日本電産は割安株なのか？バフェット流「バリュー投資の7つの基準」で日経225銘柄を評価！

今回の記事では、2022年10月から新たに日経225構成銘柄の1つに加わった日本電産(株)【6594】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。

あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。

を探し当てるためのご参考にしてください。

ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。

日本電産(株)【6594】 の基本情報

・設立年月日　1973年7月23日
・上場年月日　1988年11月7日
・業種　　　　電気機器
・特色　　　　モーター世界大手。精密小型から産業用など中大型シフト。EV向けなど車載用を主柱に育成中。
・資本金　　　877億円
・従業員数　 (単独)2,413人　(連結)110,375人
・株価　　　　6,878円(2023.3.25)
・単元　　　　100株
・決算　　　　3月末日

M&Aによる企業規模拡大を積極的に進めており、技術力はあるものの経営が悪化した会社を買収し、その場合でも人員削減しないのが特徴です。2023年4月1日に社名を英称でもあった「ニデック」に変更されます。ちなみに英称のNidecは、Ni=日本、De=電産、c=株式会社、の略です。

「情熱、熱意、執念」「知的ハードワーキング」「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」という三大精神のもと、100年を超えて成長し続けるグローバル企業となり、人類が抱える多くの課題を解決する世界No.1のソリューション企業集団となることを目指されています。

ではここからは、日本電産に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。

①事業規模

事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。

日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。

電気機器100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。

時価総額	3兆9474億円(7位)
売上高	1兆9181億円(11位)
営業利益	1714億8700万円(11位)
経常利益	1711億4500万円(14位)
純利益	1368億7000万円(16位)
営業利益率	8.9%(37位)
純利益率	7.1%(45位)
総資産	2兆8763億円(10位)
負債	1兆4636億円(8位)

電気機器の中で売上高は11位、総資産は10位。利益率はまずまずで、純利益率は7.1%の45位、精密小型モータでは世界トップ企業です。

事業規模は文句なし！

②財務状況

次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。

2022年3月期の決算短信によると、
流動資産：1兆2926億円
流動負債：9387億9000万円
固定負債：4229億9500万円　なので、

①は、流動資産 / 流動負債 = 1.39倍で基準未達、
②は、固定負債4229億9500万円 > 純流動資産3538億1000万円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高いですね。

財務状況はNG！

③収益安定性

収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。

過去10年の業績で確認すると、毎年しっかり利益を上げられており、問題ありません。

年度	純利益
2013年3月	79億8600万円
2014年3月	562億7200万円
2015年3月	760億1500万円
2016年3月	899億4500万円
2017年3月	1110億700万円
2018年3月	1308億3400万円
2019年3月	1099億6000万円
2020年3月	584億5900万円
2021年3月	1219億4500万円
2022年3月	1357億5900万円

収益安定性は問題なし！

④収益成長性

収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。

過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 113.4%となり、基準達成です。

年度	EPS
2013年3月	13.76円
2014年3月	103.41円	3年平均:84.3円
2015年3月	135.8円
2016年3月	151.52円
2017年3月	187.13円
2018年3月	220.95円
2019年3月	186.49円
2020年3月	99.37円
2021年3月	208.19円	3年平均:180.0円
2022年3月	232.4円

収益成長性は文句なし！

⑤配当

配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。

入手できる範囲でIR情報を確認すると、利回りは低めですが毎年しっかり配当が出ており、問題ありません。基準達成です。

年度	配当金	配当利回り
2010年3月	16.25円/株	0.65%
2011年3月	21.25円/株	1.18%
2012年3月	22.5円/株	1.19%
2013年3月	21.25円/株	1.51%
2014年3月	25円/株	0.8%
2015年3月	35円/株	0.88%
2016年3月	40円/株	1.04%
2017年3月	42.5円/株	0.8%
2018年3月	47.5円/株	0.58%
2019年3月	52.5円/株	0.75%
2020年3月	57.5円/株	1.03%
2021年3月	60円/株	0.45%
2022年3月	65円/株	0.67%

なお、株主優待は3月末権利確定で日本電産サンキョーオルゴール記念館すわのね(長野県諏訪郡)の無料入館リーフレットがもらえます。また100株以上保有3年以上で5,000円相当のオルゴール、保有10年以上で75,000～90,000円相当のオルフェウスのオルゴールが抽選でもらえます。

配当は問題なし！

⑥株価収益率

株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。

Yahooファイナンスによると、現在のPERは66.01であり、基準未達です。

株価収益率はNG！

⑦株価純資産倍率

株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。

Yahooファイナンスによると、現在のPBRは2.85倍であり、①のPBRは基準未達です。

②のPER × PBRも188.13で基準未達です。これはちょっと高すぎますね。

株価純資産倍率はNG！

まとめ

今回の結果をまとめると以下の通りとなります。

項目	結果	備考
①事業規模	◎	売上高1.9兆円
②財務状況	×	流動&固定負債多い
③収益安定性	〇	赤字なし
④収益成長性	◎	+113.4%
⑤配当	〇	利回り0.67%+優待あり
⑥株価収益率	×	66.01倍
⑦株価純資産倍率	×	2.85倍

財務状況と株価収益率、株価純資産倍率の3項目が基準未達となり、

という結果となりました。

収益安定性と成長性はしっかりしているのですが、負債が多めなのと残念ながら既に株価が上がりすぎてますね。仕方ありません。

日本電産にとって、「脱炭素化」「省人化」「省電力化」「サーマルソリューション」「デジタルデータ爆発的増大」の5つの分野をターゲットにソリューション提供を進めるとのこと。主軸である精密小型モータを中心に、今後も成長が期待できそうですね。

というわけで現時点では、割安株に該当したのは以下の12社となります。

これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。

以上、皆さんの参考になれば幸いです。

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