069億6600万円(13位) |
非鉄金属の中で売上高は15位、総資産は16位。利益率は低めで、純利益率は0.5%の28位。亜鉛、鉛、銀の国内トップクラスの企業です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:766億1800万円
流動負債:624億3300万円
固定負債:300億4600万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.23倍で基準未達、
②は、固定負債300億円 > 純流動資産141億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債も多く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2016年,2019年,2020年が赤字ですね。特に赤字幅の大きかった2020年は亜鉛価格の下落や出資する海外鉱山の操業不振などによる減損損失が響いたとのこと。ちょっと赤字が多すぎますね。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 16億7000万円 |
2015年3月 | 27億4300万円 |
2016年3月 | -162億2100万円 |
2017年3月 | 88億1400万円 |
2018年3月 | 103億7300万円 |
2019年3月 | -25億5000万円 |
2020年3月 | -183億6400万円 |
2021年3月 | 55億800万円 |
2022年3月 | 79億2200万円 |
2023年3月 | 7億9400万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 は 計算上∞となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 122.98円 | |
2015年3月 | 201.99円 | 3年平均:-289.9円 |
2016年3月 | -1194.51円 | |
2017年3月 | 649.07円 | |
2018年3月 | 763.9円 | |
2019年3月 | -187.8円 | |
2020年3月 | -1352.44円 | |
2021年3月 | 405.65円 | |
2022年3月 | 583.44円 | 3年平均:349.2円 |
2023年3月 | 58.48円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2020年が無配であり、残念ながら基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 70円/株 | 1.53% |
2011年3月 | 70円/株 | 1.8% |
2012年3月 | 70円/株 | 1.88% |
2013年3月 | 50円/株 | 1.32% |
2014年3月 | 50円/株 | 1.6% |
2015年3月 | 70円/株 | 1.85% |
2016年3月 | 50円/株 | 1.75% |
2017年3月 | 100円/株 | 1.83% |
2018年3月 | 125円/株 | 2.47% |
2019年3月 | 70円/株 | 2.24% |
2020年3月 | 0円/株 | 0% |
2021年3月 | 50円/株 | 2.09% |
2022年3月 | 75円/株 | 2.55% |
2023年3月 | 75円/株 | 3.69% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、本年度が赤字予想のためPERは算出不可であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.67倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR は算出不可のため基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高1457億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2016年,2019年,2020年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +∞% |
⑤配当 | △ | 2020年無配 |
⑥株価収益率 | × | 算出不可 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 0.67倍 PER×PBRが算出不可 |
財務状況と収益安定性、株価収益率/純資産倍率の4項目で基準未達となり、
東邦亜鉛(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定負債の割合がいずれも高く、赤字が10年中で3年、無配もありますからね。これでは厳しいです。
事業ポートフォリオ再編を進め、川下領域の利益水準を川上領域以上に引き上げ、絶対水準としての安定化と年度ごとの損益の振れ幅を抑制する。これにより、市場評価による資本コスト低下を期待し、安定的に資本コストに対してROEが上回る余地を作り出す。
「金属事業で培った技術・開発力をベースに、ニッチ分野での輝きと拡大に挑戦を続ける会社」をテーマとして事業ポートフォリオの再構築に動いており、現状の低PBR脱却に向け市場の評価を得るべく、対応を進めるとのこと。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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