こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)小松製作所【6301】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったコマツの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・コマツは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)小松製作所【6301】 の基本情報
・設立年月日 1921年5月13日
・上場年月日 1949年5月
・業種 機械
・特色 建設機械で世界2位。アジアでも幅広く展開。IT活用強み。基幹部品は日本、組み立て現地化。
・資本金 693億円
・従業員数 (単独)12,208人 (連結)64,343人
・株価 3,869円(2023.11.26)
・単元 100株
・決算 3月末日
事業分野は「建設機械・車両」「リテールファイナンス」「産業機械他」の3分野。
売上高の約9割を占める建設機械・車両をはじめ、産業機械、物流関連事業などの各分野において「品質と信頼性」を追求し、環境・安全・ICT(情報通信技術)で他の追随を容易に許さない「ダントツ」の性能を誇る商品・サービス・ソリューションの提供を目指しています。
建設機械の日本でのシェアは1位、世界でアメリカ・キャタピラー社に次いで2位。堅実な経営で、世界戦略も好調な会社として知られ、投資家やエコノミストからも高く評価されれています。
創業者の精神をベースに、コマツの価値観を行動様式で表現した「コマツウェイ」も有名ですね。
「品質と信頼性」を追求し、企業価値を最大化すること
「ものづくりと技術の革新で新たな価値を創り、人、社会、地球が共に栄える未来を切り拓く」を使命に、「Creating value together」を約束の言葉として、世界中の人々の安全・安心で健やかな生活を生み出し、支えつづけること、一つひとつの社会を更に発展させ、地球の持続可能な未来を創ることを目指されています。
ではここからは、(株)小松製作所に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
機械100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 3兆6599億円(3位) |
売上高 | 3兆5434億円(3位) |
営業利益 | -円(-位) |
純利益 | 3263億9800万円(1位) |
営業利益率 | -%(-位) |
純利益率 | 9.2%(23位) |
総資産 | 4兆8758億円(3位) |
負債 | 2兆1978億円(3位) |
機械の中で売上高、総資産とも3位。利益率もまずまず高く、純利益率は9.2%の23位。建設機械で国内トップ、世界でも2位です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信によると、
流動資産:6472億7300万円
流動負債:4034億1000万円
固定負債:1305億2700万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.6倍で基準未達、
②は、固定負債1305億円 < 純流動資産2438億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動負債の割合が若干高く、残念ながら基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられています。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 1595億1800万円 |
2015年3月 | 1540億900万円 |
2016年3月 | 1374億2600万円 |
2017年3月 | 1133億8100万円 |
2018年3月 | 1964億1000万円 |
2019年3月 | 2564億9100万円 |
2020年3月 | 1538億4400万円 |
2021年3月 | 1062億3700万円 |
2022年3月 | 2249億2700万円 |
2023年3月 | 3263億9800万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +46.5%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 167.36円 | |
2015年3月 | 162.07円 | 3年平均:158.4円 |
2016年3月 | 145.8円 | |
2017年3月 | 120.26円 | |
2018年3月 | 208.25円 | |
2019年3月 | 271.86円 | |
2020年3月 | 163.01円 | |
2021年3月 | 112.52円 | |
2022年3月 | 238.23円 | 3年平均:232.1円 |
2023年3月 | 345.52円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ています。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 16円/株 | 0.82% |
2011年3月 | 38円/株 | 1.35% |
2012年3月 | 42円/株 | 1.78% |
2013年3月 | 48円/株 | 2.13% |
2014年3月 | 58円/株 | 2.71% |
2015年3月 | 58円/株 | 2.45% |
2016年3月 | 58円/株 | 3.03% |
2017年3月 | 58円/株 | 2% |
2018年3月 | 84円/株 | 2.37% |
2019年3月 | 110円/株 | 4.28% |
2020年3月 | 94円/株 | 5.28% |
2021年3月 | 55円/株 | 1.61% |
2022年3月 | 96円/株 | 3.26% |
2023年3月 | 139円/株 | 4.24% |
なお、株主優待は3月末の権利確定で300株以上を3年以上保有の場合、感謝品としてコマツ製品のオリジナルミニチュア(非売品)がもらえます。毎年1機種ずつリリースしており、シリーズ化しているとのこと。これはちょっと魅力的かも。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは10.75倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.28倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も13.76で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高3兆5434億円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +46.5% |
⑤配当 | ◎ | 利回り4.24%+優待あり |
⑥株価収益率 | 〇 | 10.75倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.28倍 |
財務状況のみが基準未達となり、
(株)小松製作所は割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動負債の割合が若干高いだけで、安定性/成長性、配当もしっかり、株価も手頃であり、非常に惜しいところでした。
外部環境の変化と経営課題などを踏まえ、成長戦略の3本柱として、①イノベーションによる成長の加速、②稼ぐ力の最大化、③レジリエントな企業体質の構築に取り組む。
主力の建設・鉱山機械事業においては、将来に向けて、電動化や自動化・自律化・遠隔操作化、コンポーネントやシステム開発などの技術分野、及びソリューションビジネスやバリューチェーンビジネス、林業機械、坑内掘りハードロックなどの事業分野を成長分野と位置付け、価値創造(イノベーション)のための重点投資を継続するとのこと。今後も期待できそうですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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